2002年12月、到着したパリの気温は3℃。 (まずはパリ到着、とにかく寒いパリに閉口する〜) 気温30℃の世界からやってきた筆者にとってみれば、寒いどころの話ではない。凍て付く寒さとは正にこのことである。まずはセーヌ河沿いにある’NOVOTEL PARIS TOUR EIFFEL’にチェックインする。前回泊まった時の名前は「日航ホテル」であったのだが、いつの間にやら経営者が変わっていた。ある程度覚悟はしていたものの、レストランもサービスも全てが以前とは変わっており、少々幻滅した。 ←左写真:パリ市内のオペラ座前交差点にて。 (必死に予習を行う「時計オヤジ」〜) 日本からホテル宛てに送付した一冊の本を無事受付で受け取る。「時の歯車〜機械幻想スイス紀行」(松本零士著、NHK出版)である。数々のスイス時計紀行書はあるが、今回は松本零士さんのいわばアマチュアの視点から捉えた紀行文が一番参考になると思ったからである。丸で受験勉強のように一晩かけ熟読し、付け焼刃ならぬ知識を溜める自分である。ノウハウが何もない単独の個人旅行としては実際のスイス入りを前にせめてもの気持ちの整理の為でもあったのだ。 さて、ホテルロビーでは日本からの若い観光客らしき女性数人が集まっており、中の一人がパスポートをスラレたようで泣きじゃくっていた。ご愁傷様である。ローマで同様に苦い経験がある筆者には、その悔しさと辛さが痛いほど分かる。さて、そんな悲しい場面を横目にパリ市内へと散策に繰り出す。 とにかく寒い。シャイヨー宮前の広場で思わず耳あて付きのニット帽を買い込む。イスラム圏を除けば、クリスマスシーズンの市内の喧騒は世界中どこも同じだ。慌しい師走の雰囲気が漂う中、気分も自然と高揚する。早速、9 Rue de Grenelleにあるパラブーツ(Paraboot)へ向かう。U-TIPの靴としてはこことJ.M.Westonがお気に入りであるが、今回も目の保養だけで満喫させてもらう。パリの日本書籍店JUNKU堂(18 Rue Pyramides)で最新の日本雑誌を数冊買い込む。おしなべて日本の定価の約3倍前後だ。因みにシンガポールの紀伊国屋では日本の1.5〜2倍程度、タイ・バンコクの紀伊国屋では約2倍前後が価格相場である。こうした書店にいる日本人は皆、地元の在留邦人か筆者のような「OFF-SHORE旅行者」である。海外で日本の書籍を読む事は、文字通り手間・隙・カネがかかるのである。 (今回の時計巡礼旅行の目的は〜) 前置きが長くなったが、パリからジュネーヴへ移動した。 今回の大きな目的は、ジュネーヴにおける、 @VACHERON本社内博物館訪問 APATEK PHILIPPE博物館訪問 Bフランク・ミュラーWATCHLAND訪問 そして、 Cベルンにおける時計台見学 D聖地ラ・ショード・フォン(La chaux-de-Fond)時計博物館訪問 E同地に点在する時計メーカー訪問、である。 この中で確実に可能であるのは外観だけでも拝見出来るCだけだ。A、Dでさえ冬季の開業時間が最後まで確認できず、あとは行き当たりばったり、運を天に任せるのみ。因みに今回も私的な個人旅行ゆえ全てのアポ取りは自力で行ったのは言うまでも無い。 ジュネーヴ国際空港を降りてタクシー乗り場に着くと早速、フランク・ミュラーの特大のポスターが目に入る(右写真上)。どうやら2002年度ジュネーヴ時計NO.1に選ばれたらしい。その後、同様なポスターは街中で目にすることになる。果たしてこの段階でまだひとつのアポも無く、WATCHLAND訪問もできるのか?ジュネーヴの気温はパリ同様、4℃。観光客もまばらだ。重く、暗く、どんよりと垂れ込めた雲の下で、心細い気持ちになる筆者であった。。。 |
(今回の旅行の動機と実行への軌跡?〜) ←左は2003年冬号の「時計Begin」(Vol.30)。 極上ウォッチを世に問う問題作! タイトルにある通り「極上ウォッチを手に入れろ!」と称した特集記事だが、この内容は圧巻である。毎回、パワーアップしている「時計Begin」であるが、本格派スイスBIG-MAISONの現地レポートとして一つの頂点を築き上げた特集記事、と感じている。その内容にも大いに触発され、今回のスイス訪問を決心するに至ったとも言えよう。加えて、去る2002年9月にドイツ・デュッセルドルフでの時計蚤の市に遭遇したことも大きな後押しとなったのだ。 スイス本場のメゾンを訪問したい、との気持ちがいつしか現実味を帯びた可能性を生み出し、遂には実行へ移すに至るのであった。 (自分にとってのグラン・サンクとは〜) 上記特集記事にある、”Grand 5(グラン・サンク)”という言葉の響きにもヤラレタ。 さすが、プロのコピーライターというのは凄いものだ。 じっくり考えてみると、一体自分にとっての”Grand 5”とは何であろうか? そしてそもそも「良い時計の定義とは」、「自分はどんな時計を求めているのであろうか」といった根本的な命題に直面するのである。 こういう堂でもよい事を考えるのは本当に楽しい。しかし、唸ってばかりもいられない。ここはスイス本場のブランドと歴史に足を踏み入れざるを得まい。こうしてスイス時計巡礼の旅の土台と目的の骨格が出来上がったのである。 そして、実際にその世界を垣間見ると更にとんでもないことが・・・。 ジュネーヴ編(U)へと続く。 (参考文献) 「時の歯車〜機械幻想スイス紀行」(松本零士著、NHK出版) (時計オヤジの『2002年スイス時計巡礼』関連のWEBはこちら) ⇒ 『極上時計を求めて〜ジュネーヴ編』はこちら・・・ ⇒ 『ヴァシュロン博物館探訪記』はこちら・・・ ⇒ 『パテック・フィリップ博物館探訪記』はこちら・・・ ⇒ 『フランクミュラー、ウォッチランドWatchLand探訪記』はこちら・・・ ⇒ 『ラ・ショード・フォンLa Chaux-de-Fond聖地探訪記(T)』はこちら・・・ ⇒ 『ラ・ショード・フォンLa Chaux-de-Fond聖地探訪記(U)はこちら・・・ ⇒ (腕時計MENUに戻る) |
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