考察シリーズ A

中東名物?「HOW to Play 土漠ゴルフ!?」 



「T.ウッズ観戦記」にても少々触れたが、今回は日本ではまずお目にかかれない「土漠ゴルフ」について触れたい。土漠ゴルフ、別名サンド・ゴルフ、またはデザート・ゴルフとも呼ばれる。

土漠とは?砂漠とは異なる。中東で圧倒的に多いのは、サラサラの砂丘のような砂漠ではなく、地面も固くて石やブッシュも散在する土漠であるのだ。場所は中東のアラビア半島ど真ん中に位置するサウジアラビア、西は紅海に面したジェッダ郊外の土漠ゴルフ場”デザート・レーク”を例に説明しよう。

コースと呼ぶべき18ホールの土漠コースはジェッダ国際空港の脇にある。閑散とした荒野、というべき光景が広がる。左は一応クラブハウスであるが、コンテナハウス、トレーラーハウスと変わらない。この中で受付を済ます。練習用ボールのトークン(5リヤル、約150円で20発)もここで買うのだ。




18ホールのコース上にはトイレは勿論、水飲み場も日陰もない。真夏は軽く40℃を越える。熱風も凄い。仮に芝のフェアウェイがあろうとも、土漠上と芝の上では気温は3〜4℃は確実に異なる。芝が一切ないこのコースでの暑さは想像を超える。因みに筆者はまだ18ホールを回り切れていない。ハーフがやっとであり、真夏はそれでもシンドイ。右の写真は必須の3点セット。冷凍したミネラル水、人工芝、そして担いで歩くので軽量バッグがベターである。担ぐのが苦手な人は人力カートも使用できるが、いずれにせよとにかく水を大量に飲み続けることだ。脱水症状、熱射病が最大の敵、でもあるからだ。








(←左写真: 掘建て小屋の練習場はとにかく暑い!!!)

とりあえず、300ヤード先までの距離看板はある。距離表示はいい加減である。持参した人工芝マットを使い練習でかるく20〜30球も打てばウォームアップ終了。やり過ぎると、コース上で身体がもたないのでホドホドにするのだ。因みに筆者はナイキ一辺倒なので、IRONはPro-Combo、ドライバーは350ccナイキS-Flex9.5度を持参する。

土漠ゴルフにも勿論、厳格なルールがある。基本的には通常のゴルフと同じだが、最大の相違点は常に持参した人工芝マットから打つ、ということだ。Tee-Shotは勿論、アイアンもボールが止まった場所上にマットを置いて打つことになる。まぁ、常に安定したライ?が多くなるので、アイアンショットは練習場感覚で比較的正確に打てよう。スコアも結構まとまる、はずだ。そうそう、忘れたがスパイク靴は、たとえそれがソフトスパイクと言えども厳禁である。底がフラットなスニーカーがベストだ。








(←左写真:Tee Groundよりコース正面を見たところ〜)

コースは土色をしているのでどこがコース(フェアウェイ)か一見、わからない。実際はコースの左右にはOBクイやら、青クイもある。とにかくフェアウェイ中央を狙うのだ。たとえド真ん中に打っても、小石でイレギュラーすることもあるので気を抜けない。反面、低いゴロでも延々と転がり距離が稼げるラッキーな幸運もあるが。。。
では階段を上ってTee-Groundに立ってみよう。










(⇒右写真: Tee-Groundは砲台型である〜)

18ホール全部が同様である。土、砂利で固めて造ったので、階段を利用しないと崩れかねない。階段利用は重要なマナーでもあるのだ。
Tee-Shotは当然Tee-Upする訳であり、持参したTeePegを使うことになる。打った後、teeがよくなくなるので、筆者の場合は練習用のゴムteeをマット裏側から差し込んでいる。いわば、「練習場プロ」の気分で、ミスショットも少なくなることを期待しているのだが。。。










コース上は固い土であり、小石も多い。アイアンで直接打つことも可能ではあるが、確実にクラブを傷める。それが理由で人工芝マットが不可欠になるのだ。ボールもすぐにボロボロとなるので、新品ボールを使う必要は全く無い。
以前、カタールのドーハでプレーした経験がある。見事な本芝によるグリーンのゴルフ場であるが、フェアウェイをはずすと岩場にボールが入り込むこともある。その時の脱出用として、#7アイアンを2本持ち歩いたことを思い出した。因みにドーハのゴルフ場では毎年2月のドバイ・デザート・クラシックの後にカタール・マスターズなる大会があり、欧州男子プロも参戦している美しいコースである。

さて、「グリーン」に近づいてきた。土漠ゴルフでは「グリーン」は無いのだ。代わりに「ブラウン」と呼ばれる、タールで固めた相撲の土俵のおばけのような茶色い場所がそれである。炎天下でも白く乾燥せずにブラウン・カラーを保っているのはタールのお陰なのだ。
ここで、質問。左写真の土嚢で白く囲まれた部分は、一体何でしょうか?(答えは文末にあり)






(グリーンではなくブラウンは注意が必要〜)

土で固めたブラウンは、パットをするとボールの跡がくっきりと残る。ラインを人に見られたくない、と言ってもここでは無理なのだ。まるで蛇が這ったような跡が毎回、残ることになる。当然、人が歩いた足跡もくっきりと残る。スニーカーのような底が平らな靴を履いていないと、更に面倒になるのである。ホールアウト後はブラシ・レーキとよばれる大きなハケで、足跡やボール跡で一杯になったブラウンを平らに均してから次のホールへと向かうのである。
これを毎ホール、炎天下で18ホール繰り返すのである。
余程の気力と体力がないと完遂できないのだ、ホント!


プレーフィーは約1800円。ハーフでも18ホールプレーでも同一料金。木・金曜日(中東の週末)はそれでも大混雑するのだ。余暇に乏しいジェッダならではの混雑、かも知れない。隣接してクリケット場もある。インド系の人々がやはり炎天下でプレーしている。「物好きなヤツめ」と言う視線を交わす。まさに同類、お互い様である。

2004年、4月中旬の気温は既に35℃。今年も暑くて長い夏が既に始まっているのだ。

(質問の答え:バンカー)


(追記)
ジェッダには郊外(約80キロ)のダラーというリゾート地にハーフのグリーンコースが存在していたが、2003年初頭に閉鎖した。水代金が高すぎて倒産したのだ。よって、ジェッダで現存するのはこの土漠コースのみである。その土漠コースも2005年6月以降には移転する噂が運営者から知らされている。首都のリヤドには素晴らし緑の18ホールがあるが、このジェッダではどうやら『ゴルファー受難』の日々がこれからも続きそうである。(2005/5/01)




旅行、その他のページに戻る。

TOPに戻る      (このWEB上の文章・写真等の無断転載はご遠慮ください。)