2001〜2002年のみの生産で合計約800本が市場に出回ったと見られる『黒金ラジオ』ことPAM00103。 実際の生産本数は不明だが、PAM00062(=18KWG)の半分にも満たない。 その黒金40mmラジオミールを現時点で、新品で、それも正規店で購入出来るとは『奇跡』に近い。 今回は我ながら長続きしているMy Homepage開設7周年を記念して、 『小体(こてい)で古典な三味胴ラジオの楽しみ方』、をじっくりと論評することに・・・。(2011/3/11) |
(2011年1月SIHH発表現在、パネライ史上で僅か10機種しか存在しない『黒金ラジオミール』〜) パネライでゴールドと言えばPink Gold(又はRose Gold)を指す。 Yellow Goldは存在しない。そして近年、パネライではPink GoldケースをOro Rosaと呼称する(⇒イタリア語発音に基づいて忠実に表記すればオーロ・ローザ、である)。特にラジオミールにおいて、黒文字盤でPGケース(以下、『黒金』)の組み合わせは2011年1月現在まで10機種しか発売されていない。 その10機種の詳細は以下の通り: PAM00103(2001〜2002年) PG800本、40mm/ゼニスエリート680搭載 PAM00147(2002年) PG35本のみ 42mm/Vinas搭載スプリットセコンド PAM00197(2004〜2006年) PG 45mm/8-days(JLC搭載) PAM00231(2006年) PG 45mm/2針ユニタス手巻き PAM00238(2006年) PG 42mm/GMTアラーム PAM00273(2007年) PG 45mm/GMT10-days P.2003搭載 PAM00330(2009年) PG 48mm/GMTトゥールビヨンP.2005搭載 PAM00336(2010年) PG 42mm/新型手巻きP.999搭載、茶文字盤 PAM00378(2010年) PG 42mm/同上黒文字盤 PAM00379(2011年) PG 47mm/茶文字盤手巻きP.3000 3-DAYS ケース径で分類すれば、 40mm=1本、42mm=4本、45mm=3本、47mm=1本、48mm=1本。 少々意外だが、42mm以下の小体なラジオが半数を占めることが分かる。パネライの中でも、総じてラジオは薄厚なので、たとえ47mm径といっても数字以上の大きさは感じない。しかし、だ。それでも47mm径という絶対的な面積は免れようも無く、ひと時の情熱的な思い入れで夢中になっても、時間と共にその巨大な表面積に威圧感やらお邪魔感を感じるのは必定。やはり大きくても45mm径が限界。理想は40〜42mm径である。この数字は動かし難い。 そんな10種類しかない黒金ラジオの中でも、初のPGケースでパネライ史上唯一の40mm径ラジオのPAM00103は長年の憧れであった。 以前、極上時計礼讃でも詳述したように、筆者最愛の時計と公言してはばからないのが18KWGケースのPAM00062だ。 『小体で古典な三味胴ケース』にはドレスウォッチとしての品格も十分に備わっている。PAM00062購入時、一瞬、PG製黒金ラジオPAM103も候補に挙がったが、余りのド派手さ加減に当時の『時計オヤジ』はまだ付いて行けなかった。その後、年齢と共にPG素材と自分とのGAPは縮小し、遂には『時計オヤジ』も黒金モデルに追い着いた。思いは募るばかりとなる・・・。 昨年2010年に42mm径で新型手巻きキャリバーP.999モデルが発表になったが、9時位置の数字が欠落していることは許し難い。持論だがパネライであれば12−3−6−9時の4つの数字が揃わないと駄目。PAM231(45mm)やPAM379(47mm)のベース2針という選択肢もあるが、筆者の好みは9時位置に秒針小ダイアルをも備えた意匠。1956年製エジプト海軍に納入された大型ラジオの文字盤が理想であり、2009年に復刻されたPAM00341/エジツィアーノは中々良いのだが、何と巨大な60mm径(チタン製)!日常での使用は最早不可能のミュージアム・ピースである。一方、PGケース初代のPAM00103は発売から既に10年近く経とうとしており、中古市場では時折見かけることはあっても新品で販売されることは有り得ない。しかし、その有り得ないことが現実となったのだ・・・。 (PAM00103、『新品・黒金ラジオの購入記』〜) 2010年4月、ふと立ち寄ったサウジアラビア国内のパネライ正規ディーラーにて我が目を疑うことに。 PAM00062とPAM00103の40mmラジオ2本が新品としてショウ・ウィンドウに並んでいるではないか。間違いなく、2010年時点で、このような光景が観察できるのは世界広しと言えどもこの店舗だけであろう。この18KWGのPAM62の方は、実は以前にも見覚えがある。サウジ国内の同一系統の別店舗で、その昔に確認した記憶がある。まさか黒金のPAM103までもが雁首を並べて鎮座しているなどとは、ラジオ贔屓の『時計オヤジ』にとっては狂喜乱舞の光景である。 因みに白金ラジオ(PAM62)と黒金ラジオ(PAM103)の生産本数(=メーカー公称数)は以下の通り: PAM62(白金) PAM103(黒金) C番品(2000年): 500本 --- D番品(2001年): 700本 300本(⇒D番品一部の初期モデルのローターは銀色) E番品(2002年): 500本 500本(⇒今回の黒金ラジオはE番品) しかし、PAM62を所有しておきながら今更、黒金ラジオでもあるまい・・・、という何とも冷静且つシュールな判断でその場は見送る。しかし、当然ながらとでも言うべきか、長年の夢でもあった黒金ラジオへの想いは絶ち難く、遂に2010年8月に至り購入に踏み切ることに。万難を排しての決定である。 40mmラジオでPAM62とPAM103の2本を所有するキワモノなど、まずいないだろう。 もし同様に18KWG(白)/PG(桃)2本持ちの奇特な御仁がいれば『40mm白桃ラジオ2本同盟』を結成しようではありませんか!!! (↓下写真2枚: 『いやぁ、絶景かなぁ、絶景かなぁ〜』 ) こちらが店舗のdisplayにあった40mmラジオ2本。 今回購入したのは右側の黒金モデル。しかし、発売後すでに8〜9年経過しているとは言えども『新品』である。特にPAM62など、中古市場でも状態の良いタマを狙っているマニアは少なくは無かろう。もし、この新品PAM62が日本国内で販売されたらどの程度の値段が付くのであろうか、などという下世話な想像も頭を走り巡る・・・。 いっそのことPAM62も2本目購入するか?などという大胆な発想までには至らぬが、下手をすれば下手をしちゃいそうな状況に我乍ら少々不気味ささえ感じる。『ラジオ偏愛時計オヤジ』、ここにあり。 ★★★★★ PAM00103購入時には写真にある『パネライ純正時計スタンド』を頂く。 購入価格は『非公開』だが、折からの円高(当時約86円@US$)もあり、可也の『お買い得感』を味わせて頂いた。 因みに2011年1月現在、PAM00062は相変わらず店頭に並んでいる。サウジアラビアの地元民でラジオミールに興味を持つ御仁は極めて少ないだろう。とすると、主にこうした高級時計は外国人向け。しかし、その外国人も自由に出入りが出来ない実質、鎖国状態に近いサウジアラビアの特殊性こそがこうした現象を招くのである。云わば、アルプス山中の氷河の中に埋もれた逸品、とでも言おうか。こうした一目に付き難い、隠れた時計事情こそがサウジアラビアの醍醐味にも繋がるのである。 (ZENITH製ELITE680についての寸評〜) 1994年に開発されたCal.680。既に発表から16年以上の歳月を経て、未だに現役の地位を確保しているのは流石。 このクラスの自動巻きキャリバーで、筆者が対抗馬と見なすのはROLEX/Cal.3135、GP3300/4500、ETA2892-2、あたりである。このELITE680は云わば堅実なる実用キャリバーとしてのトップクラスの仕上がりと言って良いだろう。特にELITEシリーズは時刻位置に関わらず日付の変更が前後自由に可能。これは極めてユーザーフレンドリー。この点だけはZENITHの専売特許であり、他社製キャリバーには無い特徴ではあるまいか。もう一点はデイト表示の位置。4時と5時の中間にあるこのデイトはINDEXを干渉しない点が何より好ましい。エル・プリメロでも同様だが、昔のゼニスはデザイン陣も非常に良く研究していると感じる。簡単なようで中々出来るデイト配置ではない。 一方で、辛口で言えばラジオ搭載ののCal.680ベースのCal.OPZの仕上げには特段の丁寧さは感じないのだが・・・(⇒右写真)。 ★★★★★ 例えば・・・ ●地板エッジが切削しっ放しでザラザラ、ガリガリ。45度の鏡面磨きもなければ、地板にはジュネーヴ・コートも無い(←左写真)。 その代わりに筆者の嫌いなブランド・ロゴ刻印がたっぷりで、逆にうっとおしくさえある。2000年代前半のパネライにはこうしたブランド・ロゴの刻印が顕著。ローターにまでロゴ刻印をしてしまうデザイン陣の見識の低さには失望の溜息であるが、それも今となってはこのラジオのアイコンの一部と化してしまった。まぁ、こうした点には目くじらを立てずに『小体で古典なラジオ』の特徴と考えるべきであろう(諦めの気持ちを前向きに・・・)。 ●KIFショックを軸としたテンプデザイン周りもスムーステンプのお陰で、今ひとつ迫力に乏しい。 ●ペルラージュ模様はややムラが見られるが、重ね具合は芯もはずしておらず密集度合いはそこそこの出来栄え。 ●一方、『ローター』は良く頑張っている。 ローター形状がパネライのアイコンであるルミノールの竜頭ガードをデザインしていることは一目瞭然。このデザインは何故かゼニスベースのキャリバーのみに適用されている。つまり、エル・プリメロ搭載クロノと、エリート搭載の40mm&42mmラジオだけである。このローター意匠は何度見ても飽きないし、凝った作りで満足出来る。 ローター素材が18金製であることはPANERAI本社に確認出来たのだが、そうであれば何らかのホールマークを視認できる場所に刻印すべきだろう。折角の18金製(多分)であれば、小さホールなマークは欲しい。さもなくばメッキだか、サンドブラスト仕上げだか素人には分からない。 ★★★★★ 歴としたELITEベースの実用キャリバーではあるが上記の通り、最低限の装飾と仕上げを施している点は認める。但し、PINK GOLDケースに搭載する機械であればもう少しの配慮と仕上げが欲しいところだ。しかし当時のPANERAIは製品開発を急いでおり、矢継ぎ早の新作投入を重視した結果、『美は細部に宿る』ことを犠牲にしなかればならなかったのだ。これは 時代の狭間で開発された『40mmラジオの宿命』かも知れない。 (時計好きなオヤジを『確信犯的に一本釣りする戦略』、それがPINK GOLDケース〜) シンプルな良質キャリバーを収めるケースにもそれなりの素材を使う傾向は、2000年代に入ってより一層、顕著となる。まぁ、利幅も大きな貴金属系を使えばメーカー側としても効率良い訳で、しかしそれだけが理由では無いだろうが丁度、PINK GOLD系やらROSE GOLD系、はたまたその後に登場するRED GOLD系の赤味がかったケースのはしりの1本がこのPGラジオである。 同時期(=2001年)のPG系の代表モデルにはGPのヴィンテージ1945パワーリザーブ(角型)やCHOPARDのLUC1860、Roger DubuisのマッチモアM31やゴールデン・スクエア、そしてユリスナルダン『フリーク』等が挙げられる。 黒文字盤のシンプル・フェイスには赤系PGケースが良く似合う。 この黒金が織り成す落ち着きと魅力と安らぎは、自分でさえ一昔前までは感じることの出来なかった境地だ。不思議。 こうした時計が好きなオヤジ心をくすぐる高度な戦術で、確実に時計マニアを一本釣りで狙いを定めた時計、それがまさしくPAM00103である。何と言っても1930年代のROLEXを彷彿とさせるこの三味胴ケースには古典的な魅力が凝縮している。ラジオミールにはかつてのROLEXのイメージがいやおうなくダブル点が、こちらの心に違和感なく突き刺さる理由でもあろう。 ★★★★★ そんなメーカーの巧妙なワナにまんまとはまったのがこの『時計オヤジ』である・・・。 (パネライの専売特許、『ストラップで遊ぶラジオミールの妙』〜) 今までこのHPでも何度となく革ストラップ交換の楽しさを綴ってきた。 しかし、基本的に筆者の好みはクロコかゲーターのワニ系。その他のエキゾチック・レザーも良いのだが、格式と言う点からはワニ系が一番。ヒストリック(=ベース)系統に似合うのは、本来無粋で厚みのあるカーフ製ではあるが、この40mmラジオにはワニ系が一番似合う。 純正ストラップは黒スティッチに黒アリゲーター竹班製であるが、それはそれで見事な出来栄えだ。パネライの純正革ストラップは他の一流どころ同様に作りが丁寧で総じて質感も良い。しかし、パネライほど豊富に社外品ストラップの世界が広がりを見せるブランドも稀有だろう。それほど『着せ替え遊び』が楽しいのがパネライ。そうであれば、トコトン、この世界で遊んでやろうではないか。 40mmラジオがdisconとなって早、10年近くになる。PANERAIブティック店員でさえも40mmラジオ実物を見たことが無い人が珍しくは無い時代だ。そして、当のブティックには40mmラジオ用ストラップの在庫はまず無いか、あっても種類が無いのが実情だろう。基本的に取り寄せとなるのだが、革ベルトはやはり実物を見て、微妙な色合いや手触りを確認したい。そして一番重要なのが個別に異なる革の模様(斑)である。カタログで簡単に決めることは出来ない。 筆者が最終的に行き着いたのはフルオーダーの手製ストラップ。この特集は別途、集中的に取り上げるが、ここではそのサワリについて。 40mmラジオは自分にとって『極上時計』のドレス用なので、分厚いカーフベルトは対象外。オリジナルも黒ゲーターが装着されているように、黒金ラジオにはゲーター系がベスト。 しかし、それだけでは物足りない。 ベルトでも更なる個性を主張するために選択したのがOstrich leg、即ちオーストリッチの脚の皮である。日本では『オーストレッグ』とも呼ばれるが、日本語の造語ではないかと想像している。まず既製品では殆ど無い希少な素材。そして何よりもその独特な紋様が魅力的。今回は特に左右非対称と成るような皮部位を利用したデザインを依頼した結果、右写真にような作品が出来上がった。 (⇒右写真: これが『香港手造』の特注ストラップだ〜) 香港にあるパネライ用ストラップ専門工房に発注した。 試行錯誤を重ね、2本目で満足行くベルトが完成。Dark Chololate色にタン色極太スティッチ。遊革は1個で2cm幅の幅広仕様。厚みも特注で通常より1mm薄い3.5mm厚。これでようやく所有するピンクゴールド(GP)のプッシュ式ダブルDバックルが使用可能となる。3.5mm厚でもまだまだ極厚であるが、快適性は十分に確保。小穴の数と位置も自分の腕周りに合わせて指定。結果、ドンピシャリ。 今後、使いこなすうちに革素材の柔らか味が更に増加することは疑い無い。それはMFでも経験済だ。 『香港手造』の詳しいレポートは別途、改めて紹介したい。 (⇒右写真: GOLDバックルも『特注』する〜) バックルにも当然、こだわる。 上記、Deployment BuckleはPink GoldのGP製だが、通常美錠もパネライ初期の純正型(18KYG/GP)を特注した。このラジオには大型のパネライ独自のバックルは似合わない。右写真左側のような純正のワイヤーループタイプなルミノール初期モデルに装着されていた写真右側のような、やや小振りな美錠が宜しい。 この黒金ラジオの為に、この右側美錠まで特注したのだが、我が黒金ラジオにはどこまでも愛情と独自のコダワリを全力投入している。この楽しみこそ、『小体なラジオ』を愛でる醍醐味に他ならない。 (パネライ特許のワイヤード・ループはPAM62とPAM103で構造が異なるのか? ) 18KWGと18KPG製では三味胴ケース形状が全く同じ40mmラジオではあるが、肝心の特許取得しているワイヤードループ構造が異なる?ことに今回気付いた。黒金ラジオのベルトを交換して初めて分かったのであるが、黒金の方がループが簡易構造となっている。即ち、『PAM00062では2本のループが中央部で連結するのだが、PAM00103では連結しない!』、のである。こんなことは有り得るのだろうか。中央の連結駒がないと明らかに耐久性面で不安が隠せない。 しかし、その後種々情報を集めたところ、どうやら103のループにも中央部の連結駒があることが判明。ということは手に入れた自分の固体のみパーツが欠損していたということか・・・。後日、この連結駒はメーカーより取り寄せ、無事にPAM62と同様な構造に『先祖返り』することになった。 (↓下写真2枚) 左側PAM00103のワイヤードループは中央部がスパっと切断されている形で、左右の2本が連結&噛み合う事がなかったが、どうやら固体の問題であり、PAM103全般ではPAM62と同様な構造であることが判明。 右側がPAM00062のもの。良く見ると2本の中央部が膨らんでいるのが分かるだろうか。左右のループが中央で、はめ込まれて連結する構造になっているのだ。当然、後者の方が強度が増すことは明らか。そもそもラジオミールのループ式は皆、この連結駒を有する構造であるので、連結駒がないということは明らかに欠損していることを意味する。 (ラジオミールの今後を占なう〜) 2011年のSIHHも終了し、今年のパネライ新作も見た。この数年間、『時計オヤジ』が求める路線とパネライの路線には微妙なる相違がある。そこで私見を交えつつ、今後のパネライ、特にラジオミ−ルへの期待と方向性を考えてみたい。 ●旗艦キャリバーはP.999とP.3000〜: 明らかにパネライは自社製キャリバーへの全面切り替えを目指している。昨年(2010年)に発表された手巻きキャリバーCAL.P.999は、現在PAM00183等のBlack-Sealで用いているETAベース手巻きキャリバーに代わるべき戦略キャリバー。 もう一つの手巻き自社製キャリバーがP.3000だ。この2つのキャリバーをラジオ用の旗艦キャリバーとして、今後、全面的にラジオミールモデルも見直しにかかるだろう。恐らく、あと1〜2年で現行のETAベースキャリバーは現行ラインアップから全滅・消滅するものと予想する。 最大の関門は価格と生産性。研究開発への投資を商品価格に上乗せするのは常道だが、それでは廉価モデルとしての商品群が成り立たない。如何にして生産性を上げてコスト削減に努めるかが勝負。その際に質感をどこまで重視、維持できるかが鍵だろう。 生産性については昨年発表のP.999搭載42mmラジオは2010年12月末になっても、まだ市場に登場していないことからもパネライ側の体制が整っていないことは明らか。これでは一昔前のパリのオートクチュール・ファッションショウと何も変わらない。確実に上市するスピィーディな生産性こそがメーカーの信頼性を上げる。絵に描いた餅ばかり発表しても無意味だ。 個人的にはPシリーズの地板上の筋目仕上げは生理的に受け付けない。本格派を目指すのであれば王道のジュネーヴ・コートで仕上げるべきだろう。この点を『改良』してくれさえすれば『仕方なくマニュファクチュール化にも諦める』のであるが、いずれにしてもP.999とP.3000の2本立て手巻きキャリバーの開発によりパネライの追撃モードが本格的に『スイッチ・オン』となったことは間違いない。 ●ケースサイズは45mmがコアサイズに〜: 42mm、45mm、47mmの3種類が今後とも中心になるはず。 ⇒42mmは小型アラーム、クロノ、3針中心。 ⇒45mmがレギュラーサイズとなり、これからのラジオの中心。 ⇒47mm以上はSpecial Edition専用ケースになるだろう。48mmも時折出るが、軸足は47mmにある。 40mmラジオは42mmに取って代わられたので再登場は考えにくい。40mm以下の女性用もまず無いだろう。最小サイズは42mmであり、45mm以上が今後のトレンドの中心を担う、というのが結論。 40mmラジオはPAM00062とPAM00103をもって終了、というのは何とも惜しいが、パネライ路線はケース大型化or歴史的サイズへの回帰路線なので、歴s的に存在しない40mmクラスでの縮小サイズでは上記戦略に逆行する形となってしまうだろう。 一方、パネライ特許取得のワイアード・ループ方式は、他社品にも存在せず、類似品もない独創&独走路線にあるのだから、ラジオミールの充実に今後はもっと力を注いでくるだろう。つまり、ラジオの商品群はルミノール同様に今後益々充実してくるものと予想する。 ●ケース形状に大きな変化は無い〜: 一昨年から1950シリーズのルミノールもケース形状が微妙に変更されているが、ラジオミールも同様。即ち、三味胴の横の絞込みラインが従来よりシャープとなり、ややエッジが強調されて来た。今がギリギリの線だが、これ以上手を加えると三味胴が崩れてしまう。この辺はメーカーのパネライ自身が熟知しているので、今以上の設計変更は無いものと予想する。 ★★★★★ この40mmラジオ2本(PAM62とPAM103)、45mmブラックシール(PAM183)、そしてエルプリ搭載の40mmクロノ、44mmGMT、PAM49白文字盤を所有することで、略パネライ所有欲は落ち着いている。全てが実用良質キャリバーを搭載する。思えばパネライほど博物館的に有力各メゾンの良品キャリバーを貪欲に搭載したメーカーも少ないだろう。ざっと思いつく限りでも、ROLEX、OMEGA(PAM78)、Girard-Perregaux(PAM77)、レマニア、フレデリックピゲ、ETA、ZENITH、JLC、アンジェリス、ミネルヴァ・・・等等の名品揃いだ。最近でこそ自社製キャリバーの導入が著しいが、こうした『他社製キャリバー』搭載が華やかしなり時期の2000年〜2005年頃までを第二期パネライ黄金時代と位置付け、その前後をそれぞれ一期黄金時代、自家製キャリバーへと移行・強化する三期黄金時代と考えている。 いわば『第二期パネライ黎明期の花形モデル』に属するのがPAM00103。 時計の優劣は機械の見栄えや外見・ブランドの良し悪しだけでは決められない。 所有者のその時計に対する思い入れと愛情こそが自分にとっての究極の一本を築きあげるのだ。 恐らくこの『黒金ラジオ』こそが『時計オヤジ』の生涯における究極の一本、となることは誰よりもこの本人が一番自覚している昨今である。 (2011/3/11) HP開設7周年記念〜355400 追記1) 奇しくもこのページをUPした同日の2011年3月11日、日本時間の午後2時46分に東北関東大震災が発生した。 日本の歴史上、世界の歴史上でも未曾有の地震と津波災害によるおびただしい数の被災者・犠牲者の方々には心よりお見舞いとご冥福をお祈り申しあげます。日本国民の一人として出来ることから着実に始めてこの巨大なる危機に立ち向かいたいと覚悟する。一方で、その後、発生した原発事故による不気味な放射能汚染被害が広まりつつある中、果たしてこの危機を乗り越えることが出来るのかと、時に押し潰されそうな気持ちにもなるのだが、私たちは理性を持って冷静に、前を見つめて歩むしかない。まずは被災者の方々の救援支援と、普通で節制に努める生活を心掛けたい。自粛・節制はしても萎縮した生活にはならないよう自分にも言い聞かせている。(2011/3/19) 追記2) (2011/7/30) 380700 為替は@\77円/$台に突入・・・ D番品(=2001年製)の初期モデルのローターは銀色である。 PAM00103については全て金色かも知れないと思っていたが、この程、#D16■/300の写真で確認できた(↓下写真3枚)。 どうしてD番品後期モデルからローター色を金色に変更したのか定かではない。これは18KWGのPAM00062でも同様の処置。見た目でも可也異なるこうした大きな意匠変更を簡単にやられると、特に初期品のシルバーカラーのローターを手にしたユーザーにとっては、何とも損した気分になるのは人情であろう。 『時計オヤジ』による『私的・極上時計礼讃シリーズ』: 『極上時計礼讃・序説』はこちら。 『極上時計礼讃〜ラジオミールPAM00062』はこちら。 『極上時計礼讃〜フランク・ミュラーLimited 2000』はこちら。 『極上時計礼讃〜パテックフィリップ・AQUANAUTラージサイズ』はこちら。 『極上時計礼讃〜ショパールLUC1860』はこちら。 パネライ関連WEB: @ルミノールGMT(PAM00088)はこちら。 Aラジオミール(PAM00062)はこちら。 B『生誕地フィレンツェにPANERAI Boutique 1号店を訪ねる』はこちら。 C『デカ厚ブームの嘘、パネライの真実』はこちら。 D『マニファットゥーレ・フィレンツェManifatture Firenze・Aged Calf Leather Strap 1942』はこちら。 E『マニファットゥーレ・フィレンツェ・新作2本』はこちら。 F『ヌーシャテル訪問記〜パネライ工房門前払い』はこちら。(2006/10/01UP) G『ラジオミール・ブラックシール(PAM00183)』はこちら。 H『ラジオミール用革ストラップにおける”全体バランス論”』はこちら。(2010/01/01) I『2010年8月、リヤドの直営BOUTIQUEを訪問する』はこちら。(2010/08/13UP) J『ラジオミールPAM00103、小体で古典な三味胴ラジオの楽しみ方』はこちら。(HP開設7周年記念) 2011年5月、イタリア再訪関連ページ: ⇒『GRIMOLDIの長男、ロベルトと再会する』はこちら。 ⇒『2011年5月、ミラノ再訪記』はこちら。 ⇒『U-BOAT直営Boutique訪問記@フィレンツェ』はこちら。 ⇒『ダ・ヴィンチ科学技術博物館訪問記@ミラノ』はこちら。 ⇒『聖地巡礼3部作・パネライ・ミラノ直営Boutique訪問記』はこちら。 ⇒『聖地巡礼3部作・フィレンツェ1号店Boutique再訪記』はこちら。 ⇒『聖地巡礼3部作・イタリア海軍技術博物館訪問記』はこちら。 ⇒腕時計に戻る |
※掲載の写真・文章等の全てのコンテンツの無断転載・無断複写を禁じます。 ※特に金銭絡みのオークション説明等へのリンク貼りは遠慮下さい。 |