時計に関する随筆シリーズ (42)

『2006年3月某日、デュッセルドルフ散策』




(3年ぶりのデュッセルドルフ訪問〜)

2002年9月、『ドイツ時計蚤の市』で訪問したドイツのデュッセルドルフである。
月日は早いもので、あれからもう3年半近くになる。今回は1泊2日の短期訪問。僅かな仕事の合間を縫って、駆け足で市内を散策(?)する。

空港からタクシーで15分。まずは『ホテル日航』にチェックイン。現在、揺れに揺れている日航であるが、お家騒動にもようやくケリがついた模様。揺れるのはせめて飛行機の中だけにして欲しい。

(←左写真: こうした光景、色彩がいかにもドイツである)


イマーマン通りImmermannstr.に面する『ホテル日航』は快適である。
毎度ながら、日本人客が多い。地下にはカラオケも完備。さすがは日本人街の中心ホテルである。
デュッセルドルフはケルンの北、ルール地方の経済の中心地だ。
人口は約60万人。その内、在留邦人は約6000人強。つまり大雑把に言えば人口の1%が日本人である。日系進出企業の数は440〜470社程度。そして、納税額の10〜15%が日系企業によると聞けば、如何に日本人がこの街に貢献しているか分かろうと言うもの。デュッセルドルフでは日本人に対する地元の目線も自ずと好意的になるのも当然であろう。

このイマーマン通りには日本食材店、本屋、パン屋、ラーメン屋、和食レストラン、カラオケ、バーなど等、価格さえ気にしなければ可也の『和物』が手に入る。因みに雑誌LEONは@16.50ユーロ。@¥140換算で¥2300程度。欧州では定価の3倍が相場である。驚くことではない。『モテるオヤジのちょい不良(ワル)スーツ』特集号でも買おうかと思ったが重いので諦める。真性オヤジ(親父?)は未だにこうした特集に魅かれてしまう・・・。その代わりに翌朝一番で、出来立ての『あんぱん』と『カレーパン』を買い占めた。『ちょい不良オヤジ』どころではない。『時計オヤジ』の現実は厳しい・・・




(早速、足早にデュッセルドルフの銀座、ケーニヒスアレーKonigsaleeへと向かう〜)


毎度ながら、時計店に釘付けとなる。
ケーニヒスアレーの一番北側に老舗WEMPEが重厚な店を構える。
こうした玄関の写真を撮ることでさえ、外にもいるガードマンが制止する雰囲気。
少々気を遣うのだ。

WEMPEの隣には、イタリア靴の今や大御所に成長したTODS、そしてその隣にはフランスの雄エルメスが居並ぶ壮観な光景。
折りしも、小雪もちらつく寒い天候だ。今日はひな祭りだと言うのに、ドイツはまだまだ寒い。マフラーで首をグルグル巻きにし、手袋も利用しないと『時計オヤジ』には寒さが答える。3月だというのに。





WEMPEは1878年ハンブルグで創業、ドイツ老舗の高級時計・宝飾店である。
名だたる雲上ブランドは全て揃っている。
但し、他の時計店と比べると定価・正札の値段はやや高めである。

恐らく値引き交渉も可能であろうが、『時計オヤジ』は未だ足を踏み入れたことは無い。用が無ければ外のウインドウSHOPPINGが精一杯である。
それだけでも一見の価値はあろう。
今回もJLCの絶版モデル、サン&ムーンの18KYGを発見。あの小振りさ、手巻&チラネジ付きのCal.822/823を搭載したモデルは中々渋い。






(⇒右写真: 本場、ドイツ時計の老舗ブランド、Glashutte Original〜)

向かって左端は中3針、パワーリザーブ、BIG-DATE表示付きのSSケース。8250ユーロ。恐らく新型ではなかろうか。派手さ、新味性は微塵も無いが、G/Oらしい質実剛健なデザインである。ケース径は推定、38mm程。
手前のやや小振りな時計は3450ユーロ。
同じく中3針、4時位置にBIG-DATE表示が付く。36mm径くらいだろう。
何でもないごく普通の時計だがG/Oらしい、良い物を作っている。
但し、個人的にはG/Oのケースデザインは全般に無骨過ぎると感じる。詳しくは『パノリザーブ考察』で述べる。

ここでショウ・ウィンドウ越しに眺めた価格表示を参考までに下記する:
(価格は全てユーロ。円換算は@¥140程度が目安。2006年3月上旬現在。)

22,300 ランゲ1(ムーンフェイズ付き)
22,000 パテック・2針ワールドタイマー(18KYG)
18,800 ランゲ1(18KYG)
16,600 AP ロイヤルオーク新型革ベルト(18KRG)
15,800 ブレゲ・クラシック・トノー(18KYG、BIG-DATE表示)
 8,960 ショパール(カリテフルリエモデル)
 8,300 グラスヒュッテ・オリジナル・パノリザーブ(手巻、BIG-DATE)
 6,110 オメガ・ミュージアムシリーズNo.4 ペトログラード1915(18KYG)
 4,500 パネライ PAM00051(白文字盤、ブレスモデル)
 3,400 パネライ PAM00049(白文字盤、革ベルトモデル)
   725 フレデリック・コンスタント(中3針、ブレゲ針、トノー自動巻き)


値引き、TAX-REFUNDもあろうから日本の相場と余り変わらぬ気がする。
(⇒ 『時計オヤジ』への上記価格に関する問い合わせ・質問等はお控えあれ)



(次は、ドイツ・ブランド、ブリーBREEを訪問〜)


1970年創業の革製かばん、小物メーカーのBREEを訪問する。
デュッセルドルフは寒いので、WEMPEのような独立店舗は別にして、室内ショッピングモ−ルに入った店舗が多い。このBREEも同様である。

BREEには昔から世話になっている。
しかし独特のヌメ革製品には興味は無い。今や革製品以外でもその商品展開は広い。
選択の基準はあくまでデザイン優先。質実剛健、淡白な作りは『ドイツ版コーチCOACH』、とでも呼ぼうか。加えて価格もごく手頃であるのが良い。今回はジップ式の革製財布が気に入った。






(← これがジップ開閉式の財布〜)

こうしたモデルは2〜3種類もある。色は黒と茶色のみ。
小銭入れ、カード入れ、免許証入れも付いて、ジッパーで開閉するのでカード紛失のリスクも少ない。値段はEUR89.−。デザイン、質感を考慮してもドイツ製の良心と言えよう。
しかし、黒色は丁度売れてしまった。残念。
仕方ない、取り寄せしてもうらうことにして再度訪問することにした。
えぇ?また来るのかって?
勿論、日を改めて今月中にデュッセルドルフ再訪する計画である。







(ドイツの靴屋もあなどれない。Tott&Co.には驚く〜)

ショッピングモール”Galerie SEVENS” (Konigsallee 56)の1階すぐ右手にこの店がある。前回来たので知っている店だが、相変わらず重厚なトラッド靴が並んでいる。
自社ブランドは大体EUR289.−程度から。約4万円であるのだから決して安くは無いが、一目見て作りの良さが分かる。Goodyear製法の靴が所狭しと並んでいる。
そして壁一面には緑色の靴箱が積まれている。この雰囲気が老舗、と感じさせるが老舗か堂かは定かではない。

そして、クロケット&ジョーンズやら、オールデンやら、初めて目にするブランドも目白押し。ドイツでは何故かオールデンALDENを良く目にする。代理店、販売網の関係か堂かは知らぬが、頑丈っぽい靴がドイツ人の好みかもしれない。


『時計オヤジ』は『靴オヤジ』でもあるが、新たな靴の購入は控えている。時計と違って保管に場所をとるのが最大の原因。そして新品在庫も既に10足を超えている情けない事情がある。買っても履かない、コレクションのような扱いの靴もあるのだから本末転倒この上ない。目下、反省中、謹慎中であるのだょ・・・

Tott&Co.については時間があれば是非次回、じっくりインタビューしてみたいと考えている。






(← 腹ごなしに、久々にヘリング・サンドウィッチを食す〜)


各モールには様々な食材店も入っている。
言葉の問題もあるが、ドイツまできて和食やら中華は食べたくない。
ここでも『時計オヤジ』はジュネーヴ同様に、シーフード。
生カキ、シュリンプ、そしてニシン(鰊、herring)のサンドウィッチを白ワインで楽しむことにする。

昔、オランダの中央鉄道駅で立ち食いで食べた記憶が蘇る、懐かしい味である。
欧州各国、特に大陸側、ドイツから北の冬にはこのニシンサンドが美味い。イタリアや地中海沿岸には無い味だ。



デュッセルドルフの夜は当然ながら地元のビアホールでパーティー、そしてお決まりパターン?で、カラオケ&ラーメンで締めるのであった。なぁーんだ、結局、日本式に戻ってしまう『時計オヤジ』のひと時であるのだ。不健康極まりないが、そうしたことが出来るのはデュッセルドルフだからの『特権』であろう。


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