時計に関する随筆シリーズ (54)

『最新、チューリッヒ時計事情』

〜 2006年10月下旬の時計事情ゆえ、既に最新にあらず。御免!〜 
(シャフハウゼンSchaffhausen ⇒ ジュネーヴGeneve訪問記シリーズA)





思えばチューリヒZurich市内を歩くのは今回が初めてのような。
今まで何度となく足を運んだのはクローテン(チューリヒ)空港近辺だけであったのだろうか?
しかし、市内の目抜き通りを歩いても初めて(?)の違和感は皆無。
ヨーロッパの街並みに共通している、『ある種の安堵感』で満ち溢れている。
本当に楽しいなぁ、最新腕時計をウィンドウショッピング三昧するのは。。。
(↑上写真: ボーム&メルシェ、2006年バーゼル・モデルのクラシマ・レトロ・ジャンピングアワー(18桃金製)。
今年発表の数あるモデルの中でも『時計オヤジ』お気に入りの逸品。
老舗時計店”バイエルBeyer”にてようやく拝観する。2006年10月某日撮影。)




(2006年10月下旬、チューリヒ時計最新事情〜)


今回は3泊4日の『突貫』スイス時計聖地巡礼を実行した。
それもチューリヒ(チューリッヒ)とジュネーヴの2大都市のみに滞在。目玉はシャフハウゼンにあるモーザー本社訪問と、この後に続くジュネーヴの新興メゾンの最新工場訪問である。モーザー訪問記は既にWeb-upしたので、興味とお暇のあるお方は篤とご覧あれ。

(←左写真: 奥にそびえるのがチューリヒ中央駅(ホフトバーンホフ)である。その正面から時計店のメッカたるホフトバーンホフ通りが始まる。。。)





(⇒右写真: チューリヒ中央駅構内にて、モンデインのマザークロック〜)

ご存知、スイス鉄道(SBB,CFF,FFS)の公式採用時計はモンデインMondaine。
あの、無骨なまでにシンプル、頑固なまでに視認性優先のデザインには時計ファンでなくとも興味を引かれよう。見方によれば、最新のロレックス・デイトジャストのバーindex文字盤にも共通点がある。しかし『時計オヤジ』には気になる点がひとつ。秒針だ。クウォーツ製であるのは結構だが、秒針が一秒一秒、運針の度に微妙に揺れるのだ。秒針の大きさが振動に負けている。この小刻みな秒針の振動が、写真のようなマザークロックでは尚更、目障りとなる。一度気になると、このブレ、揺れは許せない。
こうした点は多分、メーカーとしては諦め、若しくは気にもしていないのであろうか?スイープ運針のようにチョット工夫すれば何の問題もなく解決出来るはずなのになぁ。メーカー技術陣の詰めの甘さに、残念無念。


それにしても、この文字盤のデザイン。見ているうちにだんだんと引き込まれて行くのが不思議。
この後、ジュネーヴ市内の時計店の前で、価格CFH100〜200(約9千円〜1万8千円)のモンデイン腕時計にあやうくサイフを開こうとした『時計オヤジ』であった。いかん、いかん、余程のことで無い限り時計は買わぬことに決めているのだ、、、(⇒この『余程』の定義が甚だアヤシイ・・・)



(ホフト・バーンホフ通りは時計天国、最新情報は全てがここにある〜)

右写真(⇒)がホフトバーンホフ通りの起点だ。チューリヒ湖まで南下する約1.3kmに、名だたるファッションブランドやら時計店が軒を並べる、ブランド好き、時計好きにはまさに『天国の通り』、商店街ならぬ『昇天街』だ。時計店はいくつあるのであろうか?大小合わせて、恐らく20〜30店以上はあると思える。特に一流どころの時計店のディスプレイがたまらない。どの店も展示されているブランドは多分に共通している。スイスのメジャーメゾンと言えば自ずと、その数にも限りがある。しかし、店店によって展示されているモデルは意外と異なる。オオっと、唸る逸品も展示されているゾ。

そうしたモデルをじっくり鑑賞する楽しみ、、、これだけは『時計好き』にしかわかるまい。
因みに、このバーンホフ通りは公式WEBによると、1971年に世界で初めてクリスマス用の電飾を、通り全体に統制された形で飾り付けたそうだ。まさにこれからの時期、ネオン夜景が幻想的な美しさを誇るに違いない。早くも再訪したい気持ちが。。。




(←左写真: ROLEX販売数では世界有数の小売店、ご存知ブヘラーBucherer〜)

筆者訪問時にはチューリヒ市内で唯一、ブヘラーだけがモーザーMAYUを展示していた。それも2本のみだ。モーザーは極めて玉不足。直営店でも出来ない限り、一般時計店ではまだまだお目にかかそうもない。
IWCの直営店は最近目立つようになって来た。このチューリヒでもIWCの時計は、場所柄であろうか、JLC(イエーガー・ルコルトン)と並んで目立ったブランドであった。(注:IWCの本社工場はチューリヒから電車で40分のシャフハウゼンにある。この後に述べるがIWCはこれから加速度的に伸びてくるメゾンである。JLCは勿論、時計聖地のル・サンティエ製だ。)

一方、これも逆に場所柄と言うべきか、F.P.ジュルヌ(フランス人)の時計はチューリヒでは非常にマレ(レア)。チューリヒの主要言語はドイツ語。やはり、フランス人であるジュルヌの時計はジュネーヴの方が多く、華やかさもジュネーヴがより似合うかもしれない。





(←左写真: ブライトリングの新作、ベントレーモデル。
         ジャンピングアワーだが、兎に角バカデカイ!!!)


この時計、ベントレーを愛車にするオーナーだけが手にするのではあるまい。
ベントレーの車格に見合うように時計も大きく、というコンセプトであれば単純過ぎる。
ケース形状、文字盤のバランス、ジャンピングアワーの見難さ、どれもがアンバランス。
同じレクランギュラーでもレベルソの巨大XGTケースのように、もう少々気品とまとまりが欲しいところ。
それでも、まぁ、よかろう。こうした時計は凡人、常人の考える範疇外の時計である。『時計オヤジ』の間尺に合わないのは当然というもの。同じジャンピングアワーであれば、冒頭のボーム&メルシーが正攻法。しばし、じっくりと時計観察に集中する。こうした時計ウォッチングは実に楽しい。気に入った時計、面白い時計であれば、それだけで最低5分は睨めっことなる。例えば1本当たり5秒間見るとして、1分で12本、1時間で720本、1日4時間見たとして2880本、4日間で11,520本。ざっと、延べ1万本の新作+現行品を鑑賞する事になる。最低でもこの位の量を見ないと自分なりの感覚が湧いてこない。逆にリスクもある。ここまでじっくりとへばりついて見ていると、店内のガードマンの厳しい視線を浴びることになる。ドイツの老舗WEMPEなどに至っては店外にまで警備員が常駐している。『コヤツ、何ヤラ怪シイ東洋人ナリ』と思われていることだろう・・・ その通り、確かに怪しすぎる『チョイ枯れ時計オヤジ』であることョのぉ〜。




(右写真⇒: チューリヒの老舗と言えばここ、バイヤー、バイエルことBEYERだ〜)

チューリヒ市内の最大の目玉がこの時計店BEYER。
創業は1760年。スイス国内で最も古い時計店として有名である。
この時計店の地下にある時計博物館、BEYER時計博物館の見学を楽しみに来た。
その探訪記はじっくりと別章で紹介する。
加えて、ここで拝見した冒頭のジャンピングアワー、ボーム&メルシェも感激だ。
今年発表の2006年新作の中で、『時計オヤジ』が最も魅かれたモデルの1本だ。
こちらも、別途注釈を加えることにする。






(昼食は、ドイツ式のビアホールで乾杯〜)

BEYER時計博物館のすぐ近くにあるのがこのレストラン。
かつての兵器庫がビアホールとなったツォイクハウスケラーZeughauskellerだ。
この日は10月末というのに上着を着ていては汗ばむほどの気温だ。
美味いビールが飲みたくなる。こうした快感はジュネーヴでは少々お門違い。
やはり、もうすぐそばがドイツ国境という土地柄であろうか。
店内の雰囲気は、まんま南ドイツ、はたまたオーストリア、というムードで一杯。
それにしても、確かに店内には各種時代物の『武器』が展示されている。
よ〜く見れば、少々リアル過ぎるかも知れない。軍事マニアには感涙ものか?





この日のチョイスはメニューNo.42、『天火でロースト、ポークスネ肉(皮なし)。ハーブマリネ、黒の樽ビールをふりかけ、ポテトサラダ添え(数に限りあります)』というやつだ。
サワーの味が心地良いポテトサラダに、ボリュームたっぷりのポークスネ肉が何ともビールに合う。

旅の食事も時計同様、意外な出会いが時にある。これまた毎回楽しいのだ・・・








(チューリヒは観光にももってこい。穏やかな街並みに心安らぐ〜)

←左写真はミュンスター橋から眺めたグロスミュンスター(大寺院)である。
秋の青空に映えて何ともすがすがしい。チューリヒ最大のランドマーク的存在。
スイス最大のロマネスク様式寺院でもある。

カール大帝創建によるそうだが、建造されてのは11〜13世紀。約1000年近くも前の建造物というから驚きである。やはり『石の文化』は息が長いのだ。
手前の川が市内を南北に流れるリマト川。
この右岸が写真の方向。右岸は地形もUP-DOWNが非常に多い。対照的にバーンホフ通りがある左岸はフラットな地形となる。今回は駅近くの右岸に宿泊したのだが、辿り着くまでに余りの坂道、階段の多さに疲れてしまい、何度と往復するうちにホトホト閉口したのだ。

閑話休題。小さな裏道を歩くと、可愛い各種ショップも並んでいる。地味で、誰も見向かぬような小さな時計店もある。
そう思うと、いきなりヨーロッパブランドのセレクトショップに出会えたり、青空を眺めると教会の塔が天空にそびえ立っていたりと、歴史ある大都市でありながら、とても心地良く、人々に優しい街であると感じるチューリヒ散策を楽しむ。




(白黒写真のようなシンプルな夜景、チューリヒ中央駅である〜)

右写真⇒は、リマト川対岸から見た夜のチューリヒ中央駅だ。
ジュネーヴのレマン湖畔のような華やかなネオンは何も無いが、素朴で、質素な普通の夜景が『日常生活』を感じさせてくれてこれもアリだな、と思わせる。

この中央駅構内のレストランがまた美味い。
ドイツ的なレストラン、シーフード中心のレストラン、フランクフルトやソーセージ、ピッツア立ち食いのスタンド、キオスク、等等、ちょっとした『小型デパ地下』のような喧騒と食材・食種の豊富さを満喫できる。『時計オヤジ』は昼はビール、夜はシーフードでじっくりとワインを味わう。


明日のシャフハウゼン入りを前にして、年甲斐も無く心騒ぐ『時計オヤジ』の夜は更けるのであった・・・。
このWEBをUPする今日は12月。今年も早、師走である。(2006/12/01)




2006年10月末、『時計オヤジ』のシャフハウゼン(チューリッヒ)&ジュネーヴ2都市訪問記は以下:
⇒ @ 『モーザー本社訪問記』はこちら
⇒ A 『最新・チューリッヒ時計事情』はこちら

⇒ B 『Baume&Mercier クラッシマ・レトロ・ジャンピングアワー』はこちら
⇒ C 『BEYER時計博物館訪問記』はこちら
⇒ D 『IWCの故郷、古都シャフハウゼン散策記』はこちら
     ⇒ ドバイの『世界初、IWC直営店訪問記』はこちら
⇒ E 『2006年10月、ジュネーヴ時計王国・最新情報』はこちら
     ⇒ 番外編 『2006年10月、ジュネーヴで買った理想のWモンク・シューズ』はこちら
⇒ F 『フレデリック・コンスタント新工場訪問記』はこちら

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