(ジュネーヴ『市内』のブレゲ工房は『一般開放』されているのだ〜) 冬のジュネーヴ。 ローヌ河沿いの広場には右写真(⇒)のような臨時スケートリンクが設営されている。 ニューヨークのロックフェラー広場にある冬季限定スケート場も有名だが、このジュネーヴにも毎シーズン開設されている。 1月平日の夕方6時。流石にスケートで遊ぶ子供達はまばらだが、街中の特設スケートリンクということで周囲で見ている人々の方が多いようだ。 気温0度。河畔の風も切れるように冷たい。耳を出していると千切れそう。 約30年前に当時の渋谷Trading Postからメールオーダーした紺のウォッチキャップを耳まで下ろし、それでも凍える『時計オヤジ』である。この写真後方のビルの1階に、ブレゲとブランパンの直営ブティックが開設されている。 (←左写真: ブレゲ直営ブティックの外観〜) 2005年11月時点では工事中であったので、本当につい最近のオープンであったと思われる。専門店だけあって、ウィンドウ・ディスプレイには並々ならぬ力が入っているのが実感できる。特にブレゲの展示モデルは全部トゥールビヨン!!!一体、何種類のトゥールビヨンが展示されているのだろう。6〜8種類はあったかと思うが、全てケージが回転・実動状態で、展示されているのは感動ものだ。 お隣のブランパンも気合が入っている。その隣にはジャケ・ドロー専門店もあり、Swatchグループの頂上ブランド勢揃い、という差し詰め『ジュネーヴ・ミニWatch Valley』であるのだ。 (⇒右写真: ブレゲの専門工房が併設。 『スケルトン』工房であるのも凄いサービス!?) このブレゲ・ブティックには修理工房も併設されている。何と、4人の時計技術者が修理・作業している光景がガラス張りで外の通りから見えるのである。目の前、4〜5mの距離で、白衣を着た技術者達が黙々と仕事をしている。見る側への凄いサービスであるが、スケルトンルームで作業する技術者の方々には何ともお気の毒。多分、ご本人達は慣れっこになっているのだろうが、ちょっとやり過ぎのような。 机は多分、ブレゲ工場と同一のもの。机上の工具やら、電灯やらも当たり前ながら本格的なものばかり。決して、付け焼刃の『見世物工房』ではなさそうだが、やはり目的はより、『一般大衆への認知度の向上』であることには違いない。こうした高級時計の修理風景を一般人の目に触れさせるというサービス、より高級時計を身近に感じてもらおうと言う姿勢は一昔前では考えられなかった。 スイス高級時計は『ニッチ産業』である。完成品の数量ベースでは中国・香港製に遥かに及ばない。スイス時計業界も時代の波に対抗する為に伝統に胡坐をかかず、努力と変化に必死である。その一つの表れが『スケルトン工房』と読む。『時計オヤジ』は、思わずガラスに食い入るように近づき、暫し凝視してしまう。何とも、楽しい、意外なる『市内ブレゲ工房』であるのだ。 |
(今回の時計巡礼を通して『時計オヤジ』の注目を集めた逸品達〜) 毎度ながら目移りしていしまう傑作品に数多く出会った『スイス総本山』である。 その中でも非常に心を揺さぶられたのがこちらの3点。 (⇒ ブレゲBreguet クラシック・トノー) Ref.5480BB/12/996 Cal.516GG 30石、パワーリザーブ72時間 男性的なトノーである。ケースとラグのデザインが良い。 ブレゲ針、BIG-DATEと秒針ダイアルの『間』も上述、リミテッド2000に酷似。 すわ、ETAムーヴ使用か?いやいやまさか、ブレゲではやらんだろう。パワリザも72時間あるらしいが、ダブルバレルだろうか?18金WGの鈍い輝き(⇒表面は勿論、ロジウムメッキ処理)も何ともホンモノである。今回の旅を通じて、ブレゲへの興味は日に日に増加して行った。やはり、『現代のブレゲ』も大変良い時計&仕上げであることを今更ながら再認識させられた。そのストーリー性からみても、その卓越した意匠から見ても、惚れるならまさしくブレゲ。 18金無垢の小振りなケースに入れられた二つ目クロノなんぞを腕に巻くのは実に好ましい。 今回の『時計オヤジ』の大きな収穫の一つともなった『ブレゲ再考』である。 |
(⇒ ブレゲ・クラシック・トラディッション〜) Ref.7027BA/11/9V6 Cal.507DR、24石、パワーリザーブ50時間 やはり魅力的である、この時計・・・。 当初は疑心暗鬼でもあったが、ブレゲの歴史と重ね合わせるほどにやはり良い。 正真正銘の逸品である。 よくぞケース径37mmのサイズに納めた。安易にデカ厚へ走らぬ自己抑制。 まずは何よりもこの点を評価したい。 そして、まんま1800年前後の懐中時計の復刻デザインというのも素直に賞賛する。 このテンプの動きにはトゥールビヨンにも劣らぬ魅力と美しさを覚える。 フリースプラングの走りもブレゲである。1815年製の懐中(No.2686)には既に搭載されている。 歴史的な傑作品をモチーフに、最先端の工作技術と最新合金&部材を用いて新設計(復活)する。古典の復活であるが、全体のイメージはカッチリしている。現代の技術による部品作りの結果であろうか、そうした『隙間の無い仕上げの詰め』が滲み出て来るのが感じられる。 ミネルヴァでも述べたが『時計オヤジ』が長らく待ち望んだコンセプトの具現化に他ならない。 それも桁外れにスゴイ機械を腕時計に搭載してきたのだから垂涎モノ!!! 『♪見えすぎちゃってぇ困るのぉ〜ん♪』と1970年に流れたマスプロアンテナCMではないが(誰も知らんか?)、ここまで思い切った丸見せデザインで勝負に出た御歳78のニコラス.G.ハイエック会長の自信と英断には拍手喝さいする。今までブレゲを避けてきたような筆者であるが、やはり歴史に触れるほどブレゲの凄さに感動しきり。やはりブレゲは直視すべきブランドだ。 |
(⇒ フレデリック・コンスタントFREDERIQUE CONSTANTも見逃せない〜) 廉価クラスにも良い時計は沢山ある。 ORIS、TISSOT、Louis Erard、EPOS、そしてこのFCも仲間に入る5本山。 上述ブレゲ・クラシック・トノーをモチーフとしたのではないかと見間違うほど似ている。 このクラシック・アールデコのトノー銀色ケース(⇒写真向かって左側)が大変気に入った。 ブレゲ針、中3針デイト付き、小さなラグ、そしてETAムーヴだがきっちりと裏スケ。 なかなか潔い。 公式通りに攻めてくるフレデリック・コンスタントの直球勝負モデルである。 現在、日本では代理店にも在庫なし(=2006年2月現在)。 スイスからの取り寄せとなるらしいが、その価値はある。 本当に良い出来映えだ・・・。 ジュネーヴでこうした『時計散策』、ぶらぶら街を歩く楽しさも格別である。 何度でも行きたい街、時計の街、色々と食事も美味しい街、そして冬は滅法寒い街(当然!)、それがジュネーヴであるのだ。 (⇒ 2006年10月訪問の『フレデリック・コンスタント新工場訪問記』はこちら。) (時計オヤジの『2006年1月、Watch Valleyこと、厳寒のVallèe De Joux時計聖地巡礼の旅』関連のWEB等) ⇒ 『その1、ジュネーヴ到着編』はこちら。 ⇒ 『その2、ジュネーヴ買物編』はこちら。 ⇒ 『その3、ジュネーヴ気になるブレゲ編』はこちら。 ⇒ 『その4、新生ヴァシュロン・コンスタンタン工場訪問記』はこちら。 ⇒ 『その5、ウォッチランド再訪記』はこちら。 ⇒ 『その6、時計師ホテル滞在記』はこちら。 ⇒ 『その7、 AUDEMARS PIGUET & Co.博物館訪問記』 はこちら。 ⇒ 『その8、ヌーシャテル訪問記』はこちら。 ⇒ 『その9、オメガ博物館訪問記』はこちら。 最終章 ⇒ 『その10、旅の終着点、ラ・ショード・フォン再訪』はこちら。 ⇒ (腕時計MENUに戻る) |
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