考察シリーズ L

”DENTS PECCARY GLOVES STYLE NO. 15-1041 Handsewn”

『デンツ・ペッカリー革手袋についての考察〜B』




2008年冬シーズンも終わろうとしている。
くどいようだが、今一度、デンツDENTSのペッカリー製手袋について考察する。
DENTSと言えばペッカリー。やはり、この素材無くしてDENTSは語れまい・・・



(今シーズン、4枚目の革手袋はDENTSのペッカリー〜)

2枚目となるペッカリー革製手袋を購入した。
DENTSの代表的カラーで、”コルクcork”と呼ばれる薄黄色である。
使い込むと汚れとか目立ちそうだが、それも革製品の味。
時計で言えばケースに絶対付いてしまう細かいキズ、と思って気にしないことだ。そのように吾に言い聞かせながらDENTSのオンラインshopで申し込んだ。ロンドンの2月はまだ寒いが、流石にこの時期では市内のデパートにも革手袋の在庫は少ない。申し込み後、3日目に早くも届くところは地元の利、である。

(⇒右写真: 
  20年以上前にローマで購入した薄茶色のペッカリーとDENTS。
  裏地のあるなし、も要因ではあるが、DENTSの細身さ加減が分かろう。
  極端な程、横幅が全く異なるのだがカシミア・ライニング付きと一枚革の違いはこうなる。)





(ペッカリーを100%味わうには『裏地無し』、に限る〜)

素材の良さ、革の良さを味わうには裏地無しに限る。
今回は『一枚革』、実際には各パーツの集合体ではあるが、裏地がないということは装着して初めてそのフィット感、快感が体感できる。文字通り、第二の皮膚として手先全体にピッタリと吸い付くような感触だ。裏地が無い、ということでサイズもハーフサイズ小さめにしたせいもあり、装着するのに時間がかかるほどのキツメとなる。因みにサイズはDENTS最小のセブンハーフだ。一枚革であるため、当然、伸びることを見越しての選択である。
これがもし靴であれば、ちょっと窮屈すぎて足全体が悲鳴を上げるかも知れない、それほどのジャストフィット、タイトフィットであるが、相も変わらず親指先端にはデッドスペースが出来てしまうところが唯一、最大のデンツの欠点である。

それにしてもこのコルク色corkというのは珍しい。
恐らくDENTSしか生産していない『特許カラー』であるかも知れない。如何にもカントリーの雰囲気が漂う、英国的な色である。そう、ペッカリーとは素材にある程度の厚みがあるので、ドレッシーとは言い難い。質実剛健な素材、ディアスキンこと鹿革と双璧なヘビーデューティー素材であるのだ。




(教科書的な手袋の『正しい装着&脱着方法』とは〜)


上述の通り、余りにキツ目のサイズ選択の為、手袋を装着、脱着する時には一苦労である。
指先を持って強引に引っ張れば、ペッカリーと言えども裏地が無いので途端に革が伸びてしまい、ステッチまで壊してしまう恐れが大きい。

そこで、俗に世に言われる正当とされる手袋の脱ぎ方を実践してみよう。






まずは←左写真のように、手首部分の革を裏返して、まるでバナナの皮を剥くがごとく、捲り上げる。

*普通サイズでは簡単であろうが、実際にはこの窮屈サイズなDENTSの場合、この位置に捲ることでさえ一苦労する。特に掌で一番横幅のある親指付け根部分にくると、もう手袋は『ロック状態』となってしまい、これ以上簡単に捲り上げることが出来ない・・・








捲り上げた手袋を、指先に届くほどに更に捲り上げる。
そして全体を握るようにして、スポッとはずすのである。
装着する時は、この逆の動作を行うことになるのだが、ここまで注意?して実践している人は見たことが無い。実際、やってみると可也面倒くさいし現実的ではない、というのが本音である。

*ここで注意することは決して指先を持って、強引に引っ張らないこと。
実際には多少なりとも指先をつままないと取りにくいのであるが、それでも極力、引っ張り過ぎないように、ステッチに負担をかけぬように細心の注意を払うことだ。






(DENTSのペッカリー革は大変に柔らかい〜)


お決まりの三つづつの毛穴がペッカリーの証し。
耐久性があり、尚且つしなやかさが素材の特徴でもあるペッカリーであるが、長持ちの秘訣は『ローテーション』、これに尽きる。靴同様、毎日同じ手袋を使えば、ワンシーズンで相当くたびれてしまうのは自明の理。長持ちを心掛けるのであれば、1回使ったら3回休む、ワンシーズンで使う割合を25%程度とすることが目安だろう。

DENTSの手縫いステッチが良いというのが風評であるが、筆者のステッチ評価は可も無く不可も無く、だ。やや粗めのステッチ間隔とその仕上げは一流品のそれとは少々異なる。手縫いの味、と言えばそれまでだが、手縫いにしても一目で粗さ、不均一さが分かってしまうのは職人側に問題あり、と感じてしまう。それがデンツの限界なのか、老舗としての驕りなのか、はたまた考え方・文化の違いなのか、興味ある点だ。
親指の長すぎるデザインと共に改良を望みたい点である。(2008/03/08)



(手袋についての関連WEB)

⇒ 『革手袋についての考察@』はこちら
⇒ 『DENTSの黒革製手袋についての考察A』はこちら
⇒ 『DENTSのペッカリー製手袋についての考察B』はこちら
⇒ 『DENTSのPITTARDS製革手袋についての考察C』はこちら
⇒ 『グローブホルダーについての考察D』はこちら
⇒ 『PARTENOPE製オレンジ手袋についての考察』はこちら
⇒ 『PUSATERI製、ショート丈・時計用手袋』はこちら
(2011/6/11)

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