(4代目に当たるパネライ・ルミノール・マリーナGMT〜) PAM00023(’98年)⇒PAM00029(通称、縦縞「フリンケ」)⇒PAM00063(’00年)、そしてGMTシリーズとしては、4代目にあたるのがこのPAM00088。2001年に発売され今年2004年まで生産継続されているようだ。筆者所有はD版=2001年生産モデル。3代目まではセンターセコンドであったが、このPAM88より秒針独立小ダイアルとなった。好みは分かれるが、レガッタ似(=PAM00107、PAM00156=GMT)でもあり、可也気に入っている。現在では、40mm黒丸index(PAM159、PAM160)、44mmチタンケース(PAM161)も出揃うGMTシリーズであるが、個人的にはBAR-INDEXかつ、分単位の目盛は必須である。その意味からもPAM088は嗜好にあう。 RADIOMIR(PAM00062) でも述べたが、パネライの魅力は、最初の1本を皮切りに次なる1本へと次々に物欲が湧き出てくることだろう。これは魅力とも言えるが、困った欠点でもある。筆者もこのGMTから結局、最愛のラジオミール(PAM62)、そして「小振り」で可愛い40mmマリーナ(PAM49)へと拡大していったのだ。こうした伝染病はパネライというブランドにおいて特に顕著に見られる気がしてならない。 (←写真左: 2004年7月に訪問した、イタリア・ゴシック建築の最高傑作、ミラノ・大聖堂ドゥオモ屋上にてGMTを撮影) (その巨大なる44mmケース〜) ところで、44mmケースは慣れたと言っても、やはり巨大である。こちらが元気の時、気合を入れる時、気分が良い時は問題ない。しかし、体調が悪い時や悲しい時、元気が無い時はとても大きく、重く感じることもある。若いうちは馬力でガンガン押せるから44mmでも良いかも知れないが、歳をとってパワーが落ちて来ると、チト苦しい場面もある。また44mmではちょっと似合わない「場」というものも出てくる。そうした時は思い切って一時、パネライにはお休み頂く決断も必要だろう。 もう一つ、使用して感じるのはGMT機能というのはやはりオマケではなかろうか、ということ。車のナビに頼って海に落ちたドライバーがいるように(=実話)、GMTに頼ると、時差のある地域を動き回る時にはセッティング間違いでホームタイムを読み間違える可能性もある。本来、やはり自分の目と頭を使って複数の時間を把握することが基本だろう。そのくらい出来ないようでは脳ミソも終わりに近い。ある意味、クロノグラフと一緒で、付加機能が付いていることに満足する、そんな軽い気持ちでGMTと付き合えばよかろう。もっとも、フランクミュラーのクレージーアワーでは文字盤からの逆算、加算も簡単には行かないだろうが。 さて、「ごく限られた世間」においてパネライファンを、パネリスティPaneristi、パネラーとも呼ぶ。Paneristiとは、イタリア本国におけるフェラーリ・ファンをFerraristiと呼ぶことから派生した造語だ。そして、パネライファンはモデル名を品番PAM(パム)で呼ぶのも一般的である。そうした内外のPanerai同好会のWEBを見て頂ければ、Paneristiの情熱が伝わって来ると言うもの。実は筆者もそのPaneristiのひとりでもある。 ということで、今回はPaneristiのWEBに投稿した2002年3月当時の筆者のレポートを掲載したい(一部写真付加、加筆修正あり)。 (購入に至るまでの経緯、決意など) 昔から気にはなっていたものの、今までためらっていた理由は: @昨今のデカ厚ブーム以前に44mmという実物を見てあまりの大きさに戸惑う A軍用時計がルーツゆえに、抜群の視認性とデザインの思い切りの良さが逆に、「軍用=血なまぐささ」を連想させる(アラブ世界で現実に「被空爆体験」している自分にはなおさら!!!) B最近、FRANCK、D&SCHALDENBRAND、EPOS、TISSOT PORTOのトノー4連発ときて、時計道楽?への出費を慎むべき状況に陥ったこと (写真右⇒: 2004年7月、オスロ国立美術館にて。 ムンクの「叫び」を背景に一枚。この後、8月22日にまさかこの絵が強奪されるとは。何ともやるせない気持ちで残念・・・) しかし、ふとしたことから実物に触れる機会を得たところ、意外にも巨大な44mmの余りのフィット感の良さと質感に感動し、後は他のPanerisiti同様に深みへ一直線に。。。本当は最新のRadiomirGMT/ALARM希望なれど、予算的に不可。44mmを前提に3針式、カレンダー+自動巻で吟味。一方でORIGINALデザインの良さにも魅了され、PAM001(3針黒手巻き)、PAM061(TITAN、茶手巻き)、PAM00088 に絞り込み悩みに悩む日々が。 最終的にはGMT機能があり、時分ハンドはサブマSubmersible系、BAR-INDEXはHistoric/PAM001系、銀眼スモセコはレガッタ似である松花堂弁当のような2001年MODELのPAM088に決定。(SIMPLE IS THE BEST であるヒストリック系PAM001、PAM061も相変わらず耳元で囁き続けており今後の自分の判断と行動が怖い。。。) (購入した店、値段) ドバイの正規代理店SEDDIQUI&SONSにて(写真右:現在、種々20モデル位を展示中)。2002年3月時点の為替で換算すると、日本の(定価+消費税)より約1割強安いレベル。因みにドバイは香港同様に消費税は無い。店では販売時にプラカバーは皆廃棄しているそうで、PAM088用も既に無かったので他の44mmタイプのプラカバーを強引に付属させた。現在海外在住中ゆえ、24時間式のGMTは実用度100%。 (購入後の使用感や感想) (ケース&メカ) 独特のクッションケースと、44mmという大きさが驚くほど使いやすい。SINN356やOMEGA SPEEDMASTERも物足りなくなってしまう。いわんや、ドレスタイプの通常モデルは子供の時計に思えてしまうから大きさへの慣れは怖い。 またローターのグルグル回転振動は今まで経験したことのないもので、BELL&ROSSのようにベアリングを使ったローター軸部分に似ている感触があり、力強くて満足している。精度については、機械式でありかつCOSC認定ゆえに、秒単位誤差云々は一切気にしないこととした。 |
(ベルト) 茶色クロコのオリジナルベルトは 、 その厚みと風合い、白ステッチ共に気に入っており、これから茶革の色合いの変化を楽しみつつ、駄目になるまで使い込むつもり(もしかしてカミーユ・フォルネ製かな?⇒実はオーストリア・ヒルシュ製である事を後日知る)。革の厚みが何とも気分である。一方、ON-DUTYでは靴・ベルトの色と統一させるのが原則ゆえ、黒系統の靴・ベルト時にはそのオキテを破るべきかちょっと悩んでいる。個人的には44mmにはブレスより革ベルトの方が、ケースとダイヤルデザインをより際立たせると思う次第。 40mm用のDEPLOYMENT-BUCKLEを入手して茶谷さんとかでベルトを新規オーダーもしたいが、今はオリジナルを使い込もうと思っている。(余談だが、先日「市場調査」したイタリアでは革ベルト’モレラート’が多く、パネライ用も色、種類ともに安価で豊富に揃っていた。流石、本場!(尚、D-BUCKLEは結局、ラジオミールと同様にBanda社製ダブル式を愛用中。価格・質感・装着感共に満足ゆくもので、純正バックルにも負けない充足感が得られた。) POLISHED-SSも存在感あり、PANERAIの目指す'CONFIDENTIAL BRAND' として、所有・装着する喜びを十二分に味わせてくれる。アラブ人も腕時計が大好きであり、先日もドバイで白装束「トーブ」に白文字盤パネライ手巻き2針タイプをしている御仁とPARTYで遭遇し、国境を越えた臨時OFF会(?)を楽しむことが出来た。 添付写真の背景で当地の民族衣装(=正装)を感じて戴ければ。。。 長々と失礼! (参考文献) PANERAI STYLEBOOK1&2 (世界文化社刊) (加筆修正) 2008/8/31 パネライ関連WEB: @ルミノールGMT(PAM00088)はこちら。 Aラジオミール(PAM00062)はこちら。 B『生誕地フィレンツェにPANERAI Boutique 1号店を訪ねる』はこちら。 C『デカ厚ブームの嘘、パネライの真実』はこちら。 D『マニファットゥーレ・フィレンツェManifatture Firenze・Aged Calf Leather Strap 1942』はこちら。 E『マニファットゥーレ・フィレンツェ・新作2本』はこちら。 F『ヌーシャテル訪問記〜パネライ工房門前払い』はこちら。(2006/10/01UP) G『ラジオミール・ブラックシール(PAM00183)』はこちら。 H『ラジオミール用革ストラップにおける”全体バランス論”』はこちら。(2010/01/01) I『2010年8月、リヤドの直営BOUTIQUEを訪問する』はこちら。(2010/08/13UP) J『ラジオミールPAM00103、小体で古典な三味胴ラジオの楽しみ方』はこちら。(HP開設7周年記念) ⇒腕時計に戻る |
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