随筆シリーズ(106)  旅行シリーズP

『2011年9月、ドレスデン再訪記』
(Part-1)




2011年9月、生涯3度目のドレスデン訪問である。
前回訪問より早7年が経過・・・。その変貌振りはどうであろうか?
今回最大の目玉は、『ランゲ工房とグラスヒュッテ探訪』、にある。
今年最後の随筆シリーズはドレスデンとグラスヒュッテに焦点を当てるのだ・・・。
* * *
(↑上写真:愛用のGlashutte Originalを左手にグラスヒュッテ凱旋に臨み、
その興奮もピークに達した『時計オヤジ』である。
(2011/12/03) 402450



(ドレスデン・クローチェ国際空港到着の好例の『出迎え』は〜)

空港に到着し、Baggage Claimを終えて出口から外に出る。
期待した通り、『定位置』に鎮座する大ポスターはGOのもの。
前回、2004年9月にはパノレトログラフの巨大広告であったが、今回は右写真の通り、Rose Goldケースに納まった『セネター』が裏スケルトンと一緒に待ち受けてくれた。このセネターは間違いなく、GOの歴史を飾る代表作の1本である。

実はこのポスター、反対側から観ても全く見えない。
こんな写真をバシバシ撮影する人も皆無。あそこで何やってんだろう、という疑惑の眼差しを反対側の人々から感じつつ、コチラは得意満面で写真撮りまくりである。『時計オヤジ』にとって、この写真撮影こそが、ドレスデン到着を実感する第一の『秘密の儀式』なのである。










(←左写真: GOに対抗するのは巨大ランゲだ〜)

当然、ランゲも負けてはいない。
前回はランゲ1の巨大ポスターが、今回はご覧のように『ツァイトヴェルク』が鎮座する。こちらも場所は前回と全く同じ位置にあり、建物から出口への壁面にデカデカと張り出されている。

このGO対ランゲのポスター戦争こそがドレスデン到着を歓待する最大の『記念碑』と言って過言ではない。

さて、この勝負、どちらに軍配を上げようか・・・。
『時計オヤジ』は躊躇なくセネターを選ぶ。
個人的にデジタル式は好みでない。
クロノスイスのデジターも同様。
ご免ねランゲ、次回はもっと本流の機械式で勝負しなさい!!!












(ドレスデンでの宿はHilton Dresdenと決めている〜)

空港からタクシーを拾い、市内へと向かう。
滞在先は毎回、Hilton Dresdenと決めている。理由は利便性の良さと、『君主の行列』を部屋からも眺めることが出来るほどの至近距離にあるからだ。通りの後方にはあの、フラウエン教会も見える距離にあるのだ。

←左写真の左側がHilton。馬車の後方の建物は再開発で新しく建造されたショッピングセンター。この1階、丁度、Hilton正面玄関の真向かいに欧州で唯一のランゲ&ゾーネ直営Boutiqueも鎮座する『超絶好の危険なロケーション』。正直、ドレスデン全体、特にノイマルクト広場周辺の予想外の再開発度合いには驚く。と、同時にランゲBoutiqueを眼前にするホテルに泊まるとはコチラも驚きだ。矢張り、類は友を呼ぶ・・・。『時計オヤジ』はこうした場所に吸い込まれる運命を背負っているのである・・・。








(何度観ても飽きることがない、『君主の行列』はマイセン2万7千枚を使用している〜)

ドレスデンで一番のお気に入りがこの『君主の行列』。マイセン製の陶板を使用した102mの『回廊』は世界遺産でもある。
オリジナルは1872〜1876年に作られたが、1907年にマイセンで複製が製作されて現在に至る。
歴代ザクセン王が描かれた、この壮観なる光景は朝昼晩と何時見ても素晴らしい。一日中観ても飽きない。

下写真では夕暮れと昼間の写真を並べてみた。
周囲の景色、青空、夕暮れの光と影を反映したマイセン陶磁器による絵画が一際映える。
夜は夜で、薄白くぼんやりと浮かび上がる行列が何とも言えない趣を醸し出している。
この『君主の行列』を見るだけで、ドレスデンを訪問する意義がある、と断言しよう。必見の空間、である・・・。



























(ドレスデンの観光の中心、ツヴィンガー宮殿〜)

ドレスデン観光の華、と言ってもよかろう。
言わずと知れた、エルベ河畔にたたずむ後期バロック様式の宮殿である。ザクセン王フリードリヒ・アウグストス1世の居城として1732年に完成した。第二次大戦で破壊されたので、現在の建物は全てが忠実に再建されたものだ。この宮殿には時計ファン必見の『数学・物理学博物館』があるのだが、生憎現在は修復中(
)で閉鎖されている。前回訪問の際には舐めるように見て回ったのだが、その迫力たるや、まさにランゲの源泉を辿るかのように素晴らしい懐中や置き時計のコレクションが並んでいた。
※ランゲ&ゾーネがスポンサーとして修復中。完成予定時期は2012年末、である。
※最終的に修復が完了して再オープンしたのは2013年4月である(矢張り遅れた!)。入館料@6ユーロ。(2013/8/19追記)


今回はその代わりにというべきか、マイセン〜中国〜日本、の陶磁器特別展示会が開催されていたので、そちらを堪能することが出来た。
今回はちょうど天気にも恵まれて、9月初のドレスデンは快晴でやや汗ばむ気候。
実にビールが美味い最高の一日でありました。




























(ツヴィンガー宮殿内には本来、4つの展示場がある〜)

今回、見学したのは陶磁器コレクションのコーナー。
これ以外にも閉鎖中の『数学物理学サロン』、『アルデ・マイスター』名画の展示館、そして『武器展示室』がある。

陶磁器特別展では18世紀初頭の伊万里焼きの和服姿の日本女性3体が目を惹いた。
その入場券には下写真のように特大写真があるのだが、実物は30cmほどの小さな人形。それでも、その和服の模様や発色など、当時世界最高技術による焼物であるがゆえに、生まれたてのマイセンでは足元にも及ばない完成度を誇る。日本の高度な伝統文化を再確認した瞬間でもある。






























(今回は首尾よくゼンパーオーパーの英語ツアーに参加する〜)

前回はドイツ語ツアーに紛れ込んだ為、チンプンカンプンでガイドの説明も理解不能であったが、今回はようやく英語ツアーに参加出来たので、確りと前回の分まで取り返した。
このゼンパーオーパーも、過去2回に亘る大火と戦災で都度、消失したが、2回の再建で今日に至る。2回目の再建は1985年に完成したのだが、時折りしも財政難の東独時代。よって、内装も一見豪華に見えるが、結構『もどき』の材質が使われているそうだ。例えば一見、見事な代理石柱も表面だけを上手く張り合わせたりして、豪快に見せているらしい。それはそれとして、こちらのお目当ては毎度ながらランゲ1のBIG-DATEのモチーフともなった、大型の回転式デジタル時計窓にある。


(⇒)右写真: ゼンパーオーパーの全景。やはり冬場より、こうした青空の下で見る方が映える。建物は排気ガスやらで汚れまくっているので、冬場の暗い曇天の中ではいかにも暗〜い雰囲気となってしまう。




(↓)下写真: 英語のガイド付きツアー入場券と共にPano-Reserveを記念撮影。
    2011年9月6日、午後2時55分。ツアー開始まであと5分・・・。









































(ゼンパーオーパーとはゼンペル歌劇場のこと〜)

一応、おさらいを・・・。
Zemper Operとはザクセン州の州都ドレスデンにある州立歌劇場である。1841年にゴッドフリード・ゼンパーの設計で完成。その後、1869年に火災で焼失すると、国王の勅令を受けてゼンパーが再度、設計をやり直して再建に取り組観、1878年に完成。その後、第二次大戦でまたまた瓦礫の山と化し、ようやく1977年に復興が開始。1985年にようやく完成となった。その後も2002年のエルベ川大氾濫による水害被害を受けるなど、幾度と無く試練を乗り越えて今日に至るのである。

1843〜1849年までワーグナーが指揮者を務めた事でも有名。
夏場には毎晩、コンサートやオペラも鑑賞できる。チケットはホテルのコンシェルジェに頼めばそれなりの良い席も確保できる。あの5分式デジタル時計を見ながら、そうした芸術文化を鑑賞する楽しみは幾ばかりであろうか・・・。今回もチャンスはあったのだが、諸事情がそれを許してくれなかった。誠に残念至極、である。

そして時計ファンにとって、ゼンパーオーパーは更に特別な意味を持つ。
ランゲ1で採用されたBig-Dateの原型がここにあるからだ。下写真の舞台上部にその5分式デジタル時計(Big-Date式)が鎮座している。5分毎に、スッと音も無く(当たり前)スライドするデジタル式時計は魅力が満載。
そして、観客席から真上の天井を眺めると、これまた素晴らしい装飾が施された景色が絶品・・・。





























(これがランゲ1のBig-Dateのモチーフとなった5分式デジタル時計である〜)

既に前回訪問時のレポートで詳細は述べているのでコチラを参照願いたい。

再度、最新デジカメで撮影した時間の移り変わりを見てみよう。
左のローマジ数字が時間、右のアラビア数字が5分毎の分表示である。
下写真は、3時35分⇒40分、へと変化するちょうどその時を撮影したもの。この5分式デジタル時計を背景に、愛用するPano-Reserveを記念撮影する『時計オヤジ』は毎度ながら、感激と興奮に酔いしれているのだ・・・























































(エルベ川の対岸には黄金のアウグストス1世の騎馬像が輝いている〜)


⇒右写真:
間違いなくドレスデンの観光スポットの一つである。
この黄金の騎馬像は見事。黒ずんだ汚れも無く、見事に輝く黄金のアウグストス1世の姿は神々しい。前回は曇天、小雨の中で見たのだが、今回は9月初の晴天で少々汗ばむ気候の下、オノボリサンとしてこうした名所旧跡をじっくりと味わうことが出来た。
強王が遥か見る先にはポーランドがあるのだ・・・。






(↓)下写真:エルベ川をバックにここでもPano-Reserveと記念撮影。
   フラウエン教会も美しく青空に映える。何よりも平和な時代に感謝を捧げる瞬間でもある。。。



























(↓)どうも顔の大きな女性と思いきや、人形である。何ともユニークな展示。
そして夜のフラウエンヒルヒェ聖母教会。2005年に再建を果たしたノイマルクト広場に面するバロック様式の教会は、
再建にかけた年月と寄付金も莫大なだけに、その勇壮には感慨もひとしおの『時計オヤジ』であるのだ。。。(2011/12/03) 402450


























追記) 2013/8/19

2011年8-9月、ドイツ・北欧・バルト海旅行関連ページ:
⇒『コペンハーゲンで欧州最古の天文台に登る』はこちら
⇒『U995/U-Boat搭乗記@ドイツLaboe』はこちら
⇒『エストニアの首都タリン散策記』はこちら
⇒『マイセン磁器工場訪問記』はこちら
⇒『2011年9月、ドレスデン再訪記』はこちら
⇒『2011年9月、ドレスデン市内で観た気になる時計達』はこちら
⇒『2011年9月、7年ぶりに訪問した新旧グラスヒュッテ市街の比較』はこちら
⇒『Wempe天文台に見るドイツ・クロノメーター規格の将来』はこちら
⇒『A.ランゲ&ゾーネ本社工房訪問記』はこちら
⇒『ドイツ時計博物館グラスヒュッテ訪問記』はこちら



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