〜 カントリーシュズを探す旅・英国訪問編@ 〜

『英国調の本格派カントリーシューズを探す旅』
(序章)



2012年4月某日、ロンドンを訪問した。
マイアミからロンドンに飛んできたのだが、4月というのに気温9度。
相変わらずの天候であるが、『靴オヤジ』は本場・英国カントリーシューズを求めて熱気ムンムン。
早速、聖地・ジャーミンストリート(↑上写真)を訪問することに・・・。
(2012/12/29 464400)



(世界中で流行中の英国カントリーシューズを求めて 〜)


以前、『イタリアでWing-Tipの英国靴を探す旅』、について書いた。
今回はその続編となる本格カントリーシューズについて探す旅である。
今や、欧州・日本では完全に市民権を得た英国カントリーシューズ。デザインの特徴を一言で言えば、『無骨なWing-Tip』、である。勿論、Wing-Tip以外のデザインも範疇に含まれるのだが、総称するとこうなる。Wing-Tipをこよなく愛する『靴オヤジ』にとっては避けて通れない道。逆に今までどうして近づきになれなかったのか。その理由は、あまりの無骨さと頑丈さからくる重量級のデザイン、にあったのだ。カントリシューズ最大の特徴が時に、最大の欠点にも成り得る。まさに諸刃の剣的な危険な香りが漂うのが本場英国のカントリーシューズである。そして、今では逆にその重量級な存在感に憧れている。Wing-Tip愛好家の終着点としては当然の帰着靴かも知れない。

2012年4月、マイアミからBA(英国航空)にてロンドンに到着する。
4月というのに季節はずれの寒波で気温9度。温暖なマイアミから到着した我が身には真冬並の寒さに感じる。
そして早速出向いたのが、聖地・ジャーミンストリート(以下、Jermyn)とバーリントンアーケード。靴好きにとっては、この名前を聞いただけでもワクワクする場所だろう。ここに居並ぶ老舗・英国靴ブランド店にて、まずは品定めを行うことに。



(トリッカーズの店舗は相変わらずこじんまりとしている〜)

⇒右写真は、カントリーシューズの代表格たるTricker’sのJermyn店内。この雰囲気、相変わらずである。ここの店員さんは年配者が多い。他店のように、美人女性もいなければ、ハンサム英国男性店員もいない。皆、カントリーシューズのように無骨なオヤジ店員であるが、皆、やさしい。稀に酒のにおいプンプンのオヤジ店員もいるところが英国カントリーシューズの大御所らしいといえば、『らしい』・・・。

そもそもカントリーシューズ、とは何か。
もともとは、英国の田舎で履く週末靴、若しくは厳しい自然環境にも耐えうるヘビーデューティー(頑丈)靴である。田舎という意味は未舗装路や、時にハンティング等のアウトドアも意味する。つまり、アメリカで言えばもともと労働者靴であるワークブーツや、L.L.Beanのそれにも似た性格を持つが、英国のカントリーシューズはもっと格式が高い。ドレス靴の延長線上のデザインであるがゆえに、気品が漂う点がワークブーツとは決定的に異なる。

しかし、その頑丈度合い、重厚なデザイン度合いは半端ではない。
『靴オヤジ』がいままで疎遠であった理由はその余りに重量級のデザインにあったのだが、今やまんまと流行のワナにはまってしまったのである・・・。

(↓下写真)
Tricker’sの代表モデルBURTON。4つ穴式ハトメ、フルブローグ、ダブルソールやラバーソールのWing−Tipの数々。
この分厚いアウトソール、片足600グラムはする重量感、そして全く洗練されていない無骨なデザインは、こちら側にそれなりの『覚悟』を訴求する。『おまえさん、本当にオレ様を履きこなす体力と根気があるのかい・・・』、という声がこうした靴から聞こえてくるのである。実際に手にしてみると、その迫力と重量感は極めて威圧的でさえある。冷静に考えれば、日本国内でこうした本格靴を必要とする状況は極めて少なかろう・・・・


























(自分の考えるカントリーシューズの『私的・絶対基準』とは 〜)

2012年は『靴オヤジ』にとって、まさに『カントリーシューズ元年』、となった。
甚だ遅すぎる元年ではあるが、開眼してしまったものは最早、止めようが無いのである。
筆者が考えるカントリーシューズの『絶対基準』とは何かを考えてみた。
そして、究極のエッセンスを炙り出すと、以下3要件が挙げられる:

@ Wing−Tip靴であること。外羽根式のダービーDerbyが望ましい。
A ラウンド・トゥであること。
B 頑丈なアウトソールを有し、金具式のハトメがあること。(ハトメの例外は多々あるが)

アウトソール素材はダブルソールであろうと、ラバーであろうと問題ではない。そもそもこの手の靴のアウトソールは極めて頑丈である。あとは自分の好みで好きなソールに変更する愉しみも大きいのだ。時計で言えば、革ベルトを交換する愉しみにも似ている。
上記の要件を追求すると、自ずと選択肢は限られる。
そして、自分なりの選択基準から3つの要件を更に『拡大解釈』して、更なるモデルを追及することも愉快。例えばJ.M.Westonの頑丈靴も自分なりのカントリーの範疇に入れることも出来よう。
今回のロンドン訪問を前に、実はあるブランド店舗とは事前擦り合わせを重ねていた。折角訪問したのに、在庫なしではたまらないからだ。目星をつけたモデルの在庫確認やら事前の情報収集は何事においても必須の儀式である。




(⇒右写真: ロンドン市内某店で見つけたギリーシューズ)

このギリー、タンが無い。4つ穴式の本格的ギリーである。
メダリオンの入れ方も中々素晴らしい。
シングルソールではあるが、こうした本格的な意匠を持つギリーであればカントリーシューズに認定出来る。

イメージ的には一番似合うのがバグパイパー。
タンが無いデザインは一般的な実用向きとは言えない。
特に風雨にさらされる条件下では、もろにその影響は深刻。
あくまで晴天用、盛装用の靴として条件限定のもとでのカントリーシューズと言えるだろう。










(元気あるChurch'sは英国靴の見本である 〜)


特にカントリーシューズという範疇で宣伝はしていないが、このChruch'sにも名作が多い。
所有するBurwoodはダブルソールの内羽根式であるが、ラスト81を使用したこのWing-Tipはカントリーシューズとしての雰囲気がムンムン漂う。特にライトブラウンのPolished Binderには半ば洗練された品格も備える。この靴のアウトソールをいつか、プランテーションソール(⇒つま先レザー、その他がクレープ底)に張替えたいと考えているが、Burwoodは筆者にとって、シティ派カントリーシューズの筆頭格であるのだ。

そして、今回Jermynやバーリントン店舗で見たChurch'sは中々元気があった。
特に、SHANGHAIのモデル展開の多さBurwoodに似たWing-Tipのカジュアル展開にはため息が出た(↓下写真)。
コンビシューズのSHNAGHAIは、ファッション全体の中でどの様に履きこなせるかが上級者向けではあるが、ラフなジーンズとかにも似合いそうで、そのクラッシュ(ヴィンテージ)加工が素晴らしい。
Prada Group加盟後、どの行く末を案じた時期もあったが杞憂であった。Church'sは相変わらず無骨で実直な英国靴ブランドn代表選手である。




























(『靴オヤジ』流のカントリーシューズを探す旅が始まる 〜)


上記の通り、『絶対基準』である3要素を述べたのだが、筆者の考えるカントリーシューズには米系デザインのサドルシューズ等も場合によっては『当確』となる。以前照会したREGAL TOKYOのサドルなんて、その頑強度合いからみてカントリーのカテゴリーに入れても何等遜色はない。週末靴としてナイキやニューバランスも良いのだが、やはりカジュアルにも履ける品位あるアウトドア用の本格靴が欲しい。今から入手するカントリーシューズはこの先、10〜20年は楽勝で使えるはず。となると、『靴オヤジ』の寿命よりも長くなる可能性も高いのだ。終生共にする靴、という観点からも中途半端な靴選択は避けたい。その一環が、J.M.Weston(#598607)でもある訳だが、あくまで自分の選択基準・メガネに適ったモデルを選び抜く楽しみはモノ選びの醍醐味である。


今回は皮切りに純英国カントリーシューズの入手に至る訳であるが、実はこれだけでは納まらないのが『靴オヤジ』のカントリーシューズ熱である。この後、更に舞台はドバイ、イタリア、そしてフランスへと広がりを見せることになろうとは・・・。


(⇒右写真:Crockett & Jonesによる女性用キルトウィングチップ)

女性用でも、ここまでの本格カントリーシューズがあることに、本場の奥行きの深さを垣間見る。アッパーはカーフ素材のスコッチグレインが泣かせる。
ただただ、ため息が。素晴らしい・・・。



その各論はこの後、順次披露予定・・・(続く)。
(2012/12/29 464400)





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(本格派カントリーシューズ関連のページ)
@ 『英国で本格派カントリーシューズを探す旅(序章)』はこちら
A 英国訪問編・Crockett & Jones "BANGOR"はこちら
B ドバイ訪問編・Mr.B's "MENTZEL"はこちら
C イタリア訪問編・Church's "FAIRFIELD-81"はこちら

D サウジアラビア編・Massimo Dutti "Blucher Crepe"はこちら
E ドバイ編・ J.M.Weston "#641 GOLF DERBY"はこちら
F ドバイ編・ CLARKS ”Freely Burst"はこちら


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