シンガポールの目抜き通りと言えばここ、オーチャード通り。 時計、ファッション等、全ての『ブランド集積地』、『シンガポールの銀座』である。 オーチャードに行かずしてシンガポールを語ること無かれ。 お金を払ってでも見る価値がある沢山のショップが立ち並ぶこの場所で、 『時計オヤジ』でなくともヒマと時間はいくらあっても足らない『魅惑の危険地帯』である。 (↑上写真:ご存知、アワグラこと”THE HOUR GLASS”のScotts Rd.店舗。 ”PPR”のPATEK、PANERAI、ROLEXが路面玄関を飾る3枚看板。 成程、時代を象徴する最強3ブランドである〜) |
(『チキンライスとラクサ』を食べずしてシンガポールを語るべからず〜) 冒頭から脱線する。 今回のシンガポール訪問で『時計鑑賞』以外での楽しみは、正直のところ『食』にある。それもB級グルメとでも言うべき地元ローカルフードを楽しむことが目的だ。前回の2004年訪問時も同様であったが、シンガポールでは肩肘張らずに各種フードコートを利用するのが大変に楽しく、安くて、美味い。今回も一番楽しみにしていたのがシンガポール名物の『チキンライス』と『ラクサ(Laksa)』である。詳細説明は省くが、チキンスープで炊き込んだライスにジューシーなチキン(鶏肉)が絶品のチキンライス、そしてラクサはココナッツミルクと香辛料をベースとした麺料理である。 滞在中、ホテルの朝食ビュッフェにもチキンライスがあり、連日、朝昼晩と3食『チキン&ダック&ポークライス+ラクサ』を満喫出来た。Orcahrd近辺でオススメのフードコートは『義安城』横の”WISMA ATRIA”の4階にある。常に混雑しているが、新しく小奇麗で種類と味も豊富。高級レストランも良いが、こうした地元庶民の日常の台所も是非とも活用あれ。 ※このメニューに興味アル御仁は、筆者も日本で贔屓にしていた東京・西荻窪にある『海南チキンライス夢飯(Mu-Hung)』を訪れると良い。このチキンライス、ラクサの2品ともメインメニューとして楽しめる。本場シンガポール同様の味は同店の看板でもあり、安くて旨い。絶品だ! ⇒右写真2枚(色彩不良御免!): 筆者推薦のチキンライスとラクサ。 この美味さは食べたものにしか分からない・・・。 もし、好みに合えば病みつきになること間違いなし。 ⇒右写真2枚: WISMA ATRIAの4階、フードコートの光景。店舗数はこの20〜30倍はあろうか。 食材からして美味そう。 見ても美味しい、食べて美味しい。まずハズレがないフードコートのレベルは、マックやKFCというジャンクフードとは一線を画す。全てオリジナルのミニ厨房が生み出す本格的な味のオンパレードである。 (オーチャードの中心はまさに”城”である”Ngee Ann City”だ〜) 新興ショッピングセンターの攻勢を受けつつも、オーチャードの中心はやはりこのNgee Ann Cityこと義安城だろう。今回はOrchard Rd.〜Scotts Rd.交差点を中心に以下の主要ショッピングセンターを巡ることに: @ Ngee Ann City(義安城)〜ご本家、『ブランド城』 A Wisma Atria〜雑多なブランド各種 B ION Orchard〜330店舗が入る強烈な『新興ブランド城』 C DFS Galleria〜時計観光にも最適 D Lucky Plaza〜SEIKO/CITIZENで掘り出し物多し E The Paragon〜ブランド専門街、Yafriro、Cortina等もある。 F Mandarin Gallery〜ベルロス、モンブランは必見 勿論、上記以外にも数多くの店店が立ち並ぶのだが、限りある時間で全部を回るのは不可能。しかし、上記@〜Fは定点観測の意味からも、毎回シンガポール訪問時には必ず立ち寄りたい場所だ。 (←左写真: オーストリア製ワインダーBOXが整然と並ぶ〜) 早速、高島屋の地下1階に下りてみる。 一見、仏壇のように見えたこのコーナー。実は自動巻き用のワインダーBOXである。このコーナー以外にも時計保存用のケースが所狭しと並んでいる。 それにしてもこれ程、多くの種類のワインダーBOXは、新宿伊勢丹でも銀座三越でも見ることは出来なかろう。シンガポールの国民の7〜8割が政府による団地・アパート暮らしをしているとの説明を聞いたことがある。そうした家々では、恐らく広さにも限界があるのでこのような豪華な時計ワインダーBOXを置く事は難しかろう。つまり、一握りの金持ち階級、富裕層を狙った商品であることには違いないが、それにしてもここまで品揃えを行う背景には需要が存在する『市場』があるわけだ。時計専門店ではない、高島屋という日系デパートにこうしたコーナーがあることに少々驚くと共に、僅か人口500万人のシンガポール都市国家の懐の深さにも溜息をつくのである。 (⇒右写真: 義安城のSINCEREで”ランゲ31”を拝見する〜) SINCERE店内を見学中に、偶然、”ランゲ31”(Ref.LS1302AA)の交渉場面に出くわした。 初めて実物を拝観したが、とにかくデカイ!46mm径、15.9mm厚以上の存在感。手にしてみたがプラチナ製ケースの特に重いこと重いこと。2007年に発表され、昨年2009年より発売開始となったが、この店舗では初めての販売だそう。価格はS$229,000.-というから約1,500万円(@64円/S$)。こちらの価格も凄い。こういう時計を本当に買う人がいる(当たり前だが)ことにも、現実に遭遇して驚く。個人的には500万円以上は時計ごときに投資するべきではない、というのが持論だが、その持論もあくまで『時計オヤジ』の金銭感覚に基づくものであり、世の中には桁違いの金持ちやと基準が存在するのだ・・・。 もし自分がこんな時計を腕にすれば、気になって仕事や遊びどころではあるまい。そんな夢想はさておき、偶然ながらもランゲ31に出会えた幸運に感謝!である。 フランクミュラー、AP、パネライ、JLC、ランゲ等、メジャーなブランドが一同に会する様は、丸でミニバーゼル。年中、世界の時計展が開催されているようなもの。見るだけでも満腹感で一杯になる。 (⇒右写真: こちらも義安城内のアワーグラス〜) どの店もそうだが、店員が総じて若い。20歳代が中心にも見えるが、この種高級時計の『販売側』としては高額商品を扱うが故に、やや軽い感じを受けてしまう。 年長の店員もいるのだが、恐らく店員の出入りが激しいと推察する。 思えば『時計オヤジ』がレベルソを購入したのも別のアワーグラスであったが、今は当時の店員も辞めてしまったそうだ。少々残念な気持ちになる。 さて、銀座のアワグラと違い、シンガポールでは店舗毎にブランド戦略を分散させており、日本では考えられないSINNとか、グリシンとかまで販売しているのが面白いではないか。アワグラだけでも9店舗もあるので、店毎にブランド戦略を明確に、メリハリ付けた販売をするのが見応えがある。勿論、スイス・ドイツ系機械式が中心なので、SEIKO、CITIZENの類は皆無。当然と言えば当然。 (⇒右写真: 懐かしいCHOPARD直営ブティック〜) 6年前にLUC1860ハーフハンターケースを購入した懐かしい店である。 栄枯盛衰が激しい時計業界において、自分の所有するブランドがしっかりと成長してくれるのはユーザー側から見ても非常に心強い。 例えば90年代に流行った”マハラMahara”はブランド自体が完全消滅してしまったし、”アイクポッドIKEPOD”も同様に活動が全く見えず、日本国内での流通が消えてしまった。こうした時計を持つユーザーにとっては断腸の思いだろう。 当時、親身になってくれたCHOPARDブティックの店員さんも、その後YAFRIROに移籍してしまい今はいない。個人的にはいつまでも同じ相手と長年に亘り信頼関係を築いて、話が出来る時計店、というのが一つの理想だが、現実には殆ど難しい状況のようである。 (←左写真: 義安城のCHANELブティックでは今年の新作J12が早くもお披露目されている〜) ”J12 MARINE”は新作ながら、いきなり2種類のケース径を投入した。 42mm径と38mm径、加えてブルーとホワイトの色も2種類あるが、この時計の真骨頂は『美しいブルーベゼル』に集約される。 全体のデザインは10年目を迎えるJ12シリーズを踏襲して、とてもファッショナブル。300m防水ダイバーズというより、マリンスポーツ用の時計という華やかなイメージで上手く纏めている。奇しくもセラミック製ベゼルはROLEXも投入してきており、時代はこれから素材の複合化、セラミック素材の活用が加速度を増す予感が漂う。 個人的には小振りな38mmのブルーベゼルの黒セラミックモデルに興味が湧く。但し、あくまで興味の対象であり、『時計オヤジ』の購買欲をそそられるまでには到達しないが・・・。 |
(”RED ARMY WATCHES” @ WISMA ATRIA〜) 義安城隣りのWisma Atriaではロシア産時計ショップを見つけた。 POLJOTやJUNKERS、ZEPPELINはバーゼルでも見た馴染みあるブランドだが、BRUAN、MOSCOW、DENNISOV・・・と来ると、これはもう『時計オヤジ』の知識の外の世界。中華時計と同じ範疇に入ってくる未知のブランドである。 ⇒右写真: 52mm径!の巨大時計は”BRUAN STINGRAY”というモデル。バルジュー7750搭載で300m防水、SS+Tiのハイブリッドケースらしいが、この大きさでは日常では使えないだろうなぁ〜。とにかく、巨大、HUGE、ヒュージュである。しかし、視認性と言う点や海中での実戦的使用という観点からは多分、パネライ並みかそれ以上の使い勝手かも知れない。とにかく、この店は軍用時計のイメージがプンプン漂う特異な店だ。マリーナ地区のMillenia Walkショッピングセンター内にもショップを構えるが、商品構成からはこちらのWisma Atria店の方が『超スパルタン』な品揃えを誇る。 その筋の軍用趣味ある御仁には一見の価値あるユニークな店だ。因みにMillenia Walkの店舗ではオーストリア製ヒルシュの革ベルトが豊富に揃っており、こちらも楽しい店であった。 (←左写真: こちら2本はMOSCOWブランドのクッションケース〜) 左側はラジオミールのクッションケースを彷彿とさせる雰囲気ある1本。 右側は価格S$1,114.-なので、そこそこの時計である。 素性は不明。時間がなく、手にすることは出来なかったが、とにかく『ロシア製=軍用=血生臭い』、というイメージがあるので、すんなりと馴染めないのだが、中身の機械の素性も不明であり、まだまだ勉強しなければ『時計オヤジ』としては近づき難いモデル達である。 |
(Wisma AtriaのB1ホールではVICTORINOXが展示会を開催中〜) アーミーナイフで有名なブランドだが、最近ではTUMIのようなバッグ類や腕時計まで商品展開を強化させているが、その品質は中々のもの。 ブランドの素性からして全てがアウトドア用のスポーツ時計が中心であるが、今回、短時間で全モデルを見ることが出来たのは収穫。 特に下写真にあるダイバーズ系はクラシックフェイス、王道的な文字盤を供えており、間違いない無難なデザインに好感を持つ。 特に、今回見た中では赤文字盤+赤ベルトのダイバーズ ”DIVE MASTER 500”が目を惹いた。クォーツ製であるが43mm径は存在感が十二分。赤文字盤と肉厚の赤ウレタンベルトが非常にマッシブで力感溢れる魅了的デザインだ。 ベゼルも0〜20までがフラット、20以降は凸凹あるもので、最近流行のベゼルと言えばその通りであるが、実際上の使用感を考慮するとフラットベゼルや周囲のみがギザギザのベゼルよりは遥かに使い易いのである。 (⇒右写真: Lucky PlazaはSEIKO・CITIZENの海外モデルが所狭しと並んでいるゾ〜) Wisma Astria反対側には、有名なLucky Plazaが構える。 Radoの広告看板には、ハイテク・セラミックモデルが堂々と掲示されている。これがもし中東であれば、ポスターのモデルはThe Originalになるのだが、やはり世界各国・地域によって人気モデルが異なることを思い知る。因みに、ドバイのRado広告では”The Original”のクロノグラフを全面に押し出していた。 さて、Lucky Plazaの地下1階にはSEIKOとCITIZENの小売店が2軒ある。6年前と同じで、少々ホッとする。 これらの店では埃をかぶったモデルもあるが、とにかくその品数が多いので見る分には飽きない。じっくりみているとDead-Stockあり、最新モデルありで、まるで福袋の中身でも見るかのように豊富な商品に食い入ってしまう。 1階にはSINCERE+Tag Heuer、The HourGlass+ROLEXの店舗も展開されるなど、玉石混合と言っては失礼だが、とにかくごちゃ混ぜの店舗展開が醍醐味だ。時計以外にも、マッサージあり、地元の土産店ありで、フィリピン人やインド系住民の溜まり場的ビルであるのも特徴だ。やる気の無い店員を見るだけでも滑稽、というかヒューマン・ウォッチングにも最適なモールである。 (パラゴンParagonにも一流小売店が軒を並べる〜) Lucky Plazaの右隣りにはROLEXビルが今も鎮座する。 そのまた右隣りにはこちらも高級モールの雄、パラゴンParagonがある。 右写真にあるWatches of Switzerlandには思い入れがある。 約25年前にシンガポールのROLEXビルで生涯初のDateJustを購入直後にアテネで紛失、その後、ロンドンのBond St.近辺でDate Justを再度購入したのが、このWatches of Switzerlandである。遥か昔の苦い思い出が重なる店舗であるが、こうしてシンガポールに今もあるのが嬉しい。 この他にもYAFRIROやCORTINAも入っており、『時計鑑賞』にはこちらも十分、面白い品揃えである。YAFRIROでは”B.R.M”やら”DeWitt”といった超個性あるブランドを独自展開するキワモノである。 パラゴンには時計以外にも、GUCCI、TODS、PRADAを筆頭に最上階のキッズコーナーまで、バラエティに飛んだ店舗展開が面白い。地下1階の中華レストラン”Din Tai Fung”も時間があれば楽しみたい場所だ。 (そのパラゴンにあるCORTINA WATCHで見つけたのが手巻きCONCORD〜) 『デリリウムDelirium』の存在は以前から知ってはいたが、この手巻き+角型ジャンピング・ウォッチは文字盤の配色といい、ダイアル配置といい、実にバランスが良い。ケースは18KWG製ゆえ、価格もS$25,000.-(値引き前)と高価ではあるが、黒文字盤に銀色の小ダイアルの組み合わせが大好物の『Glashutte Originalのプラチナ製パノリザーブ』を連想させる。 裏スケルトンも嬉しいが、中身の機械は手巻きとは言え”淡白”で、機械式の醍醐味には欠ける。その理由、最大の欠点は表から見えない裏スケルトンにあるのかも知れない。即ち、手巻き機械の仕上げの見栄えがしないこと。もしランゲ・カバレットのような美麗な機械搭載となれば、それはもう文句無いのだが、CONCORDの臨界点はこの程度なのであろうか? 文句無い、ということであれば、もう一つ針の仕上げには不満が残る。とってもチープなプレス針のような仕上げには少々興醒めしちゃう。と言うことは、やっぱりこの時計では『時計オヤジ』の欲求を満たしてくれるレベルまで到達してくれない、ということ。 残念でした、デリリウム君。良く頑張りましたけど・・・。 (←左写真: 同時に見つけたのはパネライのTravel Watch〜) 最近、各メゾンのTravel Watchが気になっている。 デザイン面で一番すっきり、美しいのはやはりCartier。TiffanyやPiagetも美しいが、Cartierの種類の豊富さは群を抜く。 そしてこのパネライ。 う〜〜〜ん、このツノグラフのような、八つ墓村のシーンを連想させるような竜頭の位置がイマイチ。クッションケースはよいのだが、もうちょっと真剣にデザインを練って、作り込みに工夫が欲しい。 手抜きミエミエの可愛そうなパネライを後にパラゴンを去ることにした。 この後はオーチャードからマリーナ地区に移動して、『シンガポールの傾向と対策』を引き続き市場調査することとする。 Part-3へ続く。。。(2010/10/01) 324300 『時計オヤジ』のシンガポール関連WEB: @ 2010年9月の『最新、シンガポール時計事情』Part-1・チャンギ国際空港到着編』はこちら。 A 『最新、シンガポール時計事情』Part-2、激戦区オーチャードRd.周辺事情』はこちら。 B 『最新、シンガポール時計事情』Part-3、マリーナ地区について』はこちら。 C 『最新、シンガポール時計事情』Part-4、モンブラン直営店訪問記』はこちら。 D 『最新、シンガポール時計事情』Part-5、ムスタファ・センター訪問記』はこちら。 E 『最新、シンガポール時計事情』Part-6、総括・シンガポール番外編』はこちら。 ⇒ (腕時計MENUに戻る) |
※掲載の写真・文章等の全てのコンテンツの無断転載・無断複写を禁じます。 ※特に金銭絡みのオークション説明等へのリンク貼りは遠慮下さい。 |