![]() イタリアン・シューズの良さは何だろう。『靴オヤジ』の結論は3つ。 『上質なデザイン、上質なカーフ系の柔らかな革質、そして上質な履き心地を求めた製法』にある。 3項目の全てに共通するのは『柔軟さ』だ。 フェラガモのFILOSOFO。 まさにイタリアン・シューズの代表選手としての面目躍如である。。。 (2011/7/20 379100) |
![]() 個人的にはダブルモンク、ウィングチップ、そしてプレーントゥが好みである。 この3種類があればON/OFFあらゆるオケージョンで万能である。 このフェラガモのシングル・モンクはそうした良い点を集大成したようなシンプルデザインの塊と感じている。 流行から定着したイタリア発のロングノーズ。 伝統的なラウンド・トゥは『基本のキ』デザインだが、この靴のようにトゥ先端をチゼル処理することで、程よいエッジ感を出すことと、ロングノーズの膨張感を絶妙に押さえ込むことに成功している。このフロントデザイン処理がこの靴の命、と言っても過言ではあるまい。 ![]() ←写真左: チゼルトゥにすること、即ちトゥ先端を角型デザインにしたことで、ロングノーズも左程、目立たないことが分かる。この適度なエッジ感がモードハウスらしい個性を主張している。 しかし、デザインベースは全てトラッド。 奇抜さ、という味付けが微塵も無いところが流石、フェラガモである。 ![]() (⇒右写真: ヒールからのラインはまさにスマートなイタリア靴そのもの〜) サイドバックル以外、特別な特徴は無いのであるが、全体の靴のライン、シルエットが見事。こうしてヒールから眺める姿はまさにSLIP-ONそのもの。余計なでっぱり、装飾が無いので非常にすっきりとしている。それでいて、他社にはマネ出来ないこの仕上げ具合は見事。 ゴテゴテと装飾走らず、極力『無』をベースに靴全体のラインで勝負するところがこの靴の醍醐味。全ての靴造り、デザインにおいて共通する点ではあるが、特にこのFILOSOFOではシルエット、木型ラストの美しさで勝負しているのが凄い。 (⇒右写真: 靴底のデザインからも重厚さが溢れている〜) ![]() 重厚さ、とは軽快さの逆。 この靴底ラインからも分かるように、土踏まずの絞込みも少なく、安定感が感じられる。見かけの美しいデザインとは裏腹に、靴底のデザインは底面積を比較的多くとることで、耐久性面を重視していることが伺える。 Tramezzaラインの同社最上級モデルに位置付けされるこの靴は、フェラガモの繊細なる美しさを、牽牛なる製法で裏打ちされた伝統美として完成させている。色気と質実剛健さを見事に具現化した一足、としてこのモデルの美しさは群を抜いているものと感じている。 因みに靴の製法は『ステッチド・ウェルティング製法』というらしい。Good Yearと似た感じもするのだが、厳密な違いは不明だ。この製法はアッパーと靴底の革をウェルトを挟んで縫い合わせる方式だそう。フェラガモの婦人靴で使われてきた製法を男性用のTramezzaラインでの導入したというが、シャンクに木製を使用するとか、中敷にも厚めの革素材を使い、足型が自然と革に馴染む(沈みこむ)ことで履き心地の良さを自然な形でオーダーメイドで作り上げることが出来る構造である。こうして考えると、甚だGoodYear方式と酷似するのだが・・・。 兎にも角にも女性靴でスタートしたフェラガモの技術の蓄積を男性靴でも開花させたモデル。 フェラガモの歴史と履き心地の両方をこのFILOSOFOで味わえるのは、現代の男性としても可也の贅沢かも知れない。(2011/7/20) 379100 (参考文献) Men's Ex 特別編集 『最高級靴読本Vol.2』(世界文化社) 『ちょい枯れオヤジの』イタリア(フェラガモ)関連ページ: 『2005年1月、フェラガモ博物館訪問記』はこちら。 『2011年・Ferragamo "Europe" Nero Calfの考察』はこちら。 『FiroSofoの考察』はこちら。 ⇒靴のページに戻る |
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