2006年1月某日、真冬のジュネーヴに立つ。 2002年12月以来の『スイス時計聖地巡礼の旅』である。 まさか二度と聖地巡礼など出来まいと思っていただけに気合も入る。 そして、肩肘張らずに時計三昧に浸る『時計オヤジ』の小旅行のはじまりだ。 (↑上写真: St.ピエール寺院からレ・マン湖の最南端を臨む。 140mの大噴水は冬季はお休みだが、ここからの市内眺望はジュネーヴで一番。 素朴で美しい街並が目に染み入る。終の住処にしたい素敵な街、ジュネーヴ・・・) |
(いよいよ、丸3年ぶりに『スイス時計巡礼の旅』が始まる〜) 2006年1月、3度目の正直。『スイス時計巡礼の旅』を再度実践する時が来た。 今回のテーマはズバリ、Watch Valleyことジュウ(ジュラ)渓谷、時計作りのメッカたるVallèe De Joux訪問だ。 2002年12月以来の『スイス時計聖地巡礼の旅、第二弾』である。 5泊6日、『実働、丸4日間』の『短期集中時計講座・実地編』というところだ。 旅の起点はもちろんジュネーヴ。 まずはジュネーヴで新旧2大メゾンを訪問後、雪深い山を越えル・ブラッシュから、ル・サンティエへ抜け、その後ベルンを基点としてオメガの本拠地ビエンヌ、パネライ工房のあるヌーシャテル、そして旅の終着点であるラ・ショード・フォンへと向かうルートである。 今回のスイス到着はチューリヒ国際空港であったが、すぐさま国内線に乗り換えてジュネーヴ入りする。聖地巡礼の旅の起点は絶対に、『我が愛しのジュネーヴ』と決めていたからだ。 季節はまさに厳寒の1月。 どの都市もほぼ氷点下の気温であり、寒さに弱い『時計オヤジ』には結構こたえる。 しかし、それもつかの間。いつしか厳冬のスイスもそれを体感する喜びに変わるとは。 季節に関係なく、やはりスイスは何時来ても楽しいのだ。 初日の夜10時前、興奮と疲れも重なりジュネーヴ空港からタクシーでホテルへと急ぐ。 今回の宿も昨年11月同様、お気に入りのKIPLING MANOTEL(←左写真)である。 (ジュネーヴの街を一望出来る丸秘SPOTへと早速足を延ばす〜) 翌朝、前回訪問し損ねたSt.ピエール寺院Cathedrale St.Pierreを訪問する。 旧市街の中心、リーヴ通りのすぐ裏手に位置するこの大聖堂はカトリック教会として12〜13世紀建造された。その後、16世紀に宗教改革者カルヴァンがここを根城としてからプロテスタント寺院として有名になった。『カルヴァンの椅子』なるオブジェも飾ってある(⇒右写真)。 この地下室には4世紀頃の洗礼堂やらモザイク式床の跡なども見学できる。意外や、歴史の重みある教会であるが冬季でもあり、観光客はまばら。こうした、ちょっと寂びれた雰囲気も時計巡礼旅行の気分を高めてくれるのだ。独りで悦に入る『時計オヤジ』である。 さて、この教会北側にある塔に登るとジュネーヴ市内の眺望が堪能できる。 冒頭の写真が、『レ・マン湖、最南端を臨む』である。ここから観る360度のパノラマ景色は絶品。 入場料4フラン(=2.60ユーロ)を支払い、St.ピエール寺院内部からの階段を登る。受付の人の説明によると、中段の展望塔までは153段、上段の展望塔は更にそこから54段の階段を登ることになる。人ひとりやっと通れる石段式の螺旋階段は中世の風情たっぷりだ。 (←左写真: St.ピエール教会の正面。ギリシア風の顔立ち、ファサードである) なるほど、期待に違わず素晴らしい眺望である。ジュネーヴ市内を鳥瞰撮影した有名な写真やら絵葉書は多くはここからのものだ。生憎、冬季にはレ・マン湖の大噴水もお休みであるが、それでも見事な景色に溜息である。『時計オヤジ』の目には、あの通りもこのビルも全て時計ブティックやらと結びつき、脳裏ではまるで『ジュネーヴ市内時計地図』に変換された光景になってしまうのだ。 余談だが、市内の、とある時計店で面白い話を聞いた。 レ・マン湖の大噴水は金さえ払えば冬でも好きな時間に見ることが出来る、というのだ??? その御代は5分間で1000フラン(=邦貨換算約9万円!)。彼女へのプレゼントに手配をする殿方もいるのだろうか。LEON的でいいね、こういう洒落っ気は『時計オヤジ』も大好きだ。実は今回のジュネーヴ滞在中の正午近くに突然、約5分間、大噴水が上がるのを目撃した。あれは一体どこかのLEONオヤジが『特注』したのか、はたまた『時報噴水』か、それとも単なる偶然で見れたのか、興味は尽きない・・・ |
(ジュネーヴに来たら何度でも訪問すべし、 パテック・フィリップ博物館 ’PATEK PHILIPPE MUSEUM’〜) 何度訪れても良い。まるで参拝する心境・・・。 ジュネーヴに来て、パテック博物館を訪問しない時計フリークは『モグリ』である。 3度目の訪問だが、僅か一時間足らず、駆け足で見学する。 特に、1階のパテック・フィリップのコレクション、そして2階にある16〜19世紀のアンティーク傑作品の数々は何度見ても飽きない、時間が足りない。 ここに来るとスイスそのものを、そしてスイス時計の頂点の歴史を実感・震撼さえするのだ。 入場料10フランの価値は十二分だ。時計フリークとしては安過ぎるほど。 自分の心を鎮めて、時計の心眼を見開いて一品一品、逸品逸品と対峙するが良かろう。 ⇒ 2005年11月の『パテック・フィリップ・ミュージアムPATEK PHILIPPE MUSEUM再訪』はこちら・・・ (←昼食は定番、シーフード料理店”Cafe Du Centre”にて〜) こちらもパテック博物館同様に飽きない、美味しい。 ここで食べないとジュネーヴに来た実感も湧かない。 パテック博物館、レ・マン湖、CafeDuCentreが『ジュネーヴ3種の神器』なのだ。 違うかぁ? パテック、J.M.Weston、時計ブティック各店??? まぁ、見所満載ということである。 ←メニューも毎度毎度同じ。 ハーフダズン(6個)の中型サイズのカキとゆでた蟹を丸々1匹だ。こいつらを白ワインでやるのが最高に旨い、美味い。夏場もカキはあるのだろうか?そういえばパリの7月にもオペラ座近くの路上カフェでオイスターを満喫した記憶がある。多分、ここでも通年味わえるのであろう。カキとカニ。。。『時計オヤジ』にはこの組合せで満足至極。食後のシガーもうまい。昼時の混雑時ゆえ恐縮しながら嗜むが、毎日来たいシーフード料理店”Cafe Du Centre”である。 |
(ヴァシュロン・コンスタンタンにご挨拶を〜) 今回の巡礼旅行第一の目玉は、プラレワットPlan-les-OuatesにあるVacheron新工場の見学である。その打ち合わせを兼ねて市内のVacheronブティックを訪問する。 毎回お世話になるジャクリーン嬢ともアポを取得済み。 今回は打ち合わせ、プラス、『お買物』も付属しているのだ。 やっと正式な『お客様』としての訪問でもある。その中身は『買物編』で披露しよう。 (←左写真: 言わずと知れたVacheronの本社ブティック=左側、と時計台) (トゥール・ド・イル"Tour de I'lle"の時計塔〜) ヴァシュロンは昨年(2005年)で創業250周年を迎えた。 1755年、ジャン・マルク・ヴァシュロンという若手マスターウォッチメーカーが立ち上げた当時の工房は上写真にある時計塔にあったという。(因みに現在の時計塔1階には自動ドア付きの銀行が入っている。そんなどうでも良いことは、どの時計誌も触れないが・・・) 250年前に時計という精密機械産業が既にこの地ではスタートしていたことを再度、自分なりに噛み締める。 恐ろしく深淵なる歴史ではあるまいか。世界最古の時計会社たる歴史と威厳を今、この時代に味わえる幸せ。言葉にならない。 現在のムーラン通りrue des Moulinsにある本社ブティックが建てられたのは1875年。それでも131年前ものことである。 そして1890年に撮影された当時の時計塔が下のモノクロ写真(↓)である。 当時は、この時計塔とブティック建物の2箇所を拠点としていたことが分かる。 写真では分かりにくいが、時計塔の下の方には、真横に掲げられた帯のような看板が見える。 看板には以下と記載されている: FABRIQUE o'HORLOGERIE VACHERON & CONSTANTIN (←左側モノクロ写真: 1890年当時の時計塔。 (←写真右側: 2006年1月現在の時計塔である) 時計塔、時計のデザインには多少の変化・修復が見られるが、基本的には変わっていない。 隣の建物も含めて当時の面影が十二分に保存・維持されていることにスイスの、欧州の歴史を感じる。 石造りの建造物はこうして年輪を重ねるのだなぁ。 欧州における建築学、建築の歴史、風土と建築、をテーマに探求するのも非常に面白そうである。 さて、こうしてジュネーヴ初日からマイペースで行動する時間は、瞬間瞬間がまさに至福の時。 その代わり、一から十まで自分で設計して実行するミニPROJECTでもある。 諸々の事前準備、アポ取り、面談、会話記録、写真撮影、移動手段確保、各種交渉、『移食住』の手配、etc、etc、 こうした手配を独自に行うのは本当に楽しいが自ずと限界もある。その限界をどこまで伸ばせるか、、、 時計巡礼旅行の醍醐味、まさにここにあり、だ。 (その2〜『ジュネーヴ買物編』へ続く〜) ⇒ 『その1、ジュネーヴ到着編』はこちら。 ⇒ 『その2、ジュネーヴ買物編』はこちら。 ⇒ 『その3、ジュネーヴ気になるブレゲ編』はこちら。 ⇒ 『その4、新生ヴァシュロン・コンスタンタン工場訪問記』はこちら。 ⇒ 『その5、ウォッチランド再訪記』はこちら。 ⇒ 『その6、時計師ホテル滞在記』はこちら。 ⇒ 『その7、 AUDEMARS PIGUET & Co.博物館訪問記』 はこちら。 ⇒ 『その8、ヌーシャテル訪問記』はこちら。 ⇒ 『その9、オメガ博物館訪問記』はこちら。 最終章 ⇒ 『その10、旅の終着点、ラ・ショード・フォン再訪』はこちら。 (時計オヤジ、前回訪問の『2005年11月ジュネーヴ再訪〜』関連のWEBはこちら) ⇒ 『ジュネーヴ再訪、PART-1』はこちら・・・ ⇒ 『ジュネーヴ再訪、PART-2』はこちら・・・ ⇒ 『再訪、新メゾン・ヴァシュロン・コンスタンタン』はこちら・・・ ⇒ 『2002年12月、旧・ヴァシュロン本社博物館探訪記』はこちら・・・ ⇒ 『パテック・フィリップ・ミュージアムPATEK PHILIPPE MUSEUM再訪』はこちら・・・ ⇒ 『2005年11月、ショパールChopard本社工場探訪記』はこちら・・・ ⇒ (腕時計MENUに戻る) |
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