随筆シリーズ(104)  旅行シリーズN

『エストニアの首都タリン散策記』





エストニア共和国の首都タリンTallinn。
バルト海の最奥部、フィンランド湾に面する世界遺産の『タリン歴史地区』である。
歴史的に、ドイツ騎士団、ロシア帝国の影響を色濃く受けた独特の雰囲気を残す。
2011年9月初、バルト海クルーズで立ち寄ったタリンを散策してみる。

(↑上写真:右側の巨大客船MSC”Poesia”9万トンで今回タリンに乗りつけた。
コペンハーゲンで乗船、この後、サンクトペテルブルグ訪問後、キールまで一挙に戻る航海だ。)
(2011/10/23) 395200




(日本には馴染みが薄いバルト3国〜)


エストニア、ラトビア、リトアニアの3カ国をバルト3国という。
共に1991年、ソ連から独立を達成し、その後ソ連は崩壊への道を歩むきっかけともなった。
今回、バルト海の要所でもあるこの地域のエストニア首都タリンを訪問した。
対岸はフィンランドであり、ヘルシンキから僅か80km南下すればフェリーでも2時間でタリンに到着だ。旅行通はフェリーで日帰りするのも一般的。それでも十分に観光を楽しめる街である。

タリンの旧市街である歴史地区は世界遺産としても有名だが、一方でタリンはバルト海のシリコンバレーとしても有名。あのSkypeスカイプが開発されたのも、このタリンだと言うから意外というかちょっとピンと来ない・・・。






(←左写真) 『太っちょマルガレータの塔』(Paks Margareeta)


名前の通り何ともグラマラスな建造物だ。
16世紀にこの湾岸一帯の防衛警備の観点から造られた砲塔である。その後、兵器庫や監獄として活用されたのだが、その当時に囚人達の賄い役として働いていたのが、人気者『マルガレータ』おばさん。その名前がいつしかニックネームとして残ったというから、ちょっと微笑ましい素性ではないか。現在は海洋博物館としてオープンしている。
この『太っちょマルガレータ』はタリン歴史地区の最北部に位置する。タリン観光はここからスタートして、順番に『南下』するのが効率的である。










(⇒世界遺産の古都としての風格を感じる城壁〜)

入場料3ユーロで登れるこの城壁。生憎小銭が足りなくて、1ユーロにまけてもらった。受付のオバサン、有難う。下から見ると左程の高さではないが、とにかく古い城壁なので高所恐怖症の『時計オヤジ』としては木製階段(ハシゴ)を登る時でも気が気ではない。
それでも昔の見張り窓から見るタリン市内の景色は美しい。
こちらもタリン市内の必見スポットのひとつである。











(タリン街並みは中世のおとぎの国といった風情たっぷりで散策も飽きない〜)

中心部にあるラエコヤ広場。ここからちょっと横道へそれるとカタリーナ通り(⇒右写真)がある。
家々の間を細い屋根?のような、柱?のようなこうした瓦葺きのアーチが登場する。色々話を聞くと、やはりお互いの家々を補強するためのアーチだという。しかし、地震も無いこのタリンで、どうしてつっかえ棒のようなアーチが必要であるのか疑問というか不思議。

このカタリーナ通りには、芸術家肌系の店店が並ぶ。小物宝飾店やらガラス細工、色々なアクセサリーの店など、ぶらりと散策するにはこの通りも楽しい。








(とあるアンティーク店を覗いてみると〜)

こうしたアンティークショップも点在する。
目的は古い懐中時計とか見たい、というのが動機だが、時計以外でも無目的に見るだけで時間が経ってしまう。

まぁ、場所が場所だけに最初っから掘り出し物なんて期待していない。
ブラブラ、ダラダラ拝見させて頂く。それで十分である。
そこで目に留まったのがこの『懐中モドキ』。(↓下写真)
裏スケルトンになっている懐中なんて、あるのだろうか?
文字盤を見ると、どうも時計ではなさそうだ。
これは一体何であろうか・・・?

答えはペドメーター。いわゆる万歩計、ですね。
コツコツと歩くショックを受けてステップ運針するらしい。
使用方法詳細は不明であるが、価格は62.64ユーロとの中途半端な値札が付いている。ユーロ通貨への切り替えは今年1月。
とても古風でクラシックなペドメーター。
興味ある方にはオススメ、かも・・・。
























(街中の通りで何やらおじいさんが話をしている〜↓下写真)

おやおや、コチラでは何をしているだろうか。
まさに路面店でガラス越しに話をしている光景が。『時計オヤジ』も覗いて見ると、何と、ココは時計修理屋さんである。
こうした小さな店は欧州各国でたまに見る。かつてもローマで何度か見た記憶が有るが、ちょっとした時計の電池交換やらはその場で対応してくれるのだ。
店員さん(技術者?)は、こんな感じのイカツイ大男だが、気さくに写真撮影に応じてくれた。
棚の引き出しには古い腕時計の文字盤やら、ムーヴメントのパーツ各種が保管されている。
大きな掛け時計やら置き時計なんかが『散乱』しており、如何にもココは修理屋さん、って感じでイイネ。






























(ラエコヤ広場すぐそばにある地元レストラン”Kuldse Notsu Korts”でランチをトライ〜)



このレストランではエストニア地元料理が楽しめる。
醍醐味は何と言っても豚の料理と地ビールだろう。
今回の注文は豚のスネ(脚?)のロースト(↓下写真)。
ザワークラウト(酢漬けキャベツ)もドイツ的で美味い。

緩い坂道に面した通りでは⇒右写真のように屋外でも食事が出来る。勿論、室内でもOK。今回はガラガラの室内で食べていると、そのうちにドッと日本人団体客が入って来た・・・。思わずビックリ。

黒ビールはやや薄味系。
少々白濁っぽいビールも美味。
加えてこの豚料理が期待通りで美味い。皮のパリパリ感など、久々の豚に有り付けた喜びで『時計オヤジ』は感極まる(オーバー)。





























(ヘルシンキからタリンまでは僅か2時間〜)


ヘルシンキ〜タリン間を運行するのがこうしたフェリー。
写真はタリンク・シリヤラインTallink-Silja Line。毎日平均6便が運行されている。『時計オヤジ』は今回、9万トンの大型客船で入港したのだが、こうしたフェリーでヘルシンキから足を伸ばすのも気軽で楽しい船旅も満喫できるだろう。

タリンは海路で入り、陸の歴史地区で散策を楽しむのが正解。
特にオススメは夏場の9月頃まで。10月からは一挙に冬支度となるが、それもまた一興だろう。

この城壁で囲まれたメルヘンチックなおとぎの街並みには、とんがり屋根の丸い塔や、中世風の古い建物、そして様々な店やレストランが立ち並ぶ、異国情緒一杯の時間にタイムスリップした感覚を楽しめるのである。因みにこのタリン城壁内の歴史地区、徒歩で十分観て回れる大きさ、というのが旅行者には一番嬉しい。
(2011/10/23) 395200





2011年8-9月、ドイツ・北欧・バルト海旅行関連ページ:
⇒『コペンハーゲンで欧州最古の天文台に登る』はこちら
⇒『U995/U-Boat搭乗記@ドイツLaboe』はこちら
⇒『エストニアの首都タリン散策記』はこちら
⇒『マイセン磁器工場訪問記』はこちら
⇒『2011年9月、ドレスデン再訪記』はこちら
⇒『2011年9月、ドレスデン市内で観た気になる時計達』はこちら
⇒『2011年9月、7年ぶりに訪問した新旧グラスヒュッテ市街の比較』はこちら
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