考察シリーズ(25)

『シンガポールでLAMY SAFARI 萬年筆の旧型・黄色・太字(Bニブ)を探す旅』



LAMYのサファリ・赤M(中字)を買ったのは10年以上前に遡る。
鉄製ペン先なのだが、潤沢なインクフローと相まってその書き味には至極満足している。
そして、以前から黄色サファリが気になりながらも同じPENで2本目は要らぬだろうと購入を見合わせてきた。
それが昨年来、サファリが大きくモデルチェンジを始めてしまい、
好みの
黄色までもが色調を大胆に変えてしまった。
”すわ一大事”、と購入を決意した時は既に遅く、市場から旧型黄色が姿をしてしまったのだ・・・(2010/09/20)

(所有する4本。写真上から順に: 10年以上前に購入した赤軸(M)
最近海外ネットで購入するも先方の誤りで『無料入手』となった黄色(B)の最新モデル#VT08110-18B、
今回念願の購入となった黄色(B)旧モデル#VT08113-18Bと黄色(M)旧モデル)


(実はLAMY萬年筆のファンでもあるという告白〜)

ポップな色彩と、完成されたデザインから若者向け、入門用、持ち方矯正用等のイメージが強いが、自分にとってのサファリ萬年筆とはそんなものではない。もっと遥かに次元を超越した完成品、傑作品に数えている。
Wolfgang Fabian ウルフギャング・ファビアンによるこのデザインは筆記具の中でも『私的5傑』に入るだろう。
発売が1980年という超ロングセラーモデルであり、今年は30周年に相当する。その節目を前にサファリのデザインに手が入れられているのが、正直非常に気掛かりだ。クリップの色が従来の黒からシルバーに変更され、極めつけは、『絶妙な黄色』が何とも『軽薄な淡い黄色』へと変更されてしまったことだ。

こうなってはLAMYファンである『PENオヤジ』としては、『旧型・黄色』を買わざるを得ない。
しかし、国内では丸善を皮切りに多くの文具店を探し、はたまたネットオークションでも漁ったが、時既に遅く中々出物が無い。加えて、何故か日本国内では従来から太字(B)が正規販売ルートでは存在しない。
一度、海外ネットで『旧型・黄色・太字』を購入したのだが、広告上の写真と異なり冒頭の写真のようにシルバークリップの最新モデルが送付されて来た。種々やり取りした結果、代金返金+お詫びとして商品は無料贈呈、となったハプニングもあったが、こうした『好意』も旧型・黄色でなければ『PENオヤジ』にとっては意味が無いのである。
サファリのインクフローは潤沢なので中字(M)でも十分、太い。しかし、MUSICニブや太字を好む『PENオヤジ』にとっては、やはり最初から太目のBニブが欲しいところ。欲張ってもキリがないが、旧黄色と太字(B)の組み合わせが是非とも欲しい。

筆者の愛する旧型・黄色のイメージは、下写真のように”ホンダFITの黄色”、はたまた”お風呂で遊ぶアヒルちゃんの黄色(RITZ CARLTON HOTEL製@シンガポール)”が非常に近い。やや山吹色がかった黄色、どっしり重厚感ある濃い目の黄色とでも言うべき旧型の黄色は非常に好み。逆に言えばそれ以外のサファリは赤以外では特に関心が薄い。何故なら、赤軸と旧黄色軸はカラーバランスの完成度でもサファリシリーズの中で断トツの出来栄えであるからだ。

そんなこんなで、半ば発掘を諦めかけていた2010年9月、シンガポールを旅行する機会を得た。





















(シンガポールの”NGEE ANN CITY/義安城”で『感動の対面』が実現〜)


2010年9月8日、”出会い”は突然にやってきた。
今回のシンガポール旅行の目的の一つが旧型黄色の発掘だ。
あるならここしかない、と決めていたのが高島屋も入っている義安城。この中の
”日系大手大型某書店”の文具コーナーを早速訪問したところ予感的中。アッタヨ、ありました。あっさりと求める旧型・黄色が鎮座しているではないか。

それも中字(M)と太字(B)の両方とも並んでいる。
これは嬉しいを通り越して”感動”の境地。
それにしてもこの文具コーナーに並ぶLAMYサファリは壮観だ。
店員には全く理解出来ない『PENオヤジ』の感動を誰に伝えれば良いのやら〜(⇒いいのいいの、こうした自己満足こそ時計同様にマイ・ワールドで楽しめばそれで良いのだヨ)。

⇒右写真: 某文具コーナーはこんな感じ。
        雑然とした小さな一角だが、ここに宝物は眠っていた・・・






(新旧黄色のカラーバランスを比較すると一目瞭然〜)

⇒右写真でも明らかだが右上のシルバークリップが新型。
  この旧型の『山吹色調の深い黄色』がたまらない魅力。
  下の2本が旧型のBとMだ。当然、2本買いである。

LAMYのデザイナーはどうしてこんな黄色新色に変えてしまったのだろう。
言わばオレンジから檸檬色への変更だ。筆者には全く合点が行かない。
この薄い黄色にどんなイメージを訴求したのであろうか。
この微妙な中間色の黄色から筆者が受ける印象は、若々しさ、ういういしさ、不安定さ、線が細い軽い印象、である。このイメージを助長するのが銀色クリップと銀色ペン先だ。黄色に銀色は似合わない。新型の全てが『PENオヤジ』にとっては心理的・生理的に受け付けない結果となってしまったのが非常に悔やまれる。

今回出会った旧モデル2本はBとMの両方をGET。価格は@S$45。
恐らく、今回のような『新品+太字遭遇』はこの先、二度とあるまい。







(『旅萬年筆』としては気軽に携行出来るベストの1本〜)


ブランド萬年筆も良いが、このLAMYは気軽さという点では群を抜く。
太字の書き味は勿論、『軸+クリップ+ペン先』の各配色が生み出す適度なポップさ加減と、デザインの良さが安心感をもたらすのだ。万が一、紛失しても価格的にも左程大きなダメージにはならない。尤も、それは旧型が溢れていた時代の話であり、旧型モデルが希少品になってしまった今では、失くすようなことがあれば一大事であるのだけどね。

ペン先の色も新旧では全く異なる。
好みではあるが筆者は旧型の黒色を好む。クリップカラーと連動するペン先の配色となるのだが、くどいが黄色と銀色はアンバランスだ。
黄色には全体が引き締まる効果を生む『黒がベスト』、である。

黒色のペン先に輝く
”LAMY B” の刻印が映える。
今回のシンガポール旅行での最大の収穫の一つがこのLAMYサファリであったことに喜ぶ『PENオヤジ』であるのだ。(2010/09/18) 321400





(『PENオヤジ』のその他筆記具の関連ページ)
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⇒2010年9月、シンガポールでLAMY SAFARIの
旧型・黄色Bニブ
を探す旅、はこち


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