(♪飛んでイスタンブ〜ル♪ トプカプ宮殿再訪〜) イスタンブール最大の見所、トプカプ宮殿。 オスマン帝国のメフメット2世により15世紀後半に創設されたトプカプ宮殿は、現在トルコ国立博物館として使用されている。歴代スルタン(君主)の数々の宝物、日本の陶磁器等が展示されているが、その中にあの『ランゲ&ゾーネA.LANGE&SÖHNE』が作成した懐中時計が展示されていると聞いている。『時計オヤジ』たる今となってはランゲ以外の展示品は堂でも良いのだ。 2002年12月の見学時には、その後に続く『スイス巡礼の旅』を前にしてトルコの予習にまで手が回らなかったが、今回の目的はランゲ、ただ一点である。ガイドブックを見ると『時計展示室』というコーナーもあるではないか。よしよし、たっぷり堪能してやろう、と意気込みは高まる。 2005年3月27日、欧州各国と同様にこのトルコも今日から夏時間へ変更である。トルコと日本との時差は1時間短縮され+6時間となる(10月末まで)。朝9時、トプカプ宮殿には既に千人にもなろうかという長蛇の列が。この人数はかなり異常である。入場券を買うまでに優に2時間待ちであった。ゲンナリ・・・(↑写真上、世界中からの観光客で延々と待たされる) (写真右⇒: 入場券を買うと、『表敬の門』こと『バービュス・セーラム』をくぐる) まるでディズニーランドのような西洋スタイルの城壁を連想させる『表敬の門』がそびえ立つ。大変美しい、左右にそそり立つ尖った塔はスレイマン大帝が16世紀に増築したそうだ。門をくぐると、X線による厳しいセキュリティ・チェックが待っている。 (←写真左: 宝物館入口Treasury Entranceはこうなっている。看板にはトルコ語と英語表示が。) トプカプ宮殿の入場料と、宝物館見学料金は別になっている。団体客はガイドが買うので間違うことは無いであろうが、個人観光客は要注意である。宝物館の入口で切符が無いことに気付くケースも多いようだ。 因みにトルコはイスラム国家ではあるがアラビア語は通じない。国語は独自のトルコ語であり、ローマ字使用が基本である。 この宝物館には歴代のスルタンが蒐集した逸品が数々ある。まさに『宝の山』。 例えば、右写真⇒のポスターにある短剣。『トプカプの短刀』と呼ばれるこの短剣の柄の部分には、世界最大級の緑のエメラルド3個がはめこまれている。 その他にも世界で7番目の大きさというダイヤモンド(=86カラット)等、世界中から集められた宝飾品、貴重品の数々にお目にかかれるのだ。 |
(『時計オヤジ』のお目当ては『ランゲ&ゾーネA.LANGE&SÖHNE』の一点に限られるのだ〜) ランゲの広告にある『ドイツ皇帝にも1年間お待ちいただきました。』というアノ時計である。 1898年、ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世がオスマントルコを公式訪問した際に持参したお土産。それがランゲ&ゾーネに注文された懐中時計である。当時のザクセン時計業界の粋を集めて作成され、その製作には1年間を要したという、曰く付きの時計だ。たとえ相手がドイツ皇帝であろうと、納品までには1年待ってもらいます、誰でも簡単には手に入らない時計で品質には完全を期する、というのがランゲ&ゾーネの主張であろう。 (←左写真: これがそのA.Lange&Söhneによる懐中時計) ヴィルヘルム2世の肖像がエナメル技法で金無垢製の時計ケースに描かれている。至宝の時計をもらう側のスルタン、アブデュルハミト2世の肖像画が描かれていないところが何とも面白い。この時計はアドルフ・ランゲ(1815-1875)の次男である、エミール・ランゲFriedrich Emil Lange(1849-1922)の製作による。エミールの時代に現在のランゲ&ゾーネのデザインが確立されたと言えよう。まさに『ランゲとその息子達』の歴史がそこにある。 ⇒ ドイツ時計聖地に関するDEEPな世界を知りたい方は一連のシリーズのこちらへ。 結論から言って、筆者は今回この宝物を拝むことが出来なかった。加えて、ガイドブックにある『時計展示室』もどこかへ移動されたのか、そのあるべき場所に展示室は無かった。色々、理由はあるが今回のトプカプ宮殿訪問は失敗に終わる。海外でのぶっつけ訪問は時に失敗もあるのだよ。 (各展示室内は基本的に撮影禁止〜) (⇒右写真: 展示室内部はこんな様子である) トプカプ宮殿には宝物館の他にも、日本・中国陶磁器展示室、細密画展示室、衣装展示室、歴代スルタンとその家族の肖像画展示室、など等、見所満載である。 この冬のイスタンブールは例年以上に寒さが厳しい模様。この日の気温は7℃。今回の失敗を教訓に、初夏が始まる5月以降に再チャレンジで雪辱を誓う『時計オヤジ』は、小雨交じりの宮殿を足早に後にしたのであった。トホホホホ、、、。 (参考) 日本-トルコ間はTK/JLの共同運航便(直行)がある。フライトは約12時間。トルコはケマル・アタチュルク以来、特に親日感情が強い。アジアとヨーロッパの接点でもあるこの土地は本当にエキゾチックで、欧州からの注目も俄然高まっている。観光での入国にはビザ不要。英語は中々通じない。独特のトルコ語が主流だ。1YTL(新トルコ・リラ)=約80円。(2005/4/01) (追記)イスタンブール情報の第2弾として、『迷宮グランド・バザールで12角黒文字盤に遭遇する』をUP済み。(2005/6/18) ⇒腕時計に戻る |
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