SEIKO セイコー

SEIKO DIVER'S”3RD” AUTOMATIC 150M RESIST
Cal.6306-7001、6309-7040
『3RD再考』 その③
~ 「SEIKOダイバーズ・3RDにおける
”緋色の研究”」~




『緋色の研究』、とは我が愛するシャーロック・ホームズが初登場するコナンドイルのデビュー作品タイトルである。
この著名なる作品名にスポットを当てて今回の考察対象とするのが、
即ち、『3RDにおける緋色の研究』、である。
(2013/11/09 507900)



(3RD文字盤上における『緋色の研究』について ~)


まず、緋色とは何色を指すのであろうか。
Wikipediaによれば、緋色とは:
『スカーレット(英語 scarlet)は、色名の1つ。やや黄味の赤を表す。エカルラート(フランス語 écarlate)、スカーレットレッドとも。鮮やかな純色とされることが多いが、JIS Z 8102:2001では、ややくすんだ色とされている。(中略) 緋色(ひいろ)は、植物のアカネの根を原料とする茜染の一種で、濃く暗い赤色を茜色というのに対して、最も明るい茜色を緋色という。和訓では「あか」「あけ」とも読む。アカネと紫根を重ねて染め、深みを出した紫褐色を深緋(ふかひ、こきひ、こきあけ)別名は黒緋(くろあけ)、アカネに紅花の染料を重ね染めした明るい赤色は紅緋、アカネだけで染めた色は浅緋(あさあけ、うすあけ)、などの色がある。』

***


SEIKO 3RD DIVER'Sについての考察パート3。今回は、冒頭写真にある文字盤上の文字について。
車でも看板でもそうだが、一般的に暖色系、特に赤色は退色し易い。理由は紫外線による化学変化が主因。
コーティング剤やら各種工夫はされても、赤系はどうしても弱い。逆に、青・黒・白系は退色しにくい特性を持つ。

3RDは既に30年以上前の時計である。おまけにダイバーズという紫外線を浴びまくるハードな環境下で酷使される特殊性もあり、現在において極上のコンディションを保つ3RDオリジナルを発見するのは至難。その多くが文字盤交換やら何らかのレストアを伴うことは免れない。そうでなければ可也、年季の入った風貌にならざるを得ないだろう。

***

色々、調べてみると”
WATER150mRESIST”の文字も次のように色彩(退色)変化を生じている3RDが多い。

オリジナルの文字(=WATERとRESIST)はオレンジ系だが、これが、黄色→グレイ系に経年変化する例が非常に多い。
中央の150mは白銀系であり、色合いがそのまま残る傾向にある。
すなわち、以下のように変色する。

WATER150mRESIST

    
 

WATER150m
RESIST

    


WATER150mRESIST



そして、ごく稀にではあるが、薄青系(↓)にも変化することもある。

WATER150mRESIST



***

今回入手した6306(国内モデル)はオレンジ系、6309(海外向けモデル)は黄色系となっているが、上記に当てはめれば経年変化を「表現」した文字となっている。6306のオレンジ系が強く残っているのは、それなりに紫外線を余り浴びていない環境下で使われたことを意味する。6306の諏訪マークも美しいが、このような程度の良い個体を見つけることは昨今では決して容易ではないと推測する。3RD(6306)オリジナルのオーナーであれば、こうしたロゴの色合いを愉しむのも一興であろう。

そうしたロゴの変色も念頭に置きながら、じっくりと選ぶのが3RDの現在の状況である。しかし、一方で6309に関しては、日本生産から海外生産に切り替わって以降、その生産数量も不明。かつ、市場に出回る多くの6309文字盤は交換されたリプレス品が主流となっており、このロゴの色彩変化はあてにならないのが現状であることは付け加えておく。
因みに、3RDには国内向け(Cal.6306)と海外向け(Cal.6309)の2種類があるが、前述したように初期品の国内生産年度は1976年から1980年代初頭まで。
1980年代に入るとSEIKOの海外戦略に伴い海外生産品が並行して登場するが、当然そこには諏訪マークはない。よって、81年以降の生産品で諏訪マークがある文字盤は全てリプレス品と言って良いだろう。




(曜車の『二文字』について ~)

3RDで曜日合わせをして気が付いた。
2か国語表示の曜日の変わり目に小さな2文字が見えるのである。

(↓下写真) 手持ち3RD国内向け#6309ではこうなる。
和文と英文曜日表記が切り替わる時に、”EJ”の文字が見えるのが分るだろうか。

























***


3RDで使われる曜日言語は、以下の7種類と推測されるが、アラビア語と中国語の存在は未確認(存在すれば極めてレア)。
夫々の曜車には同様な2文字がプリントされている。


①6306用: 英語/漢字(EJ)
②6309用: 英語/仏語(EF)、英語/スペイン語(?)、英語/独語(?)、英語/ローマ数字(EY)、
③未確認 : 英語/アラビア語(?)、英語/中国語(?)

3RDに限らず古いSEIKOの曜車には上記と同様な2文字が印刷されている。
特段、3RD固有の特徴ではないのだが、往年のSEIKOムーヴメントの証として、この2文字が見れるのは心躍る、のである。
(※現行のSEIKOモデルには当然ながら、この2文字は存在しない)

***


(⇒右写真)
具体的に曜車全体を確認すると、
曜車ひとつとっても、3RDには古風なSEIKOのアイコンが残っており、古き良き時代の香りを愉しめる。
この『2文字フェチ』の心境を3RDに重ねると、これまた愉悦であるのだ。。。
(2013/11/09 509000)



God Bless 3RD, ”I LOVE 3RD”.

『考察④、Strap考察編」、へと続く・・・



(SEIKOダイバーズ関連HP)

1) SEIKO KINETIC ARCTURA DIVER'Sはこちら
2) SEIKO 200m DIVER'S (SKX007J)はこちら
3) 『SEIKO ・3RD再考』その①はこちら
4) 『SEIKO ・3RD再考』その②はこちら
5) 『SEIKO ・3RD再考』その③はこちら
6) 『SEIKO ・3RD再考・Strapu考察編』その④はこちら


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