(１０年ぶりにデッキシューズを購入する〜）
デッキシューズ、若しくは少々ヘビアイ(※）っぽいキャンプモカシンのデザインは『永遠の定番商品』と断言できる。時代や年齢、流行にさえ左右されない骨太なデザイン力で溢れるのが筆者にとってのデッキシューズである。加えて、何故かほのかな哀愁、青春時代への郷愁さえ漂わせる不思議な靴でもあるのだ。
１０年前にドバイのFLORSHEIM直営店で買ったのが右写真にもある茶色デッキシューズ。アメリカの老舗FLORSHAEIM製というのが意表を突く選択だが、これが大正解。革質の良さ、バーガンディっぽい発色の良さ、そして何より適度なクッション性能を併せ持つラバーソールの抜群の耐久性。未だに現役、未だに日常で活躍する筆者の秘蔵っ子シューズでもあるのだ。そしてデッキシューズでハトメ３個式というのも珍しい。
今回は、今や我が愛用ブランドになってしまったCole Haanのエア・ヨットである。
（※）ヘビアイとはHeavy Duty Ivyの略語で、イラストレーターの小林泰彦氏が生み出した造語。１９７０年代後半に雑誌メンズクラブ誌上で打ち立てた新機軸なエコロジカル＆ナチュラル志向の新ファッション・ジャンルである。当時でも斬新、画期的な提案であり、その後の定着度合いをみれば最早時代に完全に溶け込んだファッションである。小林泰彦氏の先見の明が輝いていることは論を待たない。日本におけるヘビアイ文化の魁として氏の果たした功績は極めて大きい。
（ようやく憧れのトリコロール・カラーに辿り着く〜）
実は長年、赤・青・白の３色トリコロール・カラーのデッキシューズに憧れて来た。REGALでも、他ブランドでも毎年春夏モデルで登場する定番ではあるが、何故か今まで手に入れたことは無かった。恐らく、ド派手な３色カラーに対する心の片隅における抵抗と、この靴を履きこなす自信とTPOが無かったからではないかと分析する。
では、何故今になってトリコロールか。
それは一言で言えば、憧れの実践、に他ならない。この『実践』を後押ししてくれたのが『SALE』という『時期と誘惑』である。日本国内での価格は知る由がないが、ここリヤドのCole Haanショップで１００ドル以内の価格だから、現在の円高定着レベルで換算すれば８千円程度の超破格値、と言ってもよかろう。
最後の決め手は足入れ感。
ヒール部分に埋め込まれたナイキ・エアと、適度な締め付け感ある甲全体にかけてのフィット具合が絶妙。
その秘密は後述の『内臓ゴア』にあるのだが、３色の配色も素晴らしい。甲の濃紺、サイドの深緑、そして濃茶のヒール部分のシックな配色も上手く大人加減を表現している。特に深緑と濃茶の革パーツは型押し加工をしている手の入れよう。こういう風に細部にまで配慮されたデザインには中々、感心してしまう。
（フィット感の秘密は『内蔵ゴア』〜）
どうもフィット感が良過ぎると思ったら、秘密はベロア裏側にあった。⇒右写真：ベロア（タン）の下側を這うように緑色の幅広ゴムベルトが埋め込まれているではないか。これはアイデアである！このゴムのお陰で、革ヒモ無しで履いても、靴が脱げることは無いのである。
そしてゴムの色もアッパーと同色の深緑、というのが泣かせるではないか。
しかし、如何にフィット性能が優れるとは言え、革ヒモ無しでこの靴を履いてはいけない。邪道である。やはりデッキシューズたるものは、靴ヒモを締め上げて履くのが王道中の王道。下手な洒落っ気をココで出してはいけないのである。
それにしても、この『内蔵ゴム』、『内蔵ゴアベルト』の発案はコロンブスの卵的なアイデア。デザイナーの手腕に脱帽、である・・・。
（←左写真： ROLEXグリーンサブとの相性も抜群〜）
トリコロールよりもソールが真っ白、というのが一番目立つ。
本当は、ここだけは白ではなくブラウン系統のラバーでシックにしたかったのだが、まぁ、デッキシューズのソールは白色が相場と決まっているので我慢。
その点を差し引いても、『デザイン＋耐久・快適性＋経済性』の３つのトリコロール要素がハイバランスされたのが、この２０１１年春夏モデル。プレッピーっぽい雰囲気と、高度なハイテクデザインを両立した、現代風のデッキシューズではあるまいか。加えて筆者にとっては遠い昔への哀愁も漂う、少々甘酸っぱい靴でもあるのだ・・・。
(2011/7/16 378244)
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