旅行記 K 〜 極上の英国靴を求めて。

『ちょい枯れオヤジの倫敦(ロンドン)徘徊』
〜 PART-1 〜



2005年7月末のピカデリー広場。
地下鉄テロ爆破事件の後遺症は、街中に見られる。
ピカデリー駅周辺の地下鉄も未だに区間閉鎖が継続されている。一年ぶりのロンドンはまさに様変わり。
しかし、時計オヤジは『俄か倫敦オヤジ』として復活を遂げるのだ。



(TRADの聖地、ロンドン再訪〜)

2005年7月末、駆け足でロンドンを再訪した。
例年であれば、この時期、短い夏を謳歌する国内外の人々で賑わうのだが、今年は地下鉄・バス連続テロ爆破事件の影響で、街中が、そして人々の心の中までもが暗く、雲が垂れ込めている。

そんな緊張感の高いロンドンにおいて今回は極力、ロープロファイルlow profileでの行動に努める事にする。



(←左写真: 
今回の宿にしたのはナイツブリッジKnightsbridgeにあるバークレーホテルThe Berkeley〜)


有名なデパートであるハロッズまで徒歩5分の絶好のロケーションにある老舗のホテルは、室内も明るい白い色でコーディネイトされる清潔感ある快適な空間である。但し、御代もそれなり。ロンドン、ローマのホテル事情は毎度ながら、本当に悩ましい物がある。










(←今回の御供はコイツ。どこでもソツ無く任務を果たしてくれるのがエライ!〜)

今回のロンドン短期滞在に選ばれたのはROLEX T-BIRD
さりげない格式と風格を備えた腕時計でこちらも身支度するのだ。
歴史ある欧州では本物中の本物で勝負をするに限る。
靴、時計、指先(=爪)の清潔さ、そうした全体に質素且つ上品な身なりは本場、ロンドンへ乗り込む際には特に注意する点だ。
(T-BIRDの詳細レポートはROLEX3部作の最終回として近日公開予定 ⇒ こちらへ






(⇒早速、地下鉄に乗ろうとするのだが・・・)

この時期、ロンドン市内中に警官の姿が目に付く。
それも仕方あるまい。試しに筆者もナイツブリッジからピカデリーまで地下鉄での移動を試みたが、ピカデリーラインはハイド・パーク・コーナーから先は閉鎖されたままである。
テロの爪痕は極めて生生しく、日常生活に影響を及ぼしているのだ。

(写真右⇒ 地下鉄への入口には警官が質問に答えたり、警戒をしている。
        非常にものものしい感じで、テロに敏感な時計オヤジは殊更不気味に感じる。)






(← 今年のバーゼル発表モデル”クロノリス”が早くも登場〜)

散歩がてら、まずは近くのハロッズHarrodsを訪問する。
街中でセール、SALEの時期であり、買い物客でごった返している。
ハロッズを訪問したのはかれこれ10年ぶりである。店内のロケーションもかなり様変わりしている。ふと、時計売り場でORISの新作クロノリスを発見する。レトロな楕円形状のケースが気分である。正札は1225ポンド、@¥195/£換算で約24万円。約15%のTAX REFUNDを考慮してもまだ邦貨換算20万円以上もするのは日本での定価よりも高い。恐るべしロンドンの物価高である。
事ほど左様にロンドンの時計事情は価格的に厳しいものがある。







(まずは英国トラッドの聖地、ジャーミンストリートJermynSt.を訪問する〜)


トラッド通の『時計オヤジ』にとってはロンドンに来たら必ず訪問すべきはこのジャーミンである。英国トラッドの真髄と伝統が開花する玉手箱通り、である。
男の身嗜みに関する老舗が数多く並んでいる。不思議と華やかさは微塵も感じられぬが、ジャーミンSt.には質実剛健な雰囲気が今も昔も変わらない。

←左写真: ご存知、JOHN LOBB。
間口は狭いが、奥行きは広い。心行くまでお気に入りのダブルモンクを拝見させて頂く。
英国では、Wモンクではなく、ダブル(W)バックル、またはダブルストラップと言う呼称が一般的だ。ナシュビーNASEBYのダブルバックルは男性的な力強さがあり、特に好みである。




(⇒右写真、左の黒色のダブルモンク(=ダブストラップ)がナシュビーである)
バブルバックルの間隔が狭く、且つ荒々しいデザインのバックルはこのJOHN LOBBだけである。
余談であるが、恐らくダブルモンクのコレクションが世界一であるのは新宿・伊勢丹B1メンズ靴コーナーであろう。ダブルモンクだけで20種類以上(注1)の靴が展示されているのはまさに圧巻!ステファノ・ビーから最新のスコッチグレインまで、本気の伊勢丹には脱帽である。
(注1)同一モデル、色違いを含む。






(チャーチはロンドン市内で一番多く目に付く高級靴店舗であろう〜)

イギリスで一番売上が多い靴メーカーをご存知だろうか。
数々の超有名ブランドを差し置き、クラークスが断トツで一位である。
しかし、『靴好きオヤジ』の感覚では、やはりチャーチ=英国靴の代表、という印象がある。

(←ジャーミンにあるチャーチ店が左の写真である。)







(←左写真: チャーチのダブルモンク、GEORGE LAST #002)


チャーチにもダブルモンクは2〜3種類ある。
これはジョージというモデル。お値段は@£350程度だと記憶しているが、それでもJOHN LOBBナシュビーの約半額である。。
革の素材はGRAIN。チャーチにおいても最高級ラインに属する、重厚な靴だ。当然ながらセール対象外だ。
このGEORGEと対照的にLIVERPOOLは細身でより洗練されている。どちらも味がある








(←左写真: チャーチで販売されているチーニーCHEANY)


創業は1886年というこちらも老舗。チャーチと同様に現在ではプラダグループに属しているのがチャーチ店舗でも販売されている理由だ。
このダブルモンクは、アンティーク調のブラウンで革の仕上げに味がある。つま先は独特なややスクエア調、ダブルバックルも長く伸びた個性的なデザインだ。@£205程度と比較的お手頃ではあるが、筆者の嗜好とはやや異なる。
今回、最後まで迷ったモデルの一つ。










(←左写真: Yシャツで有名なPINK)


若者に特に人気であるメンズウエア店。
仕立てシャツや、ロンドンならではの色鮮やかなネクタイなど、今やPINKと言えばジャーミンにあるこの店を指すのだ。









(← 左写真: ターンブル&アッサー)


PINKを若者向けとすれば、幅広い顧客を持つのが老舗のターンブル&アッサーである。
今やメンズの総合ファッションウエア店となったが、やはりシャツやネクタイが得意中の得意。店内を見て歩くだけでも毎度ながら楽しいものだ。









(ジャーミンからバーリントン・アーケードBurlington Arcadeへと移動する〜)

昨年のロンドン探訪記でも触れたバーリントンアーケードも毎回必ず足を運ぶべき場所だ。
老舗の靴屋が何店か軒を連ねる。ここでイタリアンブランドのタニノクリスティーを訪問することを楽しみにしていたが、ザンネン、タニクリは閉店していた。ロンドン市内のどこに移動したのかは不明だが、他にはEDWARD GREENや、CROCKETT&JONES、CHURCH'Sといった3店が主流である。


ピカデリー側からこのバーリントンアーケードを通り抜けると、そこにはフレンチの雄、J.M.Westonの直営店が鎮座している(← 写真左)。

靴の品揃え、モデルの多さと言う点では多くを期待は出来ないが、かかる一等地で地元の老舗靴屋と肩を並べているところが何とも頼もしいJ.M.Westonである。

J.M.Westonのダブルモンクは黒色のみ。別注で好みの革素材や色を選ぶことも出来るが、納期は最低3ヶ月。価格はChurch'sのGerogeクラス並みである。









(バーリントン・アーケードで万年筆SHOPも発見する〜)

こちらはペン専門店の’PENFRIEND’である(⇒右写真)。
一見して、アガサクリスティの限定モデル万年筆とシャーペンに目が留まる。
デッドストックの価格を尋ねると、2本セットで何と£3,950、約77万円(!)。
その上にあるヘミングウエイ万年筆も単品で£3,000以上。
バーリントンとは言えども、ちょっと無謀な価格帯に設定されているものだ。
『万年筆オヤジ』としてはただただ絶句するのみ。






さてさて、怒涛のごとくロンドン市内の靴聖地を歩き巡る短い時間はあっという間に過ぎた。
今回の目的は上質で、革の発色が綺麗な茶系ダブルモンクか、予てから興味津々であったTRICKER'Sの赤茶色のブーツに巡り会うことである。バーリントンとジャーミンSt.のCROCKETT&JONESで発見した黒ダブルモンクとエラスティック製ブラインドW-TIPが特に興味を引いた。前者は別注で好きな革質・色を選べる。後者は、靴オヤジの好みからは少々離れるが、その履き心地には一瞬でぞっこんとなる。が、ここで簡単に妥協は出来ぬ。靴探しの求道者、靴オヤジの探求はまだまだ続く。

そして、今回の旅で最後に辿り着いたのがTRICKER'Sである。
ここで以下の写真にある、赤茶のシングルモンク・プレーントゥでしこたま悩む。
そしてもう一足。こちらは大好物のメダリオンも大穴で大胆な黒色WING-TIPである(↓下写真参照)。

この詳細は続編で紹介することにする。
ロンドンには今後ともテロの恐怖にも負けず、頑張って頂きたいと願いつつ厳戒のLHRロンドンヒースローを後にした。


(←写真左側)
Tricker'sの入口はこじんまりしている。

(←写真右側)
実物の赤茶の革の発色は写真よりももっと美しい。
この色はTricker'sの真骨頂であるのだ。








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