RADO   ラドー

RADO DIASTAR "THE ORIGINAL" AUTOMATIC Cal.648
Ref.01.648.0413.3.161.02994 #R12.413.61.4




1962年に登場以来、約50年間ロングセラーを続ける驚異のRADOアイコンモデル。
こんな『オヤジ型時計』に興味を持ってしまうとは、人の好みが移ろい易いことを地で行く典型例。
まさに自分が真性『時計オヤジ』であることを証明するモデルとなってしまった。
この『黒金+ダイヤ(CZ)』の嫌らしさが、逆にたまらない魅力の1本となる。
迷うことなく購入のまずは最初の1本目、
『クロキンRADO』から紹介しよう。。。(2010/08/01)


(RADOの象徴的なモデル、”DIASTAR THE ORIGINAL”〜)

『温故知新』を地で行くモデル。
この時計、何と言っても顔が良い。
良く見ると中々、ユニークな時計だ。
最大の理由が、独特なケース形状にある。ベゼルとケースが一体化した近未来的デザインを50年前に作り上げたことも凄いが、その後、半世紀に亘りロングセラーを続けることに更に驚く。デザインを変えない企業としての文化と英断に心より喝采したい。こんな時計は他にROLEX(DateJust)CARTIER(Tank)くらいではあるまいか。筆者は何故か、このケースデザインからスターウォーズのダースベイダーやSIMPSONのフルフェイス・ヘルメットを連想してしまう・・・。

世界的に見渡しても、決してお世辞にも人気が高いとは思えないこのRADOというブランド。
しかし、今回、ふとしたことから一挙にのめり込んでしまった。

この”THE ORIGINAL”は、謂わばRADOのアイコン的存在の看板商品だ。
以前から当然、知ってはいたのだが、それ以上でも以下でもなかった。今まで決して興味が湧くことは無いブランドだ。その理由も上記同様、独特というか特異なケース形状にある。一言で言えば極めてアクの強いデザイン、押し出しの強いデザインであろう。しかし、反面、何故か安心感をも感じる。ケース形状としては、その後に登場するG.ジェンタ発明のCラインケースにも共通する卵型のオーバル(楕円)形状にあると考える。オーバルというのは円形と角型の中間にあり、トノーとも異なり、むしろ円形に近い安定感に加えて縦方向に延びる事で遊び心も兼ね備えている。こうした独特な視覚・感覚をユーザー側にもたらしてくれるところが最大の特徴だろう。


(⇒右写真: 迫力の11ポイントCZ〜)

10ポイントならぬ、11ポイントの大粒CZ(Cubic Zirconia)の輝きが黒文字盤上で一際、映える。加えて、RADOの自動巻きを表す赤字にアンカー(錨)マークが色彩的にもお茶目でクルクル回るのが愉快だ
(実は長年、このアンカーマークに密かに憧れていたノダ。シーホースの黒金モデル何ぞは実に魅力的〜)

デイデイト表示窓の縦配列と白黒表示にも独自性を感じる。
サファイア・クリスタル製の風防には縦方向に多面カットが筋のように施されており、CZの輝きを上手く輝かせている。黒文字盤はギョシェ模様もないフラットだが、この多面カットクリスタルのお陰で、奥行き感ある見事な美しさを醸し出している。もう全てにわたって凝り凝りの仕様ではないか。文字盤の直径は25mm程度で可也コンパクト。それに比例して時針の長さも超コンパクトだが、確りと夜光処理は施されている。

その文字盤の周囲を、まるで鎧兜のようなハードメタル素材のスクラッチプルーフ製”バレル(樽型)ライン”のケースがガッシリと包み込む。このバレルラインが少々、古臭さを感じさせると思いきや、実は全くの逆。このバレルラインこそ、現在の数ある数奇で奇奇怪怪な時計形状が溢れる中、長年の歴史と実績に裏打ちされた存在感を放っている。久々にこのケースを見た瞬間、ヤラレタ!と思い、次にこの『黒文字盤+CZの11ポイント』を見て、再度ヤラレタ!と電撃を食らう。
そして止めの一撃となったのが、更に怪しい『黒金のブレスレット』だ・・・。






(ハードメタル素材の実力は如何に?)

スクラッチプルーフのこのハードメタル素材は、タングステンやチタン・カーバイトの微粉末を1000気圧の圧力で圧造後、1450度で加熱して特殊炉の中で焼結させる、とRADOの説明にある。
大雑把に言えば、水深1万メートルの深海の圧力で上記素材を圧縮させて、高温焼結させ、その後、ダイヤモンド微粉末によるブラストで磨き上げる。更に、その上から金色のコーティングを施す工程を経る(実際はもっと細かい工程があるのよ)。
と言うことは、最後の金色部分はあくまでコーティングだから、スクラッチプルーフにはならないかも?

この検証は経年変化を通じて実証検分するしかないのだが、もしSSシルバー製であればコーティング処理はないので、半永久的に輝きを保つことになる(理論上)。確かに、50年前のTHE ORIGINALを見ても美しいので、広告コピーはまんざらでもなさそうだ。

ハードメタルのヴィッカーズ硬度は1400〜1700。これは略、セラミックスと同じ硬度帯にある。
因みに金素材では30〜250、チタンで150〜450、スチールで150〜900程度(⇒RADOの取説図解より)であるから、その硬度は可也のものと推測できよう。ざっと、ステンレススチールの倍の硬度を持つのがハードメタルという理解だ。
その実力が今から楽しみである。






(古典的な『巻きベルト』は、昨今では逆に新鮮〜)

このベルトの駒は←左写真のようにかなり細かい。
ということは微調整が期待できるし、実際の装着感もなかなかのもの。
巻きブレスなので、どうしてもシャラシャラ感は免れないのだが、それがこのバレルライン型ケースにはピタリとマッチする。多分、見慣れて古っぽいケースという先入観も存在するので、故に巻きブレスでも抵抗が薄れるのだろう。
バックル横に刻印された”THE ORIGINAL”の文字が渋いではないか。

ブレスの種類は大別して3種類存在する。
1)巻きブレスで、このモデルのように中心駒に黒色パーツが
  コンビネーションされているもの
2)同上だが、黒色パーツがないもの
3)巻きブレスではない、ソリッド式ブレス

それぞれに金色、銀色が存在するので、最低でも6種類はあるのだ。



尚、ダイバー用を加えれば更にブレスの種類は増えてくるから、バリエーションは文字盤も合わせてROLEXのバラエティを凌駕するほどだ。日本では恐らく殆どお目にかからないこのモデル(⇒輸入されてもせいぜい10〜20本程度がいい所か?)も、本場中東(!?)では腐るほど溢れているのが楽しい。詳細は、別途、『RADO ”THE ORIGINAL”の魅力』(仮称)で詳述する。





(この黒金ブレスの”嫌らしさ”こそ、『時計オヤジ』の求める方向性である〜)


個人的には『黒金』だから何でも好きという訳ではない。
重要なのは『デザイン・バランス』に尽きる。
デザイン・バランスを構成する要素は幾つかあるが、最終的には総合的に判断する自身の感性に宿る。

このモデルでは、アクの強い要素が重なり合い、パーツ同士が互いに主張するという難しいモデルだけに、カラーバランスを含めた総合的な評価は一般受けする範疇とは『対極』にある。要は、キワモノの部類に属することは百も承知であるが、そこを理解した上で使いこなさないとマズイ。

やはりこうしたモデルが中東や東南アジアで受けるというのは、文化や国柄、国民性や嗜好の違いが根本的に我が国と異なることが背景にあるのかも知れない。スイス雲上ブランドとも全く異なる範疇のモデルだが、それでもスイス名門のRADOがこうしたモデルを輩出しているところが面白い。まさに中東向け、アジア向け等の新興諸国向けモデルと言えるかも知れないが、『時計オヤジ』の琴線にビンビン触れるのだヨ・・・。






(バックルにも独特の工夫がある〜)


バックルも凝っている。
シングルPUSH式であり、実用上からも十二分に機能的だ。加えて右写真のように、バックル内部に延長機構が隠されている。文字通り伸縮自在の補助延長機構は使い勝手が大変よろしい。オメガでもこうした機構があるが、そこは同じSWATCHグループのメゾンとして好ましくもあり、実用上便利な共通機構、であろう。

単純で古典的なエクスパンダブル・クラスプではあるが、現代では起用するメゾンは稀有である。もしサブマリーナにも導入されれば結構、それなりに重宝するかも知れない。但し、ちょっとの力で簡単に延長してしまうので、本格的なダイバーズや、駒が厚めの時計ベルトには不向きだろうけど・・・。

RADO刻印が浮かび出た横縞模様のバックルも、何ともクラシックな風合いでいいなぁ〜〜〜、と独り悦に入る。

さて肝心の自動巻きムーヴCal.648はETA2836-2である。25石で8振動/秒、25.6mm径(11.5リーニュ)の5ATMはこの種時計としては十分な実力値である。ETAムーヴ故の安心感もあり、最近流行で巷に溢れる、”下手に高価な自家製キャリバー”よりも遥かに満足できる。
スケルトンではないものの、ここまで表の顔が個性的なので、もうclosedで結構。ETA製キャリバーで十二分である。


      * * * * *

最後に余談だが、このReference No.の読み方について以下の通り記す:
Ref.01.648.0413.3.161.02994
01=時計完成品
648=Caliber No.
0413=Case No.
3=Case素材(3=ScratchProof Case Top)
1=Bracelet Variant
61=Dial(黒文字盤)
02994=Bracelet No.


#R12.413.61.4
R=Rado(ブランド表示)
12=Diastar
413=Case No.
61=Dial
4=Bracelet種類(メタル)


さて、この”RADO THE ORIGINAL”、余りのデザインの良さにこの1本で打ち止めにはならない。
欲を言えば、あと3本、更に気になるモデルがあるのだが、もう2本を厳選して購入してしまった(結局、熟考の結果、一気に3本、大人買い
⇒というか、大人気ないカイモノ、をしちゃったノダ・・・)。その考察は順次、DEEPに行う予定・・・。(2010/08/01) 312000



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