ROCKPORT   ロックポート

”PARK DRIVE PENNY” BLACK LOAFER Ref. K60014
Size: US8.0W/EURO41.0/26cm(W)




『パーク・ドライブ・ペニー』
この3語でこの靴の素性を見事に物語る。
まるで高級マンションのような、何とも洒脱なモデル名ではあるまいか。
今回はまたまたROCKPORTから発売されているリーズナブルなローファーについての考察。
(2012/7/06 440000)



(ローファーの基本デザインとは 〜)


一目見て安堵感を覚えるモデルである。
それは、モデル名のネーミングの良さ、そしてローファーとしての基本デザインを表現していることによる。

まず、Park Drive Pennyというモデル名。
公園・運転(街道)・ペニー、という3語から真っ先に連想するのは”Driving Loafer”しかない。Park Driveという冒頭2語からはリッチな空間を連想させる。アメリカに実在する地名でもあり、New Yorkのセントラルパークのような公園もイメージする。そして、PennyとはPenny Loaferそのもの。つまり、いかにもアメリカの伝統的なPenny Loaferですよ、というストレートなメッセージが籠められたモデル名である。米国ブランドだけあって、こうした正攻法な名前は非常に快適で気分が宜しい。

次に基本デザインについて。
筆者はローファーの基本設計は似は3要素あると考えている:
@ ほど良いスクエア・トゥであること
A ノーズからタンまでの長さが靴全長の半分となること
B フルサドル、若しくはハーフサドルであること
  (ビーフロールではいけないのである)

更に言えば、つま先にシームが入っていないことが望ましい。
この点がJ.M.Westonのローファーが如何に絶賛されようとも、筆者には受け入れられない点。

このモデルでは上記3要素を完全に満たしている。
革素材は高級カーフ製ではないので、やや硬さも感じられるが、その分、肉厚な牛革(ガラス仕上げ)製による耐久性の良さは筆者が所有するRockportの別ローファーでも実証済である。

つま先がややスクエアとなると、ラウンドとは全く異なる現代的な味付けとなる。まさにTOD'Sのローファーとも共通するのだが、伝統的かつ今風のペニーローファーに仕上げるには上記3要素が必須と考えている。






(ハイテク風なソール形状には、トラッド靴としての面影は微塵も無いが 〜 )




表面のトダッドな顔とは裏腹に、靴底は左写真のようにラバーとのコンビネーション。耐久性、耐摩耗性、耐クッション性を考慮したハイテクソールとなっている。

特に耐スリップ性能を考えた時にはフラットなオールレザーでは少々心もとない。この靴では見栄えより性能重視の靴底で正解。そして、このラバーの配置デザインも凝っている。周辺部分は敢えてレザーとスティッチを残すという気配りデザイン、そしてヒールには6本の鋲が打ち込まれる念の入れよう。

ココだけを見ても、中々やるもんだと感心のROCKPORTである。
因みに、ナイキエアシステムに対抗して衝撃緩衝・反発弾性材を重視したAdidasによるadiPRENE装着だ。ウォークング時の快適性はお墨付きである。因みに筆者は自分の足サイズに合わせるために、特に親指から小指にかけての周囲部分を調整した。具体的にはリペア専門店においてやや拡幅調整を行ったのである。こうした自分なりの工夫があって初めてストレスの無い靴も完成する訳である。







(ヒールにはお決まりの”r”マークのワンポイントラバーが〜)


ROCKPORTの頭文字を模った円形マークがここでも刻印されている。
ヒールキッカーも無駄な装飾である。
そもそもヒールキッカーとはあくまでデザイン的な意味合いのみであり、実用上の影響は皆無と言って良い。特にデッキシューズに代表されるモカシンシューズにおいて頻繁に組み合わされるが、ヒールキッカー本来の役目は手を使わずに踵同士、足のみでキッカーを引っ掛けて靴を脱ぐためのもの。云わば、ナマケモノ式の靴脱着装置なのである。

この靴のように基本はドレスシューズであり、そしてダブルスティッチによるヒールカップを配し、更にそのヒールカップ中央下側にはスリットがある。そして円形ロゴマークまで配した部分にこうしたヒールキッカーまで入れることは極めてゴテゴテした猥雑な印象を与えることになる。何が必要か必要でないか、ミニマムデザインの意味を十分に考えることが重要なのである。










(Penny Loaferゆえにコインでも装着してみる 〜)


Penny Loaferというくらいだから、お遊びでコインをサドル中央部に入れてみるのもノスタルジーを感じさせて面白い。
因みに写真はドバイの1Diraham(@約22円)コインである。
チラ見せするアラビアンポットが何とも可愛い。

最早、こうしたコイン遊びをするユーザーも皆無であろうと思いきや、何とメーカーのTOD'Sからは最近、独自のコインつきローファーが発売されている。ファッションの歴史はまさに繰り返すのである。TOD'Sのこうした茶目っ気には流石、イタリア人としての余裕を感じさせる。

ROCKPORTは基本はカジュアル系シューズがメインラインではあるが、ビジネスラインでも意外と良い靴もアル。とは言え、所詮が所詮なので、良い靴と言ってもREGALで例えればREGAL-WALKERの範疇に近い靴となる。
それでも今回のモデルのように、極めてトラッドっぽいデザインであれば、TPO次第ではあるが、十分に万能選手に成り得ると言えるだろう。(2012/7/06 440000)






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