CHURCH'S   チャーチ

CHURCH'S BURWOOD
SANDALWOOD POLISHED BINDER #7340/55
LAST #81、SIZE:8.0G
『2005年1月、イタリアで英国靴を探す旅〜』



("KING OF WING-TIP"〜)
WING-TIPが好きである。
バルモラルbalmoral、ブラッチャ-blucherを問わない。どちらかといえば、ドレッシーなバルモラルは英国風、ブラッチャーは米国式の頑丈な靴、というイメージが強い。今でこそ日本市場には国産、輸入を問わず両タイプが溢れているが、20〜30年前の国内ではブラッチャー一辺倒。REGALのImperial Gradeに代表されるように、Wingの切り返しが踵まで伸びたロングウィング・チップが主流であった。当時の国産では中々、繊細なバルモラル・モデルが少なかった記憶がある。

WING-TIPにはブローグbrogue、メダリオンmedallionと呼ばれる打ち抜きの模様がある。その模様の種類(例えば、丸や菱形等)や羽根のデザイン、足入れ部分のカッティングデザイン等の組合せで無限なるバリエーションが創出される。そんな数あるWING-TIPの中で筆者がNO.1と位置付けるのがこの”Church's BURWOOD”である。数あるフル・ブローグfull-brogueモデルにおいて、派手目の大きなメダリオンが重厚感を高める。
そして、ラウンド・トゥの曲線がサイド部分のラインと上手く重ね合わさる。流行とは無縁のデザインだが、古臭さは微塵も無い。
全体の出来映えからしても『ウィングチップの王様』としての風格十分である。
本来、メダリオンというのは言わば『遊び』のデザインである。このメダリオンのコテコテ感は『遊び意匠』ゆえに、決して正式な、フォーマル靴には不向きである。そこを誤解すると『冠婚葬祭で履く靴』にも間違いかねない。心得るべき点だろう。



(昨夏、倫敦で買い損ねる〜)

2004年7月、倫敦のジャーミンSt.のChurch'sで買い損ねた筆者は、その仇をイタリアで取る決意をしていた。
イタリアで英国シューズを探すとは少々場違いの感もしないではない。しかし、いいものは良い。BURWOODが好きなのである。イタリア人も英国靴には一目置いている。それが証拠にイタリアでChurch's直営店も出店されている。折りしも、タイミング良く『紳士の王国 Gentry』(2005.2月号)でチャーチ特集を見る。なるほど、Church'sもミラノに直営店を持つことを知り、期待して『イタリアで英国靴を買う旅行』に出かけた2005年1月である。



(←左写真) 倫敦はバーリントン・アーケードBurlington Arcade
2004年7月に訪問した倫敦のバーリントン・アーケード内にあるChurch's店。流石、本場の店舗は壮観!下のミラノ店もshow-windowは2枚あるものの、間口の広さは、展示品の種類・量ともに本場バーリントン・アーケードの比較にならない。

サイズは既にこの時に確認済み。8.0GをJUST-SIZEとする『靴オヤジ』である。幅広のGウィズは一般的ではない。果たしてイタリアで在庫があるか正直、不安であるが、運を天に任せよう、、、








(いよいよミラノの直営店を訪問する〜)
写真右がミラノ直営店⇒
モンテナポレオーネ通りと交差するVia S.Andrea店は2000年にオープンした。上のバーリントン・アーケード店とは異なり、こうしたモダンな店舗外観が新しいChurch'sの海外戦略であるようだ。
モンテナポレオーネ通りからちょっと曲がったVia S.Andreaにあるこの店は、注意しないと見過ごしてしまいそう。ミラノのSHOPはどれもカッコイイので、Church's専門店とは言えども、街中のshopの一つとしての佇まいだ。溶け込んでいる。






肝心のBURWOODの在庫は艶消しアンティーク仕上げモデルのみ。ワンサイズ幅狭の8.0Fも無い。どうやらこのモデル、簡単には在庫がある訳ではなさそうだ。Church'sのオンラインでイタリア国内在庫を調べてもらったが、現在、NIL。在庫無し、とのこと。残念、今回も入手不可能か、と暗雲漂う・・・

←写真左: Church'sのWモンク"George"は545ユーロ。オーソドックスなラウンド・トゥは流行を超えた伝統的なデザイン。Wモンク・ファンの『靴オヤジ』としては、BURWOODから乗り換えようか、と気持ちの迷いがグラグラと、、、










(⇒ローマはコンドッティ通りにあるChurch's店〜)


フィレンツェにはChurch's直営店はない。
いわゆるメンズショップに属する紳士服飾店、靴SHOPには何店かある。中で一店のみ、Church's扱い服飾店があった。ヴェッキオ橋から続くVia Calimaraにその店には相当数のチャーチ在庫があるが、ここでもサイズ切れ。残念。

⇒右写真:
ローマのブランド銀座通りコンドッティ通りの直営店。
入口は左側がshow-window、右側がドアとなっている。フィレンツェのパネライ直営店と同じデザインだ。ここでも、在庫無し。聞けば、イタリア向けのワイズはFが中心だが、夏場に向けて足がやや膨張?する傾向があり、Gの入荷も行うとのこと。『丁度、BURWOODも8.0Gがshipping(輸送)途上であるので、滞在中にまた来てください』とのアドバイスを得た。しかし、僅か3日のローマ滞在では、そんな幸運にも巡り合えまい、と半ば諦めの『靴オヤジ』であった。






(翌日、何と8.0Gが到着〜)
しかし幸運とは良く言ったもの。
翌日、SHOPを駄目もとで再訪すると、1時間前に到着したばかりというBURWOODが届いていた。念の為、木型#81において8.0F、8.0Gを履き比べて購入決定となる。

(←左、写真)
ほぼ実物に近い色合いのSandalwoodと呼ばれるやや薄目の飴色のような茶色である。光沢ある薄茶色のBURWOODは迫力満点。目立つ!!!







チャーチの中でもこのBURWOODのブローグ穴は大き目。多分、Church'sで最大ではなかろうか。この茶色も良いが、黒のBURWOODも更に迫力、凄みが増す。ワイズGは多分、EEかEE半くらいに相当する。筆者にはJUST-FITである。CONSUL(木型#100)の8.0Fと比べるとやはり、若干のゆとりと心地良さが勝る8.0Gである。

このモデルもそうだが、Church'sの靴紐も独特。
立体感ある平紐で、ソフト感を十分に実感できる。靴本体の革色と同色である。長さは少々短めの73cm。意外であったが、ローマのChurch's直営店では替え紐もシュークリームも販売していなかった。







(伝統のグッドイヤー製法〜)

カントリーシューズのような頑強なるダブルソール。
無骨な靴底はチャネル仕上げでもなく、ごくごく普通の出来映えである。

ミラノ滞在中のホテルで、あるイタリア人紳士が毎日、チャーチのBURWOOD茶色・艶消しアンティーク仕上げを履いていた。艶消しにするか、光沢革にするかでも若干迷ったが、初志貫徹。ガラス仕上げ、コードバンのような輝きの光沢モデルを選択する。

土踏まずの絞込み、つり込みもごく標準的。時計で例えれば、ROLEXのスタンダード的存在か。繊細さよりも頑丈さ、気品よりも貫禄。長年の実用と修理にも耐えそうだ。片足の重量は600グラム丁度。かなり重い方である。




ONでもOFFでも、スーツでもジーンズにでも似合いそうなBURWOODは、これから出番がかなり多くなりそうな予感がする。そうだね、多分OFFで多用するのが似合うかもしれない。次回、靴底の交換には合成ゴムのダイナイトタイプも良いかな、等と早くも先の心配をしている『エコノミー靴オヤジ』である。
『贅沢になり過ぎない靴道楽』、が靴オヤジのモットーであるのだから。。。(2005/2/12)








(参考文献)
『紳士の王国 Gentry』2005.2月号(P.87〜「チャーチの魅力再確認」。アシェット婦人画報社刊)




追記1)

2010年の復刻限定発売で爆発的な人気となった『上海shanghai』(⇒右写真)。

その人気の凄さに遂に定番に格上げされた。CHURCHのHPでは定価600ユーロ。現在のユーロ安(=1ユーロ100円!!!)では約6万円、それでも可也高価だがこのクラシックテイストを独自のダメージ加工で表現した手法は見事。
今年4月にロンドン再訪を目論んでいる『靴オヤジ』としては、このSHANGHAIと並んでC&Jのクレープ底グレイWing-Tipに大きな興味を抱いている。4月が楽しみである。(2012/1/14)







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『ちょい枯れオヤジの』関連ページ:

『ちょい枯れオヤジのミラノ徘徊』はこちら。
元祖、『ドオゥモ店のGRIMOLDI訪問記』はこちら。
『再訪、ミラノの名店GRIMOLDIでBUGATTI TYPE370を楽しむ』はこちら。
『生誕地フィレンツェにPANERAIブティック1号店を訪ねる』はこちら。
『イタリア時計巡礼〜フランクミュラーを探す旅』はこちら。
スピーガ通りで発見した『フランクミュラー・WATCHLAND REF.6850SC』はこちら。
フィレンツェの『Ferragamo博物館探訪記』はこちら。
フィレンツェのアウトレットで買う『Tod's Calfskin Loafer』はこちら。
『イタリアで英国靴を探す旅〜Church購入記』はこちら。


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