ROLEX  ロレックス

ROLEX PRINCE CELLINI Ref.5443/9 



(2005年発表の『新型PRINCEプリンス』と対面する〜)

2006年3月下旬、土曜日で天気も晴れ、ということでミラノの繁華街は相変わらず賑わう。
日中の気温は9度。コート姿がまだ多いが、街中の気分は既に『春』である。
ミラノ銀座であるモンテナポレオーネMontenapoleone通りも例によって大混雑。イタリアのファッションブランドは街の歴史と文化そのもの根付いているようで、足が地に付いている。『ブランド』が街並みや人々と一体化している。日本で見られるようにブランドがやや浮き上がっている気配も無い。老いも若きもブランドと混ざり合っている。これが本場の風格、とでも言うべきか。

そんなモンテナポレオーネに面した名店の一つに、”ROCCA CALDERONI”がある。
ラルフローレンの隣にはAP(オーディマピケ)専門店も出来たが、やはり『時計店』は良い。
”PISA”と並ぶイタリアの老舗。Rolexや、Patek Philippe等の正規代理店でもあるこの店で、新作Rolex PRINCEが展示されていたので早速、拝見させて頂く。

新型PRINCEは限定モデルではないものの、現段階では可也玉数も少ないそうである。
昨年、衝撃的に発表となったこのモデル。ようやく、今年に入って欧州でもデリバリーが開始されている。

昨年から雑誌などでも紹介されているので特段、目新しさは無い。しかし、PRINCEといえばそのオリジナルが1920年代に登場して以来、未だにアンティークの世界では『ROLEXの華麗なる雄』たる存在である。その復活となれば、すわ一大事、であるのだがどうも今ひとつ気持ちが盛り上がらない。ROLEX初の裏スケルトンで手巻、という見せ場も用意されているが、『時計オヤジ』が魅かれないのはどうしてであろうか。



(裏スケルトンの仕上げはかなり凝っている〜)

同一シリーズモデル(PRINCE)でありながら、ケースと文字盤デザインが同時に4種類発売となる。この積極性は評価に値する。文字盤の装飾に合わせて、裏スケルトンから見えるムーヴメントも『表』に呼応した4種類に装飾されているのは見事。なかなか気配りある高度な仕上げではないか。

分割式のブリッジ(受板)は古典的な意匠を意識したもので、奇を衒う姿勢は微塵も無い。
逆にこうした分割受けが現代では新鮮にさえ映るところが嬉しいような、寂しいような。。。
しかし文字盤やケースデザインは極めて現代的。まるでGUESSかcKウォッチと見間違うほど。一方、伝統的な輪列配置、分割ブリッジを持つムーヴだが、仕上げ処理は”コート”ではない。ROLEX独創のデザインは前代未聞の素晴らしさ。全体の持つ雰囲気は極めて近代的な風貌である。とてもドクター・ウォッチやドライビング・ウォッチには見えない。
その風貌こそが旧来の名作プリンスとは似て非なる、全くの『別物』にしている所以だ。
このPRINCEは名前は同一でも旧来の『名作プリンス』ではない。要はこの点を受け入れられるか否か、好きになれるか否か、で評価が大きく分かれるだろう。文字盤にはPRINCEとあるが、ケース裏面にはCellini の文字も刻印されている。
PRINCEと呼ぶよりも、チェリーニCelliniラインの新作と言った方が分かり易い。事実、カタログもチェリーニシリーズの中にある。



手巻の巻上感はなかなかよろしい。
竜頭も大きめであり、機械好き、手巻ファンにはたまらんだろう。

しかし『時計オヤジ』が一番気になるのは、角型ケースの縦・横長さの比率、そしてラグ回りのデザイン処理である。縦横の比率をもっと長方形にした方が古典的となる。クロノスイスのデジターまで長方形になれ、とは言わぬが、ネオクラシック志向、古典懐古主義の筆者からみると、このケース形状は余りに現代的。ショパールの女性用角型ケース、フランクの角型コルテツ・コンキスタドールともイメージがダブる。そんな、印象が旧来のプリンスとは全くの別物に映って見える理由である。

加えて言えば、文字盤上のハンズ(針)のデザイン処理にしても、『な〜んだ、これはぁ〜・・・』、となる。








(⇒ 新型バックルは観音開きタイプのDEPLOYMENT式バックルである〜)

ケース素材と同様の18金WGのDバックルは重厚そのもの。
しかし、プッシュ式ではないので少々、コツが必要。

この新作PRINCE、イタリアにおいても現在は引っ張りダコ、だそう。
本数も少ないので、今のところ値引きは一切無し。
18金YG、PG、WG製で約11,000ユーロ前後が相場である。
ステンレススティール製は、勿論、存在しない。

ROLEXの中でも、比較的地味な存在に落ち着くような印象の新型PRINCEである。このPRINCE以外にも、JLCのグランドサンムーン(新型=大型)も店頭に並んでいる。

さて、いよいよ2006年、春の新作ラッシュ季節到来である。
欧州における桜の開花の役割は、こうした新作時計の発表・展示が肩代わりしているかのようだ。。。

新作時計も良いが、一瞬の桜の舞に想いを馳せるのもまた一興であることよ。
心はやるこの時期に、心のゆとりを持つことも必要である。
平常心で対象物を見つめる悦楽に浸る快感、養う己の審美眼。。。
この時期、各自各様に、自分なりの『雅(みやび)』を満喫アレ・・・(2006/3/28)


Special thanks to : ROCCA CALDERONI-via Montenapoleone, 16, Milano



(参考)『時計オヤジ』のROLEX3部作はこちら:

ROLEX OYSTER-DATE PRECISION REF.6694はこちら。
ROLEX DATE-JUST CAL.3035はこちら。
ROLEX DATE-JUST CAL.3135(Thunderbird)はこちら。

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