(2005年1月のミラノは厳寒の中〜) ミラノ・マルペンサ空港に朝10時前に到着。気温マイナス3度の氷点下には驚く。筆者の在住地との気温差は30℃以上ゆえに、降り立つオヤジの身には寒さが余計にこたえる。 入国手続きでは長蛇の列に巻き込まれ、空港から出てくるまでにはかれこれ1時間以上も経過した。早速タクシーに乗り込み、市内のホテルへと向かう。ホテル到着までの所要時間は約40分、70ユーロ也。 (⇒右写真: ドゥオモ広場にて。改修中のドゥオモはその美麗な姿をまだ拝むことが出来ない) ミラノで観光するべき場所はすでに昨夏に済ませた。予約が必要な『最後の晩餐』も、未だに修繕中のドゥオモにも今回は目もくれず、ただひたすらミラノ市内散策を楽しむことに決めている。ホテルから早速、地下鉄で『ミラノの銀座』たるモンテナポレオーネ駅で降りる。半年振りのミラノであるが、真夏も良いが冬のミラノもなかなか雰囲気がある。何よりも道行く人々のファッションが素晴らしい。毛皮コートの貴婦人あり、本場ミラネーゼの『ちょい枯れ&本枯れオヤジ』も闊歩する街並みに我が身を置くだけでも楽しいものだ。 (グリモルディGRIMOLDIの店で衝動買い〜) ミラノに来たら『時計オヤジ』が真っ先に覗くべきはGRIMOLDIの店である。 時計好きには説明不要のあのグリモルディである。市内に3店、それぞれ特色を生かした品揃えをしているが、一番カジュアルで入り易いのはドゥオモ広場の絶好のロケーションに面したドゥオモ店であろう(←写真左)。もっと高級ラインをご希望の方にはマンソーニ通りVia A.Manzoniにある店がお薦めである。今回ここで、まさかパルミジャーニ製のブガッティ・モデルType370(市価三千万円!⇒詳細はこちら)まで陳列してあるとは驚きであった。 さて、ドゥオモ店にて早速ショーウィンドウを覗き込むと、半年前とはレイアウトが様変わりしているのに気付く。後で聞けば、前回『時計オヤジ』が訪問した2004年7月の翌月に店舗改装をしたらしい。どうりでGRIMOLDIの看板文字も消えているはずだ。それにしても半年後の今でも看板が無いとは。時間がかかるのは今も昔もイタリア的とでも言うべきか・・・。 GRIMOLDIの店は創業者Anselmo Grimoldi氏により1964年にスタートした。東京五輪の年であるね。Anselmoは本来、goldsmithであり、以降、3人の息子と1人の娘によるファミリービジネスの時計店としてイタリア国内は勿論、最近ではGRIMOLDIブランドの自社製品も発表することで、今やワールドワイドに有名なイタリアン・ブランドに躍進したのだ。 (⇒写真右: GRIMOLDIの代表モデルである『超楕円ケース』自動巻き3針デイト付き。今やそのコピーも世界中に溢れるほどのIMPACTあるイタリアンデザイン時計だ) |
(ZODIACクロノに一目惚れ〜) GRIMOLDIで時計オヤジの目に止まったのが、2004年バーゼル発表モデルのZODIACクロノSEADRAGON。回転リング付きのダイーバークロノだ。 1882年に起源を持つスイスle Locleを本拠地とするブランドであるが、2002年にはフォッシルグループに買収されている。 さて、自分が気に入る時計、良い時計と判断する過程には2種類ある。インスピレーションで、見た瞬間に気に入るモデル。もう一つは、じっくり自分なりに研究を重ねた結果、これは良い時計であると判断するモデルである。得てして前者には廉価モデルが多いが、このZODIACも御多分に漏れず、前者のパターンに属するモデルである。 クロノグラフはいくつか所有しているが、いわゆる二つ目小ダイアル式のtwo-counterタイプは持っていない。『時計オヤジ』としては、見た瞬間にそのデザインが気に入った。レトロで、デコラティヴな文字盤である。PANERAIのような大型クッションケースであることも原因かも知れない。植字タイプの太目のBAR-INDEXやらカレンダー表示枠が、70年代のデザインを彷彿とさせる復刻モデルと言えよう。見た目、ケースサイズ径も40mm以上はありそうだ。パネライ並の大きさである。正直、少々デカイと感じる。しかし、この時計は完全なるOFF-DUTY用なので、イマドキの流行と割り切ればよろしかろう。100M防水でお気楽なクォーツタイプというのも気に入った。オレンジ色の文字盤もあるが、白文字盤にラバー製の白ベルトというのも何となくお洒落。早速、価格交渉を行う為に扉をくぐる。 (GRIMOLDIの2005年バーゼル・プロトタイプと遭遇する〜) 店内はかなり狭い。人が2−3人も入れば身動きできなくなる。 当然といえば当然であるが、店にはオーナーでもある息子のGRIMOLDI氏がいる。知らない人が見れば丸でEasy Riderに出てくるようなヒッピーの風貌たる胡散臭い(失礼!)3男坊のCesareと女性のバーバラさんが昨夏同様に店番をしている。今回は加えて、長男であるRobertoもいるではないか。『時計オヤジ』としてはそんな幸運に歓喜である。ZODIACの価格交渉もそっちのけで、時計談義に花が咲く。 (⇒写真右: 左から3男Cesare、バーバラさん、時計オヤジ、長男Roberto) (←左写真)。Robertoがしている時計はプロトタイプの超巨大なレクタンギュラー・ケースだ。裏蓋は本来8箇所ビス留めであるが、プロトの現在では4本ビス留めであるそうだ。成る程、裏蓋にはまだ刻印もロゴも何も無い。まさしくプロトタイプ。『時計オヤジ』も手にしてみたが、とにかくデカイ!今年のバーゼルモデルでもあるので拡大写真撮影は許されなかったが、スナップからはこんな雰囲気となる GRIMOLDIファミリーは、大雑把に言えば長男のRobertoが店全般の統括・運営を行い、次男Giorgioがデザイン部門を担当、3男Cesareが買付、その他全般を補佐する役割というところであろうか。皆、気さくでイタリア人的な明るさも加わり店内は狭いながらも楽しい我が家、という雰囲気だ。 (付属としてメタルブレスも強引に装着して頂く〜) オリジナルの白のウレタン製ラバーベルトも良いが、長年の酷使を考えるとやはりブレスのベルトも欲しい。 無理をお願いして、他モデルのブレスを装着していただく。目の前でCesare自らが、ブレス調節に取り組んでくれるのはなんとも嬉しい限り(←左写真)。 このZODIAC SEADRAGONのベルト幅はパネライLUMINOR 40mmモデル同様の22mm幅であるが、ブレスは全体の作りがスリムになっているので、余計にそのケース径、デカ厚時計として目立つ。 (デザイン優先、機能二の次のSEADRAGON?〜) クロノグラフの機能として特筆すべき点は無い。RONDA Cal.5020Bがベースの10石、Cal.RONDA S.021.Dである(⇒右写真)。ムーヴ径12 1/2リーニュligne、ムーヴ厚4.4mm。金メッキされたフルカバード・プレート?はいかにも無機的でクォーツっぽい。見方によっては『ランゲ1』のごとく3/4プレートの雰囲気が漂う?というと言い過ぎか。RENATA395による電池寿命約4年の省エネ設計。 復刻調のレトロな文字盤にはtwo-counter小ダイアルとして通常秒針とクロノ用の分針がある。1秒単位以下の計測は出来ない。SWATCHのような1/10計測機能も無い。総じて比較的簡素なQTZムーヴメントである。そう、この時計はデザインCONSCIOUSな時計、見た目のデザインと押し出しの強さが売りであるのだから全てを求める贅沢は許されないのだ。 本格的なSINNやOMEGAスピマスも良いが、こうした廉価クロノも中々どうして、捨てたものではない。ましてやGRIMOLDI兄弟自らの手が加えられていると思えば、何よりも思い出に残るTime-Piece、お土産となった。 唯一の難点は、時計にも負けない、その馬鹿デカイ、保存用の時計箱である。スーツケースに収めて持ち運ぶにも、そして自宅で保管する際にも少々神経を使う大きさであること。 一昔も二昔も前に『♪でっかいことはいいことだぁ〜♪』と流行ったものだが、最近の時計ケースはまさに大型化、ゴージャス感を競っているかのようだ。力を入れるのは時計本体に集中願い、もう少し質素で質実剛健な箱にして頂きたいと感じているのは『時計オヤジ』だけではあるまい。(2005/2/12) (主要諸元) クォーツ式クロノグラフ、Cal.RONDA S.021.D、10石、ケース径42mm、防水100m、30分積算計、ストップウォッチ計測は1秒単位、日付表示、ミネラルガラス、両方向回転ベゼル、裏蓋スクリューバック、プッシュ式竜頭、電池寿命約4年。ブレス装着時の重量146グラム。 『ちょい枯れオヤジの』イタリア関連ページ: 『ちょい枯れオヤジのミラノ徘徊』はこちら。 元祖、『ドオゥモ店のGRIMOLDI訪問記』はこちら。 『再訪、ミラノの名店GRIMOLDIでBUGATTI TYPE370を楽しむ』はこちら。 『生誕地フィレンツェにPANERAIブティック1号店を訪ねる』はこちら。 『イタリア時計巡礼〜フランクミュラーを探す旅』はこちら。 スピーガ通りで発見した『フランクミュラー・WATCHLAND REF.6850SC』はこちら。 フィレンツェの『Ferragamo博物館探訪記』はこちら。 フィレンツェのアウトレットで買う『Tod's Calfskin Loafer』はこちら。 『イタリアで英国靴を探す旅〜Church購入記』はこちら。 ⇒腕時計に戻る |
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