随筆シリーズ(95)

『2011年5月、ミラノ再訪記』





2011年5月、久々のミラノ再訪を通じて、今回は街中で見た光景をスナップすることに。
恐らく『時計オヤジ』にとって、欧州で一番面白いファッショナブルな街がミラノ。
時計ブランドの充実さではGENEVEやシンガポールに譲るが、
それでも『時計と靴』については間違いなく『天国』なのがミラノ。
名店GRIMOLDIパネライ関連はここでは触れず別途、Deepに考察する・・・。


(↑上写真: ミラノ・マルペンサ空港でのZENITHの最新巨大広告。
こうした広告は旬の時代を映し出す鏡でもある・・・)




(2011年5月、初夏のミラノは最高の季節〜)


5月某日早朝、マルペンサ空港に降り立つ。
久しぶりのマルペンサだが、以前は無かった市内までのシャトル電車が開通していた。ミラノ中心部より車で1時間近くはかかるのだが、交通渋滞があれば尚更時間は読めない。そこに電車開通、ということで、マルペンサもようやく他の大都市並になったということ。

(⇒右写真: 冒頭のZENITHに対抗するようにE.ARMANIの時計広告が〜)
EA(ARMANI)の時計は、適度なカジュアル感とそのデザイン・価格を武器に世界中を席巻している感じ。スタイリッシュなデザインは仕事からOFFまで広くカバーできる。そして機械式搭載モデルも多いのだが、どうみても中華製の機械を搭載しているようで、長い目で見たメインテナンス観点からは不安がよぎる。個人的にもその機械式の『眺め』も貧弱に感じる所が多いので、興味はあるが購入までには至っていない。
せめてETA搭載できれば、信頼度は全然違ってくるのであるが・・・。








(←ミラノでの宿は定宿『GALILEO』を選択〜)

マルペンサから電車ではなく、事前に予約したホテルのリムジンでチェックイン。市内まで約90ユーロ、1時間弱の距離だ。
このGALILEOはドゥオモ近くに立地、ブランド街も徒歩圏内の距離にある至極便利なホテル。おまけにJSTVまで観れるので仕事、休暇を問わずこちらを利用している。古いが小奇麗で食事・BARも中々良い雰囲気。
同じ系列ではミラノ中央駅前のミケランジェロもオススメ。今回、両方のホテルに宿泊したが、食事の美味さではGALILEO、部屋の新しさではミケランジェロに軍配が上がる。
共に何度でも泊まりたい(⇒そうしているが)ホテルである。













(ミラノ市内はBIKE
(=自転車)天国〜)



今回ミラノで感じたのは、自転車(BIKE)が多いこと。
市内の至る所で、男女の働き盛りが自転車を多用しているのを目撃した。中でも”BIKE ME”というメンバー制の共有自転車。下写真のように、主要地下鉄駅前にこのようにBIKE MEが並んでいる。ここで好きな時間に自転車を利用し、目的地では同様に乗り捨てるというシステム。云わば下駄代わりの自転車活用術。恐らく、イタリアはミラノのような大都市や、フィレンツェのような古都における排ガス規制が厳しい。そうした環境面からの『改革』としてこうしたBIKEの活用が浸透しているのだろう。









(←左写真)

市内でイタリア人が自転車を乗る姿は日本のそれと違って、皆お洒落。
今回、自転車ライダーを街中でSNAP撮影を行ったが、どれも中々絵になっている。中には確信犯的に自転車を小道具として使っている御仁もおり、流石はミラノ、何でもファッションに取り入れる感覚は図抜けていると感じたものだ。

この御仁、足元の赤いヌバック革の靴はTOD'Sのドライビング・シューズ。何よりもこのクラシックな自転車に革製のサドルバッグ(=振り分け鞄)をリアに装着。そして、走ることなく歩道で携帯電話で時間稼ぎ、周囲の注目を一挙に浴びようとする魂胆(か、どうかは分からないが・・・)には感服する限り。悔しいけどサマになっている。
因みにこのsnap-shotの撮影場所はモンテナポレーネ。ミラノのど真ん中、GUCCIの斜め前でこうして立ち止まる姿は、ヤラセというか確信犯以外のナニモノでもないね・・・。












(⇒右写真: 何故かVESPAがイタリア中で目立っている〜)


多分、Vespaはリバイバルブームなのだろう。
色々な店でVespaグッズを販売していたり、別途レポートする某博物館でもVespaの歴史回顧展を開催するなど、その人気・注目度合いの高まりはミラノ以外の都市でも顕著。
こうしたピンクの可愛らしいVespaなんか、リアシート後方の荷物固定用パイプとかベージュ色のシートとのマッチングも抜群。もしこれを日本で見たら、暴走族系のカラリングにしか映らないだろうが、そこがイタリア、全てが不思議と街中に溶け込んでしまうのだ・・・。








(ミラノ市内で見かけた気になる時計を紹介する〜)


(←左写真)

まずこちらはGRIMOLDIの店で見かけた”MAX-BILL”の3針とクロノ。
今や類似品も数多く出回る、バウハウスデザインの血を引く傑作品。
特にクロノが良い。縦2つの小ダイアル2眼式で、ベゼルも殆ど無いので文字盤面積が目一杯、外周ギリギリまで確保されている。

写真右から2本目の黒文字盤のクロノなんて、渋すぎる。
古典の血を受け継ぎつつ、現代におけるミニマルなエコ感をも十分に表現している。まさに普遍的な美しさが宿る時計、と言えるだろう。、











(←左写真)

こちらはミラノの名店”ROCCA”の別注レベルソ。
手巻きビッグ・レベルソであるが、8時位置のINDEXは赤字で”R”に変更されている。店名のイニシャルをさりげなく(でもないか?)配置してあるのだが、もしオーナーのイニシャルも同じRであれば、まさに買いの時計、かも知れない。

2針の完成されたシンプル・レベルソには、御託や論評を加える必要性も無い。古典で普遍の良い時計である。












(←左写真)

こちらはぐっと趣を変えて、タイヤメーカー・ピレリの時計。
良くある冠ブランドのファッション時計だが、良く見るとそのデザインの凝り具合が楽しい。

ベゼルはディスクブレーキを、右側にはブレーキパッドを模したデザインが見て取れる。6時位置にはスモールデイト表示。生憎、現物を手にして確認することは出来なかったのだが、全体的なデザインは纏まった感じ。INDEX数字の12−4−8も気分である。
この時計も相当にイタリアらしい、と言って良いだろう。










(⇒右写真: コチラはGRIMOLDIの新作ダイバーズ〜)


詳細はGRIMOLDI訪問を参照。
この”LUNAR”はSS製メッシュブレスと、オレンジ色の分針がアクセントとなったGRIMOLDI久々の新作。(⇒革ベルトもあり)
500m防水でETA28系自動巻き搭載の牽牛ダイバーズ。

SSブレス装着での重量は半端ではないが、デザインのツボを押さえたデザインで、奇をてらうところが皆無。
基本のキ、で攻めてきたGRIMOLDIは流石である。











(スピーガ通りでFranck Muller直営店を訪問する〜)

云わば、こちらも『定点観測』。ミラノに来たら、GRIMOLDIとFM直営店に顔を出さない訳には行かない。
何故って、昔からそうしているからね。
個人的には筆者と同年代のF.Muller。F.P.ジュルヌも同じだが、50歳半ばでこれから更に飛翔するべくブランドであるが、正直、FMは心配。過去に名作が出尽くした訳ではないのだが、最近の新作はどうも筋が1本通っていない。ブラック・クロコなんかも実物に触れてみたが、心配な出来栄え。何より発想で勝負のフランクであるだけに、難しい課題への回答を今後、どのような新作で見せてくるだろうか。

さて、この直営店で見る数々のモデルは素晴らしい。
全て現行品や過去の作品が中心であるのだが、下右側(↓)のブルー文字盤Crazy Hoursなんて、その深遠なる文字盤の美しさは絶品。FM程色気ある文字盤を作れるメゾンは稀有である。FMを選ぶのであれば文字盤の美しいモデルを選ぶ、という基準は正しいのだ。





















しかし今回、敢えて苦言を呈したいのがこのトラベルクロック(↓下写真)。
これは残念ながら全てが中途半端。最大の難点がFM独特のビザンチン数字書体が違うこと。
どこかのパチもの時計か、とさえ連想させるこの書体、非常に違和感を感じる。
多分、外注だろうが、こうした細部の詰めは絶対に手を抜いて欲しくないところだ。




















※因みに2005年1月のFM直営店訪問記はコチラ




(⇒右写真: リナシャンテ屋上のカフェにて〜)

2011年5月。初夏のミラノは暑いくらい。
ドゥオモの横にあるデパート『リナシャンテ』屋上が素晴らしい。
目線で隣りのドゥオモを眺めつつ食事が出来るのだ。穴場である。
『時計オヤジ』は好物のハイネケン片手に束の間の至福の時間を満喫する。

さて、この随筆シリーズも今回で8年目の95回を数える。
我ながら良く飽きもせずに続けているものだ。但し、このHPは全て自分の記録としてのコンテンツであり、申し訳ないが読者の都合や興味何ぞには無頓着である。もし間違って何らかの期待をされている方がいれば、早々に諦め願いたい・・・。
こちらとしてはもう暫く、今回仕入れた『イタリアネタ』中心で展開し、100回目記念として『例の訪問記』をぶつけるつもり。

今回のイタリア旅行は季節も最高であり、過去にも増して感動を胸一杯に味わうことが出来た。まさに『時計オヤジ』冥利、Paneristi冥利に尽きる旅となったのだ・・・。

我が悔い無き『時計人生』に感謝、である・・・。(2011/7/01) 375500




2011年5月、イタリア再訪関連ページ:
⇒『GRIMOLDIの長男、ロベルトと再会する』はこちら
⇒『2011年5月、ミラノ再訪記』はこちら
⇒『U-BOAT直営Boutique訪問記@フィレンツェ』はこちら
⇒『ダ・ヴィンチ科学技術博物館訪問記@ミラノ』はこちら
⇒『聖地巡礼3部作・パネライ・ミラノ直営Boutique訪問記』はこちら
⇒『聖地巡礼3部作・フィレンツェ1号店Boutique再訪記』はこちら
⇒『聖地巡礼3部作・イタリア海軍技術博物館訪問記』はこちら



『ちょい枯れオヤジ』の過去の関連ページ:

『ちょい枯れオヤジのミラノ徘徊』はこちら。
元祖、2005年1月の『ドゥオモ店のGRIMOLDI訪問記』はこちら。
『再訪、ミラノの名店GRIMOLDIでBUGATTI TYPE370を楽しむ』はこちら。
『生誕地フィレンツェにPANERAIブティック1号店を訪ねる』はこちら。
『イタリア時計巡礼〜フランクミュラーを探す旅』はこちら。
フィレンツェの『Ferragamo博物館探訪記』はこちら。
フィレンツェのアウトレットで買う『Tod's Calfskin Loafer』はこちら。
『イタリアで英国靴を探す旅〜Church購入記』はこちら。




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