CLARKS  クラークス

”Black Check Wing-Tip” Brown Combi Leather Shoes
Ref.15351-2035 0735 (Size:UK7.5、Fit:G)
Made in India



1825年創業の老舗Clarksも今や、英国国内生産は完全に消滅してしまった。
前回のFreely-Burstに続いて、今回も古典的なWing-Tipであるがインド製である。
しかしながら、その落ち着いた色合いの茶系コンビシューズが魅力的。
そして、更には意外なる凝った靴底が魅力的な一足である。
(2013/4/28 484200)



(コンビシューズには、いつもロマンを感じる 〜)


コンビ柄というのは、ファッション的に難しい。
特に白黒のコンビであれば、全体ファッションとの兼ね合いから、そのコーディネイトには特に慎重になりそうだ。例えば白黒コンビローファーにジーンズという井出達でも、なかなか様になるとは思うが、これを仕事用のONユースで使うとなると、ほぼ9割方が無理、というかコンビシューズご法度の世界になるだろう。
その意味から、コンビシューズは基本的に遊び用と割り切った方が無難であるが、今回は茶系コンビということで、ON用にも使える可能性を秘めている。そこが『靴オヤジ』の色気と食欲をソソラレた最大の理由である。

外羽根式のフルブローグであるが、レース周りのブローギングが無いので、ややあっさりとした印象を受ける。そして、コンビ革の色合いも茶系の落ち着いたマットカラーでもある為、派手さは微塵も無い。むしろ、良い意味で年季と枯れた感じが表現されているようで、正直のところ、Clarksにしては中々のデザインではないかと感じている。

Fit=Gなので、可也ゆったりめの大きさ。特にボールジョイント部分のゆとりも幸いキープされているので、ホールディングは極めて快適である。






(表革はコンビだが、ソールもコンビという隠れ業に注目 〜)

実はこの靴、ソールにも丁寧に半カラス処理が施されている。下写真のように、土踏まず部分が黒色に塗られている。そのラインも独特の形状であり、境界線部分には丁寧にコテが入れられた跡が見られる。勿論、機械式によるスタンプ処理だと想像するが、仮に機械による仕上げであってもここまで凝るデザインも珍しいだろう。

加えて、地面に一番負荷がかかるソール前面にはClarksの生まれ故郷のシンボルである『グランストンベリー・トァ』(Glanstonbury Tor)がエンボスされている。英国南西部サマセットのグランストンベリー近郊にある海抜145mの丘の上には、屋根が無い旧聖ミカエル教会が、丸で展望台のような風情で建っている。その教会がモチーフとされてエンボスの中央に配置され、”CLARKS ENGLAND ESTABLISFED 1845”、”WELTED FOOTWEAR”という刻印が周囲をグルリと囲んでいる。この部分は靴の接地面と完全に重なるので、実際に履き始めると磨耗により削れて見えなくなるのは時間の問題。だが、敢えてこの位置に持って来たのは、逆に滑り止めを意識しての効能を狙ったものと理解している。しかし、そんな英国的な伝統あるモチーフを磨耗で削り取られてしまうのは心もとない。何とかこのエンボスを残せないものか、と思案する結果が・・・。

一方でヒールのラバーもJohn LobbっぽいU字型形状をしており、非常に個性的。CLARKSのドレスシューズと言えば、廉価モデルでデザインも今ひとつのビジネスモノが多い中、このコンビWing-Tipは非常に洗練されているのが不思議な程である。





























(早速、ソールに改造を加えることで、耐久性を高めることに 〜)

実際に履き始めると、中々具合が宜しい。GoodYear製法のガッシリ感と適度なホールド感を楽しめる。
しかし、半カラスデザインの革底という素性を考えて、今回は簡易ではあるが2つの改造(リペア)を試みることにした。

@ 上述のグランストンベリー・トァのエンボス部分に滑り止めのラバーを貼る。敢えて全面ハーフラバーにしない理由は、革底の軽快感と返りの良さを満喫するためと『エンボス』をラバー下に『保存』するためである。因みにこの貼り付けは、ゴムパーツを入手して自分で行った。市販の中でも剥がれ難い、ずれ難いと評判の良いパーツを選択する。決して見栄えはよくないが、暫くはこれで様子を見ることにする。

A 2つ目が、スチール・トゥの装着である。今回は、Lulu Steel Tips (⇒日本ではVintage Steelの呼称が一般的)ではなく、#150のTriumph Steelを装着することにした。理由はTriumphは未だ装着した経験が無い為と、格好の良さ。装着をお願いしたのは、日本国内の有名某リペアショップ。今や日本のリペア技術レベルは世界最高峰だと思っている。こうした素晴らしい匠の技に頼れる安易さと仕上げの満足度には、ただただ頭が下がる思いである。


この2つの小さな改造ではあるが、耐久性には格段の差が出ると考えている。Triumph SteelもVintage Steelよりはやや奥行きがある台形っぽい形状が個人的には好みである。これで思う存分にこのコンビ靴を酷使出来ようというものである。































(⇒右写真: これが最終形の我がソールデザインである)

靴の手入れとリペアは常日頃から、そして早ければ早いほど良い。特にお気に入りの靴であれば、最初から様々な改造を行うことも良かろう。金額的にも日々の小遣い程度で十分に対応可能なので、靴好きを自認するのであれば、特にヒール含めた靴底には常に気を配りたいものである。
こういう見えないお洒落は自己満足以外の何物でもないが、そこに(底に)凝るのが大変快感であるのだ。
(2013/4/28 482400)














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