![]() 昨年来、『カントリーシューズ』に注目している。 『カントリーシューズ』の定義は難しいところだが、現代風に解釈すれば 『休日用のカッチリとしたトラッド風な頑丈靴』、とでも表現できようか。 もともとの出自は勿論英国のカントリーライフであるので、本場英国ブランド老舗に傑作靴も多い。 しかし、今回は『マラソンも出来るビジネスシューズ』で成功した米国ROCKPORTからのモデル。 カントリーシューズとまでは言えないが、そのライト級としては十分に雰囲気はある。 2012年5月、ドバイモールのROCKPORT専門店で見た瞬間に即決・購入、である。 (2012/5/19 432222) |
(adidasとNIKEの代理戦争勃発?〜) アメリカの名門Cole-Haanがナイキの100%子会社であることは周知の事実である。 よって、最近のCole-Haanのドレスシューズにはヒール部分に”ナイキ・エア”搭載モデルが多い。あのナイキエアの快適性は一度経験すると病み付きになりかねない。一方で、この今回のROCKPORTは1971年生まれ。以来、ROCKPORTのドレス・カジュアルシューズは、ニューヨークマラソンを走破、果てはアフリカのキリマンジャロを登るなど、世界中で持ち前のライトウェイト級フットワークの軽さでその名を馳せてきたのである。そのROCKPORTのヒール部分と小指付近にはadidasと共同開発された衝撃緩衝・反発弾性材”adiPRENE”が搭載されている。そう、ROCKPORTはadidasと提携しているのだ。まさにナイキ対アディダスの代理戦争が、Cole-HaanとROCKPORTの間で行われているとは興味深い。Cole-Haanはどちらかというとナイキエアに頼り切っているのに対して、ROCKPORTはソール素材、中敷等の全体的なパーツで対衝撃性能を追求している印象が強い。両者のアプローチとその製品群には今後とも注目、である。 *** 閑話休題。 ![]() 靴底が黒色というのが引き締まって見える。独自のラバー素材は軽量且つ、耐摩耗にも優れそうな印象。特にヒル部分がラウンドしており、歩行接地時の効率を考え抜いたデザインであろうが、こうしたデザインはスクエアの通常ヒールが好みである。 この靴はWalkingを主眼にして開発されたので、このソール形状は仕方あるまい。 4つ穴式アイレットはこれはこれで良い。元来、アイレット数は奇数がしっくりくるのだが、4つもあるし、6つの場合もある。要は全体的なデザインバランスに破綻が無ければ良いのである。このモデルはその意味で、十分に成功していると言えるだろう。 (ハイテク風なソール形状には、トラッド靴としての面影は微塵も無いが 〜 ) このソール形状は、やはり現代のWalking shoesと感じさせる。 土踏まず部分のブリッジ形状といい、ヒールの大きさ、そしてソール全体に施された『トレッドパターン』にはグリップ性能と耐磨耗・耐スリップ性能を盛り込んだものと想像出来る。そして合成ゴム・スポンジ系のように軽い。軽さこそがROCKPORTのウリであるが、このモデルの片足重量は370グラム。天然皮革を使用しているので抜きん出て軽いという訳ではないのだが、老舗系カントリーシューズと比較すれば、格段に軽いのである。 ![]() この靴の『売り』は以下の3点だろう: @ 本格調のフルブローグWingtipデザイン A ベージュ系スエード革のシックさ加減 B 快適性(=歩き易さ)とデザイン両面の両立 ROCKPORTのモデル展開は毎シーズンで変わるので、このモデルも恐らくシーズン限定モデル。定番ではないのである。よって、イメージが合えば即決することが重要だろう。恐らく、このモデルは日本国内展開はされていないのではあるまいか。 今回の購入場所は世界最大のショッピングセンター・ドバイモール内のRockport Boutiqueであった。餅は餅屋。靴に限って言えば、やはり靴屋を本業とするブランドが一番信頼が置けるのである。その意味ではこのROCKPORTはWalking Shoesの老舗に入ると言って過言でない。 (ヒールには”r”マークのワンポイントラバーが〜) ![]() ROCKPORTの頭文字を模った円形マークは蛇足だろう。 更に言えば、ヒール部分のグレイ色彩も蛇足だ。こういう所で個性を表現しようとする手法は間違っている。 トラッド路線であれば、無用な色彩やデザイン挿入は百害あって一理なし。Walking Shoesだから許してもらえると思ったら大きな間違いである。 まぁ、この靴は休日用、OFF用の靴であるので、上記2点には今回は目をつぶる事にするが、100%自分のイメージに叶うデザインは中々稀有ということだ。 ⇒右写真を見ても、ヒール部分のデザインは悪くは無い。 良い意味で凝縮感もあるし、各革製パーツも縫製的にも全体感としては纏まりある仕上がりとなっている。勿論、そうであるからこそ購入したのであるが、ヒール部分のグレイ横線は駄目だけどね・・・。 ![]() (中々少ない、カジュアル系のWingtip 〜) 今回のROCKPORTモデルはハイテク系Wingtipとしては、及第点の出来栄えである。 上述した3つのツボを押さえているモデルは中々少なく、まさに希少種に属する。 勿論、本格靴であれば数多あるのだが、あまり堅くならず、適度なヌケ感を表現するにはスエード系(=裏革起毛)やヌバック系(=表皮を起毛)素材が最適。 今回は、偶然にも出会い頭での購入となったのだが、こうした巡り会いが出来る世界最大のショッピングモール、ドバイモールは本当に楽しくも危険な誘惑が充満する買い物天国であるのだ・・・。(2012/5/19 432222) ⇒ 靴のページに戻る |
※掲載の写真・文章等の全てのコンテンツの無断転載・無断複写を禁じます。 ※特に金銭絡みのオークション説明等へのリンク貼りは遠慮下さい。 |