SEIKO   セイコー

SEIKO KINETIC "ENERGY SUPPLIER"
Model No. Y02A




この『エナジー・サプライヤー』(以下、ES)を入手することをどれだけ待ち焦がれたことか。
Kineticこと自動発電式クォーツは連続使用中は良いのだが、使わないと電池が放電・消耗する(当然)。
そして、その『強制満充電』には物凄い労力を使う。
今回は強制充電をいとも簡単に成し遂げる、マニアにとっては『夢の機械』であるESのお話・・・。
(2013/06/08 488100)



(長らく捜し求めてきたエナジーサプライヤー【ES】とは 〜)


ESとは原則、時計店などの業務用機器であり非売品である。そんなイージーマシンの存在を知ったのは、とある愛好家のブログ記事であった。それまでは、市販のワインディングマシンを改造して使えないかとか、自分でモーターを買ってきて何とかして自作できないかとか、想像の中で悶々とした日々を送っていたのである。

実際に某愛好家の中には、ワインディングマシンを少々改造してKinetic充電用として成功した猛者もいる程だ。そうした人々の熱意と努力には心より賛同と賞賛の意を表したい。

そして、このESの存在を知ってからというもの、世界のオークションサイトをサーフィンする日々が続いたが、海外では新品は殆ど無く、中古品でも300〜400ドルは下らないというインフレ状況であった。

そんな中で、遂にその日がやって来た。
こちらも、とある愛好家の紹介で知ることになったのであるが、灯台下暗し、売り手は日本国内にいるという千載一遇のチャンスに巡り会えた。それも新品である。新品というだけで、価格はそっちのけの気分でもあたが、実際の価格は極めて良心的なものであり、満足感と天秤にかければ申し訳ないと思えるほどの出物であったのだ。

***

電圧は100〜240V対応のワールドワイド仕様。
そして、30分急速チャージと、3.5時間チャージの2ポジションがある。まだ3.5時間チャージしか試していないので、急速充電の威力は未確認。これからも使う予定はなさそうだ。
外見はまるでCDウォークマン並の大きさで、想像以上に小さい。当初、時計を置く部分の円盤が回転するのだと思っていたが、実は回転運動ではなく、時計をただES上に載せるだけ。Kinetic内蔵の蓄電池に直接的に電気を送るシステム、と考えた方が分かり易い。ESと言えども家電製品。気になる帯磁についてメーカーに照会したところ、『交流磁界』を使用しているので時計が帯磁することはない、とのことである。即ち、理屈ではプラスとマイナスが交互に変わる、つまり極性が反転しあうことにより帯磁への影響を極少に押さえている、と理解したら良いかも知れない。結論としては、ES利用によって腕時計が帯磁することは殆ど無い、ということである。






(何とも摩訶不思議なる竜頭位置による充電設定 〜)

ESの使い方は至って簡単。キャリバー番号に合致する位置に竜頭を重ねて時計を置くだけである。その後はスイッチオンで、充電完了となる。電池が要らない自動発電クォーツ時計でありながら、こうした充電機器に頼るという何とも本末転倒な話ではあるが、これが快適極まりない。そもそも、時計好きであれば同じ時計を毎日続けて一週間、一ヶ月と使用することなど有り得ない。靴を毎日換えるのと同じで、腕時計であれば週一、月一、いや数ヶ月に一度しか使わぬことさえも珍しくない。そんな状況でKineticを使うとなると、当然ながら充電池は『放電地』に早代わりしてしまう。そして、電池残量が少ないKineticを使うのは、これまた精神衛生上よろしくない。電池残量確認ボタンを押して、フル充電を指してくれれば気持ちもこの上なくハッピーとなるのである。であれば、この際、ESという無駄な投資と余計なハイテクに頼るのも許せるではないか。何よりも、こんなに便利な機器を業務用だけに限定するのは勿体無い。

***

Kineticを手動で強制充電させようとすると、例えば右手に時計を持ち、左右に約20cm程の平行往復運動を行う。経験上、これを1秒で2往復させるのが一番効率が良い。これを10〜15分続けても、満充電にはまだまだ遥かに及ばないのである。仮にゼロ充電状態から始めると、恐らく右腕は腱鞘炎になってしまうのではないか、と思えるほど疲れるし、その仕草は滑稽、というかみすぼらしいし、せわしない。。
これらの不満と充電を一挙に解決してくるコンビニエンス・マシン、夢のマシンがESことエナジー・サプライヤーであるのだ。









(フル充電を心待ちにする我が愛機達 〜)

←左写真は我が『Kinetic3兄弟』
これに初代Spring Driveを加えた4本がスポーツ系の雰囲気とSEIKOデザインが溢れており好み。
現在、日本の倉庫内で保管中のこれら愛機達にエネルギーこと、ESラブ注入が出来る日も遠くは無い。
特に右下モデルの”Auto-Relay”をフル充電させることは今から愉しみである。

加えて、SWATCHグループによるAUTOQUARTZキャリバーもこれで充電できないものかと虎視眈々と試験する場を狙っているのだ。












(⇒右写真: 7L22搭載の精悍クロノ2本 〜)

2003年BASELで初登場したこの偏心文字盤クロノ。
海外向けモデルとしてこのように精悍なる顔付のモデルがあった。
特に右ラバーモデルは黒地に縦縞フリンケ入りだ。
左は同じ黒でもフラットで光沢あるラッカー塗り。
共にSS製で重量は重めであるが、その独特3眼配置が時にジャケ・ドローっぽくもあり、ランゲやGOの偏心文字盤っぽい味わいも想像出来て、未だに魅力タップリ満載の7L22クロノは良いなぁ・・・。


(2013/6/8 488100)









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